腐葉土 の商品レビュー
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フリーライター木部美智子シリーズ第4弾。 高級老人ホームで殺害された資産家老女・笹本弥生。弥生殺害事件を調査するフリーライター・木部美智子の目線で語られる弥生を巡る人間達。孫、ホームでの弥生の担当者、顧問弁護士、新聞社デスク・・・。そこに、大学を巡る詐欺事件、弁護士の謎の事故死などが複雑に絡まり合い、事件の行き着く先は予想もつかない。 現在の時間軸の間に挟み込まれる、弥生の過酷なまでの人生。関東大震災、東京大空襲を生き延びた壮絶な過去の記憶。焦土の中、ただ「生きる」ことだけを正義として冷徹にのし上がってきた弥生の生きざまには激しく心を揺さぶられる。 夫にも娘にも、孫にさえも愛されず、最後まで孤独にあった弥生の人生の結末のつけ方に胸が締め付けられる。 主人公木部美智子の淡々と、しかし一本筋の通ったライターとしての在り方は清々しさを覚えるし、彼女と協力して調査を進める記者・亜川もまた魅力的。 遠田潤子作品ほど湿度のあるドロドロ感はないものの同様の熱量をもち、太田愛作品ほどのエンタメ要素はないが同様の骨太さをもったミステリは、圧倒的な密度ゆえに、最後は考えることさえできないほど頭が疲労して、読み終わってひたすら放心。 全てを読み終わってみると、「腐葉土」というタイトルの深さが実感される。いや~凄い作品でした。
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どの作家であれ、文庫書き下ろしなるものはそこそこで、そこそこ以上はほぼないなぁと思っています。しかしこれは大当たり。どうしてこれがまずは単行本で刊行されなかったのだともったいなくなる。なんて、よほどのことがない限り、文庫化されてからしか本を買わない私が言うのもなんですが(^^;。...
どの作家であれ、文庫書き下ろしなるものはそこそこで、そこそこ以上はほぼないなぁと思っています。しかしこれは大当たり。どうしてこれがまずは単行本で刊行されなかったのだともったいなくなる。なんて、よほどのことがない限り、文庫化されてからしか本を買わない私が言うのもなんですが(^^;。 関東大震災と東京大空襲のなか、闇市で成り上がった女性が、高級老人ホームで殺害される。その老女と不仲を噂されていた孫が唯一の法定相続人であるはずが、ホーム職員の男性がもう一人の孫だと名乗り出る。 まるで著者が見たかのように綴られる震災と空襲当時の凄まじい光景。家族を失い、奉公先も失って、たった一人で生きなければならなかった女性の生涯。フリー記者、大手新聞社デスク、テレビ局ニュース制作班らの取材の進め方に引き込まれます。550頁超、複数の事件に多くの人物が絡んでいるから、とっとと読まないと頭の中で整理がつかなくなりそう(笑)。そこを丁寧に読みたい。誰かの生涯の一点と交差した人間としての誠意、それを見せてくれる記者たち。ラスト200頁はどうにも止まらなくて参りました。帯の「怒涛の急展開」に偽りなし。
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面白かった!!! 笹本弥生という老人が過ごして来た人生が壮絶で 生きるためにのし上がるたくましさ。 今と昔と交互に読み進めて行くけど弥生の人生に引き込まれた。 最終章は意外な結末に先が気になって、読むのが止まらなかったよ あっちもこっちもそうだったのねって感じ。 久し振りにがっつりミステリー読んだって感じでした。
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作中の「親を汚い物を見るように見るんじゃないよ!」は「こんなに愛してほしいのに、どうして!」に思えて。
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いやー 読みごたえありました その満足度に星5ツです まず弥生ばあさんの生きざまを知るための関東大震災と東京大空襲の描写がスゴイ。これだけの中を生きてきたんだから、これだけのばあさんになったと納得させらせる。 そしてミステリーとしても、いくつかの事件が上手く絡み合って、それで...
いやー 読みごたえありました その満足度に星5ツです まず弥生ばあさんの生きざまを知るための関東大震災と東京大空襲の描写がスゴイ。これだけの中を生きてきたんだから、これだけのばあさんになったと納得させらせる。 そしてミステリーとしても、いくつかの事件が上手く絡み合って、それでいて最後にはちゃんとまとまってる。 登場人物が多くて途中で「これ誰だっけ?」になったけど、そこはスルーしましょう。 もし映像化するなら、弥生ばあさんを演じられるのは 樹木希林さん ですよね
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ミステリーとしては、途中、寄り道部分が長いので、 ちょっと物足りない気がしましたが、 一方で途中の寄り道部分がとても読ませる内容で、 トータルとしては「面白かった」です。
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読みごたえがある作品で、何だかんだで続けて2度読み。 かなり重たい内容で、凄まじい人生と、複雑な人間関係と、人の想いと。決して楽しい作品ではないが、2度読みたいと思わせられた内容だった。
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2014.02.08 時代を行き来するものが好きなんだと気付いた。 面白くて先へ先へと進みたいのだが、大変読みにくかった。私の理解力のなさか? 視点や話をしている人が急に変わる。 改訂して出したらよいのにな~と思ったり。
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読みにくかった。 少女漫画を読めない、という感覚での読めなさ。 視点がポンと切り替わるのも、ちょっと辛かった。 個人的には清張の匂いがして、世界観とか嫌いじゃないんだけど、 読めなかった。 もう終わる、と思ってから三日も読んでた。
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2013/4/19 Amazonより届く。 2018/2/7〜2/12 二年半ぶりの望月作品。木部美智子シリーズ。帯で大森望氏も書いているように、最後のどんでん返しが凄い。前半の伏線の回収が見事。
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