忘れられたワルツ の商品レビュー
ごちゃごちゃ御託を並べても、とどのつまり、ひときれのパンとチャップリンの映画があれば人生に必 要なことはだいたいそろう、と思ってるんだけど(カッコつけてみた)、絲山秋子の小説を読むと、ここにもだいじなことが詰まってるっていつも思う。好き嫌い、面 白い面白くない、とは別次元の詰まり...
ごちゃごちゃ御託を並べても、とどのつまり、ひときれのパンとチャップリンの映画があれば人生に必 要なことはだいたいそろう、と思ってるんだけど(カッコつけてみた)、絲山秋子の小説を読むと、ここにもだいじなことが詰まってるっていつも思う。好き嫌い、面 白い面白くない、とは別次元の詰まりかた。嗚呼、御託を並べてしまった。『忘れられたワルツ』読み終わった。ほんと、伊坂幸太郎氏の帯のとおりだ。 村上春樹がクラシック音楽なら、絲山秋子は、すべてをさらけ出すロックンロールだ。強くて、やさしくて、弱くて、躍動してる。
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重々しい表紙の写真とは異なって軽い内容~「恋愛雑用論」40代の私にとって恋愛も雑用だ。工務店の事務員の私に煩く話し掛けてくる出入りの業者も40代だが,小利口君と呼んで,恋愛対象にならない。デンマーク勤務の同級生はデンマーク人と別れたが,それも分かる気がする。「強震モニタ走馬燈」小...
重々しい表紙の写真とは異なって軽い内容~「恋愛雑用論」40代の私にとって恋愛も雑用だ。工務店の事務員の私に煩く話し掛けてくる出入りの業者も40代だが,小利口君と呼んで,恋愛対象にならない。デンマーク勤務の同級生はデンマーク人と別れたが,それも分かる気がする。「強震モニタ走馬燈」小学校から仲の良かった友達が離婚したから遊びに来てというので,行って餃子を作って食べてみたが,彼女は大きなモニタで地震の実況を見ているだけで,肝心な相談はできない儘。「葬式とオーロラ」小学校の理科の先生に救われ,その先生が死んだと聞いて,通夜と葬儀に一泊で出掛けたが,雪の高速で出会った女性は,雪の夜にオーロラを造る装置を運んでいて,PAのスタンプを集めてみたが,帰りに出会うことはなかった。「ニイタカヤマノボレ」1945.12.8に真珠湾攻撃を命じる信号を送った電波塔では,音符を投げ上げて占いをする予言者がいた。高校の同級生は私のことをアスペルガーだと言っていたが,何で自殺したか分かる様な,分からない様な。「NR」地方の会議に出掛ける同僚二人は,見慣れない駅名に驚き,降りてみたが,ここから元の世界に帰れない気がするのは,会社のホワイトボードにNoReturnと書いたからだった。「忘れられたワルツ」姉は母が浮気をしていると確信して尾行しているが,父は関心がない。「神と神田喜十郎」神田喜十郎は女装が趣味の70歳だ。高校の同級生が市長になって,プロパンガス会社勤務の傍ら,私設秘書の様な生活を送り,死んだ市長の母とは女装をして温泉旅行もした。歩道橋で転びそうになった時,手を差し伸べたのは神だった~どれも2011.3.11の震災に絡んでいるけど,普遍性を持つだろうか? 彼女は早稲田の10年後輩
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books a to z にて紹介あり 1番始めの『恋愛雑用論』の、書き出しのひとかたまり目が、素晴らしい。 確かに、恋愛も雑用の一つかも。 あと、最後の女装を覚えてしまった人の書き方もすんなり入ってきた。 なまぬるくない表現力が、すごいな…。
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表題作は,最初は長調で陽気な曲が流れる。 いつからか,主人公を取り巻く環境は狂った短調になる。 あったかもしれない物語へのレクイエムであるが,忘れられたというより,狂ったワルツでしょうね。
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+++ 地震計を見つめる旧友と過ごす、海辺の静かな一夜(「強震モニタ走馬燈」)、豪雪のハイウェイで出会った、オーロラを運ぶ女(「葬式とオーロラ」)、空に音符を投げる預言者が奏でる、未来のメロディー(「ニイタカヤマノボレ」)、母の間男を追って、ピアノ部屋から飛び出した姉の行方(「忘...
+++ 地震計を見つめる旧友と過ごす、海辺の静かな一夜(「強震モニタ走馬燈」)、豪雪のハイウェイで出会った、オーロラを運ぶ女(「葬式とオーロラ」)、空に音符を投げる預言者が奏でる、未来のメロディー(「ニイタカヤマノボレ」)、母の間男を追って、ピアノ部屋から飛び出した姉の行方(「忘れられたワルツ」)、女装する老人と、彼を見下ろす神様の人知れぬ懊悩(「神と増田喜十郎」)他二篇。「今」を描き出す想像力の最先端七篇。 +++ 主人公も、題材の選び方も、小道具も、もちろん設定も、かなり独特である。すべてがおそらくこの物語たちの中でしかあり得ないだろうと思われる。そしてそれらことごとくが、在るべくしてそこに在るように、極自然なので、さらに驚かされる。ちょっと変なのに違和感なくいつの間にか入り込んで、自分もその世界にいる。不思議な感覚の一冊である。
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