忘れられたワルツ の商品レビュー
どの一瞬も決定的であることに間違いはないけれども、やはりそれでもその前後とでは決定的に地球がずれてしまうようなできごとが存在する。その出来事のあとには人々は今までの地球とは別の場所で生きていかなければならない。その違和感、喪失感を静かにすくい取って描いた作品。すばらしい。
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恋愛は雑用だと言い切るアラフォー女性 金子の「恋愛雑用論」、強震モニタばかり眺めている魚住と井出(美人)…女2人のパジャマパーティー的な「強震モニタ走馬灯」、恩師の葬式へ向かう巽とオーロラを運ぶ女性の一瞬の交流を描く「葬式とオーロラ」、理屈っぽい彼氏にアスペルガーと指摘される女性...
恋愛は雑用だと言い切るアラフォー女性 金子の「恋愛雑用論」、強震モニタばかり眺めている魚住と井出(美人)…女2人のパジャマパーティー的な「強震モニタ走馬灯」、恩師の葬式へ向かう巽とオーロラを運ぶ女性の一瞬の交流を描く「葬式とオーロラ」、理屈っぽい彼氏にアスペルガーと指摘される女性の「ニイタカヤマノボレ」、見たことも聞いたこともない駅から帰れない(ノーリターン)になってしまう中年サラリーマン2人の「NR」、ストレス性の痒みの発作に襲われる風花の「忘れられたワルツ」、齢七十を超えて女装の鍛錬を積んだ増田と退屈しきった神の「神と増田喜十郎」。 相変わらず、よく分からない世界観です。共通テーマは震災かな。
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短篇が7つ.どれも登場人物はわずかだが、それぞれ特異な個性を持っている.小利口くん、魚住、巽と出会う女性、峰夫、津田、風花、増田喜十郎.読んだ後、何故か内田百閒の”冥途”を思い出した.少しぞっとするのが似ているからかな.
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震災にまつわるような、きっかけにしつつも遠巻きにしているような、そんな短編集。当たり前にありそうで、少し不思議な要素が混じっている。でもその「当たり前」と「不思議」の境界線なんて、もともと曖昧なものだよねと、そう思わされるような一冊。最初の方の短編は、絲山さんのイメージとちょっと違うかなと思っていたのだけれど、途中から最後にかけては、やっぱり絲山さんだなと思うような感じで、あの、なんというか少し病んでいるような、危うい方に片足だけどっぷりと浸かっているような、そんな感覚。それはそれで、「ここでしか読めない」ものではあるのだけれど、この前半の部分こそが私としては面白くて、今後の絲山さんにも期待だわと、生意気にも思ったのでした。
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結婚しない、できない女の人の話を書かせたらこの人の右に出る人はいないのではないか。女装に目覚める人やアスペルガーだと気づく女の人の話なんて、奇想天外な話。決して半沢直樹見て元気を出すことのなさそうな男の人や絶対美ST読まなさそうな女の人、そんな地方に住む普通の人々の話ににひととき...
結婚しない、できない女の人の話を書かせたらこの人の右に出る人はいないのではないか。女装に目覚める人やアスペルガーだと気づく女の人の話なんて、奇想天外な話。決して半沢直樹見て元気を出すことのなさそうな男の人や絶対美ST読まなさそうな女の人、そんな地方に住む普通の人々の話ににひととき現実逃避できた。
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タイトルはリストの「忘れられたワルツ」から。短編集。 なんというか絲山さんの作品はどれもそうだといえばそうだけど、一見普通で、でもこんな小説は読んだことないっていうのばかり。特に「NR」と「ニイタカヤマノボレ」は凄味があった。 どちらもあらすじだけだと都市伝説的な要素が強いんだけ...
タイトルはリストの「忘れられたワルツ」から。短編集。 なんというか絲山さんの作品はどれもそうだといえばそうだけど、一見普通で、でもこんな小説は読んだことないっていうのばかり。特に「NR」と「ニイタカヤマノボレ」は凄味があった。 どちらもあらすじだけだと都市伝説的な要素が強いんだけど、都市伝説ってそもそも人々の不安や不満が形になったものという説もあるから、全体に充満する、今の時代の言葉にしにくい不安がこういう物語の形を作るのかなと思ったり。
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短編集、全体の雰囲気が好きです。 特に 『強震モニタ走馬燈』 『葬式とオーロラ』 また、いつか読みたい本です。
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わかったような、わかんないような、何だか煙に巻かれたような不思議な読後感を持った本でした。 ▼『恋愛雑用論』の主人公の気だるくてやる気が抜け落ちたような、ちょっとヤケクソ気味な口調が面白かったです。 ▼「恋愛は雑用」という持論は、この年になってみると、すご〜くよくわかる。私は「恋愛ってメンドクサイよね」という言葉を使っていたけれど、一言で言えばまさに「恋愛は雑用」。ひゃぁ”雑用”なんて言葉を当てはめるなんて、ちょっとビックリ。でもピッタリ! ▼小利口くんの「打算の構造」の話。縦軸に「ためになる」、横軸に「得」の分布図?難しいなぁーでもやってみようかな。小利口くんとしゃべってみたい気がする。”へこたれん男”っていいよね。 ▼『強震モニタ走馬燈』大人になった女同士の友情って、どうつきあっていいのか悩むなぁ。しばらく会っていないから、最近どう?なんて言われても、今の状況をどこから話していいのかわからない。たぶん自分も相手も昔とは興味の対象が違うから相手が何に興味を示すか、探りながら話をするのは疲れるかも。久しぶりに会っても魚住と井手のように何か話が今ひとつ噛み合っていないような、いまいちノリ切れないような会話をしなきゃならないなんて面倒だよ・・・なんて思いながら読んでいました。きっと私も魚住と同じように、友達をさっさと寝かせて、一人で自分の興味の時間を持っちゃうかもなぁ。 ▼家族用の防災用グッズはせめて最低限、もう一度チェックしておこうと、この話を読んで改めて思ったのでした。
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淡々と進んでいく文章の中に、ドキッとするほど深いものがある。震災以降、また大きな「何か」がやってくると仮定しての話もあって、少し背すじが寒くなった。しかし文中の人物は、そのことを神の仕業として静かに受け止めている。 表題作「忘れられたワルツ」は、ちょっとよく理解できなかった。「ニイタカヤマノボレ」と「NR」が好き。
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よいです(*^_^*) 短編集なので、サクッと読めます。 それにしても、ムダがないというか 作品の描き方がとっても上手いです。 他の作品も読みたくなりました。
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