幻坂 の商品レビュー
大阪にある七つの坂を舞台にした9話の短編集。歴史的因縁や文化的背景を織り交ぜながら叙情的で切なさが多い作品。「愛染坂」と「真言坂」がとても悲しく切なかった。霊がこの世にとどまっている理由が、大事な人の幸せを見届けているからというのがまた良い。「濱地健三郎の霊なる事件簿」の濱地探偵...
大阪にある七つの坂を舞台にした9話の短編集。歴史的因縁や文化的背景を織り交ぜながら叙情的で切なさが多い作品。「愛染坂」と「真言坂」がとても悲しく切なかった。霊がこの世にとどまっている理由が、大事な人の幸せを見届けているからというのがまた良い。「濱地健三郎の霊なる事件簿」の濱地探偵が出てくる作品もあった。
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坂って、標高の異なる場所を繋ぐものと思うと、異なる次元と繋がって、怪しきものに遭遇してしまうところなのかも。 濱地健三郎ものが2作。
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久しぶりの再読。以前『濱地健三郎シリーズ』を読んだときに、あとがきにてこの作品が濱地の初登場と知り、そのことをすっかり忘れていたため久々に読みたくなった。 『天王寺七坂』と呼ばれる七つの坂を舞台にした話と、芭蕉終焉の地やさらに歴史を遡って歌人の話二編を加えての九編。 目的の濱...
久しぶりの再読。以前『濱地健三郎シリーズ』を読んだときに、あとがきにてこの作品が濱地の初登場と知り、そのことをすっかり忘れていたため久々に読みたくなった。 『天王寺七坂』と呼ばれる七つの坂を舞台にした話と、芭蕉終焉の地やさらに歴史を遡って歌人の話二編を加えての九編。 目的の濱地登場作品は二話。 一つは女性デザイナーの別荘に現れるという子供の幽霊を調査に来たという設定で、シリーズ作品に繋がるようなミステリーとサスペンスを織り混ぜたような雰囲気。 切れ味鋭い濱地が見られた。 もう一編は彷徨っている女性の霊を何故か料亭でもてなしている濱地。もちろんそこには女性のために行った理由があるのだが、料亭自体も雰囲気があって面白い。先の切れ味鋭い濱地とは違う、穏やかな濱地が見られる。 他の作品は怪談といっても様々な味わいがあった。猫に魅入られる「口縄坂」は怖かった。 他はノスタルジーありセンチメンタルあり、ほのぼの系もあった。 個人的に最後の二編はあまり入り込めなかった。 大阪にこんな坂道が沢山ある地域があるとは知らず、巻末の地図を見ながら読むのも一興。 ミステリーとは違う有栖川作品を楽しめた。
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ツイッターで誰かオススメしていたので借りてみた。有栖川さんは三作品目。今回は短編集なんで、私的にアタリとハズレがあった感じ。 以下各短編のサラッと感想。ネタバレあり。 「清水坂」 関西弁での昔語り。なかなか切ない話やけど、口調が穏やかやからかほんわかする感じ。 「愛染坂」 新人作家(男子)が身勝手な理由で恋人を失う話。あんまり好きやないなぁ。 「源聖寺坂」 この中で唯一ミステリー色強めな作品。ミステリーとして読むとイマイチ。でも心霊探偵はいいキャラだな〜。 「口縄坂」 一番ホラーやった!!気味悪い怖さ。猫こえぇ。 「真言坂」 これ好き。恋ではなく家族愛よりの話。 「天神坂」 心霊探偵再び。今回は舞台もいい。お料理美味しそう。ラストも気持ちよく終わって好きな話。こういう料亭、行きたいな〜死ななきゃ無理か(笑) 「逢坂」 劇団員の役作りの話。妹分が出てくるけど、こちらはあんまり。 「枯野」 松尾芭蕉の最期の話。往生際が悪くて少し笑った。 「夕陽庵」 これだけちょっと意味がわからず。歴史に疎いからなかなかちょっとハードル高いな。流し読み。
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天王寺と言えばあべのハルカスくらいしか知りませんでしたが、そのすぐ近くにこんな趣深い坂があるなんて。今度ぜひ歩いて見たいです。でも昼間しか行きません。夜は本当に何か出そうで怖いです。
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またやってしまった。ミステリじゃないし〜。 ま、濱地健三郎と再会したからいいか。それに「源聖寺坂」のハートフルな後味の良さは有栖川有栖の真骨頂だし。ホッコリ。
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天王寺七坂を舞台にした短編にいくつか足したもの。それぞれにそれなりに面白かった。縛りと発想の絡め方を逆算しても面白いと思う。
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大阪市の中心部、上町台地を西に向かって下っている七つの坂「天王寺七坂」「大阪七坂」をモチーフにした七つの怪談と、松尾芭蕉の臨終にまつわる怪異、熊野に向かう旅人が住吉で亡き歌人に想いを馳せる単行本書き下ろしの全9編が収められている。 第5回 大阪ほんま本大賞に選ばれた。 ミステリ...
大阪市の中心部、上町台地を西に向かって下っている七つの坂「天王寺七坂」「大阪七坂」をモチーフにした七つの怪談と、松尾芭蕉の臨終にまつわる怪異、熊野に向かう旅人が住吉で亡き歌人に想いを馳せる単行本書き下ろしの全9編が収められている。 第5回 大阪ほんま本大賞に選ばれた。 ミステリーをほとんど読まない私にとっては、初めての有栖川有栖作品。これはミステリーではなく怪異譚集ではあるが、中には「心霊専門探偵」が活躍するミステリー仕立てのものも。 天王寺七坂をすべて歩いたわけではないが、雰囲気はわかる。愛染坂の階段のほうと口縄坂はつい先日歩いたばかりだから記憶に新しい。いずれ全坂を制覇したいとは思っている。 作者があとがきで書いているとおり「ぞくっ」とするような話を期待して読むと、ちょっと肩透かしを食らうかも。確かに、私の期待していたものとはちょっと違った。もう少し「ありそうな怪異譚」を期待していたのだが・・・(言ってみれば、現代民話風の)。 怪談なので、誰かが死ぬ。または、死んでしまった人と生きている人間の話である。幽霊は出てくる。猫の妖怪のようなものの話もある。それが七つの坂のイメージと合っているかどうか、感想は人それぞれだろう。 猫の話は口縄坂が舞台だったが、先日通った愛染坂の階段のほう、大江神社の参道のほうに猫がたくさんいた。しかも、その坂、私の連れ合いの幼少のころの遊び場で、同級生が「柔道一直線」の必殺技【地獄車】に挑戦して、坂下の民家の玄関先に突っ込んで血まみれになった(昔は今のような真ん中の手すりはなかった)という、昭和な爆笑武勇伝の舞台になった場所なので、この中の一編のような物悲しい恋物語とどうしても結びつかない。ほんとうに、申し訳ない。 大阪という土地がまだ海に浮かぶ半島だった太古の記憶をとどめたエリア、上町台地。海側から至る七つの道。観光名所というにはあまりにも地味だが、なかなか風情のある場所なので、この本を携えて歩いてみるのも悪くないかもしれない。ただし、歩きやすい服装で、履きなれた靴で!
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あからさまな恐怖を感じさせはしませんが、なんとも気色悪い感じです。誰もが知っている大阪のイメージとは違う印象を与えてくれます。高校時代を上六や谷九で過ごしていながら、天王寺七坂の存在をしれませんでした。学校帰りにでも歩いておけばよかったと反省しきりです。
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有栖川先生の違う一面。 求めてない人にはきっと苦手だろう。 この街に有栖川先生がいる。こんな物語が生まれる舞台がある。つくづく素敵な町に住んでいるな。 2017*02*24読了。
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