忘れられたワルツ の商品レビュー
奇しくも「神は死んだ」と重なるところもあったりして。連作短編の後半になるに従って此岸と彼岸の境界が曖昧になっていく。
Posted by
収録されている7編の読み切り短編はいずれも「小説新潮」(2012年3月号~2013年3月号に掲載されたもの。 彼女の小説は、その乾いたユーモアが独特なテイストを生むのだけれど、今回は震災後の世界を取り上げながら、「一人語り」の実験的な試みにチャレンジしていて、その感性が研ぎ澄ま...
収録されている7編の読み切り短編はいずれも「小説新潮」(2012年3月号~2013年3月号に掲載されたもの。 彼女の小説は、その乾いたユーモアが独特なテイストを生むのだけれど、今回は震災後の世界を取り上げながら、「一人語り」の実験的な試みにチャレンジしていて、その感性が研ぎ澄まされた感が強い。 たとえば、『神と増田喜十郎』なんてすごい。なにしろ「神様」が俗人のごとく登場し独り言を呟くのだから、、、
Posted by
【収録作品】恋愛雑用論/強震モニタ走馬燈/葬式とオーロラ/ニイタカヤマノボレ/NR/忘れられたワルツ/神と増田喜十郎
Posted by
これは良かった。どれも不思議で不穏な味付けで、でもそういう場合に得てしてありがちなようにどれも似通っているというわけでもない。NRや忘れられたワルツの怖さ、神と増田喜十郎のペーソス。
Posted by
「忘れられたワルツ」(絲山秋子)を読んだ。なんだろうこのストンと腑に落ちる感じは。収録された7篇すべてが心地良く胸を打つ。読了後胸中に広がる波紋はしばらくおさまりそうにない。まさに名人の域に達した感のある絲山秋子さんである。これは読むべし。
Posted by
バビー 「神」の話が好き。以前の「仙人」の話に通じる感じ。「恋愛雑用論」も楽しかったんだが、つまんない男とうきうきして海に行ったりする時点で彼女の雑用じゃなくなってるじゃん!って思った。フェイスブックとツイッターの在り方なんかも感じることあった。あんなに電力不足や薄暗い夜の街で...
バビー 「神」の話が好き。以前の「仙人」の話に通じる感じ。「恋愛雑用論」も楽しかったんだが、つまんない男とうきうきして海に行ったりする時点で彼女の雑用じゃなくなってるじゃん!って思った。フェイスブックとツイッターの在り方なんかも感じることあった。あんなに電力不足や薄暗い夜の街で過ごした日々はこんなのに電力使って・・・って密かに思ってた。記録も、記憶も大事だけどね。
Posted by
久々に読んだ、絲山秋子。 たぶん私は、この人の意地悪さ加減が、好きなのだな。 前半は割とコミカルな展開の話が多く、後半は、ちょっと変わった人が出てくる話が多いようだ。
Posted by
よかったです!(#^.^#) 今までの絲山さんのもので一番笑えたし、哀しかった。 伊坂幸太郎さんによる帯の「今年一冊しか読めないのならば、この本を読めばいいような気がします」には賛否両論あるでしょうが。. どこかキレた普通の人(って変な言い方だけど)を描く短編集。 一番好きだ...
よかったです!(#^.^#) 今までの絲山さんのもので一番笑えたし、哀しかった。 伊坂幸太郎さんによる帯の「今年一冊しか読めないのならば、この本を読めばいいような気がします」には賛否両論あるでしょうが。. どこかキレた普通の人(って変な言い方だけど)を描く短編集。 一番好きだったのは、最後に収められた「神と増田喜重郎」。 “経験を積んだ”女装者である喜重郎は、自然で目立たぬ女装を心がける70歳超えの独身男。 長年、地元のプロパン屋で働いてきたが、同時に市長となった高校の同級生だったタカちゃんの「雑用係」を社長公認で務めた。 このタカチャンがね、いいんですよ! 「死んだら終わりだぜ!ホンノキだぜ!」が口癖で、(でも結局、喜重郎より先に死んじゃったけど)、 ふと、 「なぜぼくを雇おうと思った?」と聞いた喜重郎に、「うん、その質問が何年も出ないからだよ」と答える。 「早く年よりになりたいなぁ。引退してさ、なにをやっても耄碌ですまされるようになったらこっちのもんだぜ。」なんて。 そして、「年取ったらバカ騒ぎしようぜ」と言ってたのに耄碌するまでは生きなかったタカちゃんは、あくまで喜重郎の生涯の脇役でしかないんだけど、そして、こんな風に記していると、なんか上から目線のイヤな奴に勘違いされそうなんだけど、絲山さんのノリシロの多い文章の中で、とても好ましい&喜重郎を語るにはタカちゃんでしょ!と思えてくるという…。 タカちゃんの七回忌のあと、彼の未亡人の田鶴子が、 「ねぇ、マスダ、今度女同士で遊びに行きましょうよ」と温泉に誘う。 もちろん、喜重郎は驚くわけだけど、 「お婆さん同志が旅行に行ってなにが悪いかしら」と言うそのサバサバした物言いが、あ、この人好きだなぁ、と思わせられてしまうところもよかった。 う~~ん、私の感想が下手くそで、うまくタカちゃんにしろ、田鶴子にしろ、肝心の喜重郎にしろ魅力を伝えられてない気がします。 結構引用も多くしているのに、行間の持つ力に負けてる・・? この短編集全体に渡って、人とのコミュニケーションがあまり上手ではない、というより、あまり求めていない人々が出てきて、その淡々とした生き方が鼻につく、人をバカにしている、と感じる読者もいるだろうなぁ、なんて思うから、さっきから何度も書き直してみてるんだけど。 で、「神と喜重郎」の、“神”の方なんだけど、これが正真正銘の神様!なんですよ。 祈りが多すぎる人の世は神にとって若干棲みづらい、なんて思ってたりする神。 で、温泉旅行で、喜重郎は田鶴子に、「タカちゃん、神を見たって言ってました」と地酒を飲みながらふと告げる。 車の鍵がなくて困っていた時に歩道橋から降りてきて鍵をくれ、御礼を言って名前を聞いたら、 神です、精神病のシンと書く、と言ったというエピソード。 すれ違う時にものすごい大勢のひとが歩いているような靴音がしたから、本物の神だと確信したタカちゃんがそのことを話したのは喜重郎だけで、それを聞いて、「マスダが聞いてくれてよかったわ。私だったら、そんなの気のせいでしょって頭ごなしに否定してたと思うから」という田鶴子。 その後、一人で歩いていた時、歩道の段差に躓いてバランスを崩した喜重郎に 「ばあちゃん、大丈夫か」と腕をとってくれた神。 「ごめんなさい、ありがとう」と感謝しつつも、なぜか手を伸ばしてくれた相手にではなく、神に感謝しているような気がしていたのである、というあたりもとても好きでした。 これは、きっと好みの分かれるお話、でしょうね。 ただ・・・7編中、ひとつだけ「ニイタカヤマノボレ」だけは好きにはなれなかったかな。 アスペルガー症候群を取り上げているんだけど、(最近、多いよね。これまであまり知られていなかったハンディキャップだから、小説家にとっては新分野として宝の山みたいなものなのかも。)コミュニケーション能力の低さを一般人からは理解不能宇宙人のように描かれると、これって、当事者やその家族が読むことを想定してないな、なんて、いつもの私だったらそんなモラルっぽいことは考えないんだけど、一学年に何人かはいるというハンデであるだけに気になったんでした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編集。 恋愛ものかとおもいきや、恋愛にはいかなかったり、 思った方向になかなかいかない感じ。 短編だからというのもあるかもしれないけど、 もうちょっと、この話を読みたかった、と思ってしまう。 千疋屋の果物食べたい・・・
Posted by
短編7作。 あの日から、変わったこと、変わってしまったこと、変わらないように見えるもの、変わらないもの。 決してこちらに向かってきてる訳じゃないけれど、研ぎ澄まされた言葉の片鱗が彼方此方に刺さる。 帰ることは出来ても、二度とは戻れない。
Posted by