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ロジカルな田んぼ の商品レビュー

4.1

23件のお客様レビュー

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2024/06/01

(2013/4/30) こういう本は楽しい! 前にもこの日経プレミアシリーズで「リンゴが教えてくれたこと」(木村秋則)を興味深く読んだことがあったが、 今回はテーマが主食の米だけに、なおのこと面白かった。 何故こんなにのめりこめるのか、 それは、農業が、自然が、一番理にかなった...

(2013/4/30) こういう本は楽しい! 前にもこの日経プレミアシリーズで「リンゴが教えてくれたこと」(木村秋則)を興味深く読んだことがあったが、 今回はテーマが主食の米だけに、なおのこと面白かった。 何故こんなにのめりこめるのか、 それは、農業が、自然が、一番理にかなった、嘘のつけない、原理原則が働くものだからと思う。 著者も批判をしているが、今の農業は自然と向き合わず、何も考えず、ただ肥料や農薬漬けにするばかり。 それではいい収穫はできないという。 どうすれば美味しいコメが取れるか、そこに焦点を絞って考えれば、いくらでも改善工夫が出来るという。 昔からの農業の方法も、肥料も機械も違う現在の環境に照らせば全く同じではダメで、 「ぼかし」も15センチもやる必要はなく5センチでいいとか。 状況を把握し、課題を明確にして問題解決していく。 なんだ、問題解決手法そのものではないか。 だから楽しいのだ。 とはいえ私は農業について何も知らない。 「ぼかし」も知らなかったし、(偶然だがこの本を読んだ直後にPODCASTで菅原文太さんが「ぼかし」と言ってるのを聴いた。) そもそも田んぼに水を張る理由も知らなった。 稲は水を張らないと育たない植物と思ってた。 皆さんご存知? 雑草をはやさないためにそうしているのだそうな。 雑草が生える前に稲がしっかり大地に根を張るよう、水の中に苗を植えるのだ。 へぇ。 美味しいコメ、美味しい酒。 ちゃんと作れば自由化したって勝負できるのだ。 著者はTPPにも触れている。 昭和40年の減反政策時にしっかりした策を講じていれば、美味しい米、安心安全な米で勝負できたはず。 それを、農協のあほな政策で肥料農薬は増やしながら減反する、という馬鹿なことをしたから、まずい米になる。 減反分苗を減らして植えれば、いい米が育ったはずという。 もちろん雑草対策、病気対策も、手間はかかるが農薬でない方法が書かれている。 米は著者が作った有機無農薬の「あさひの夢」 著者が酒米を造る青島酒造の純米吟醸喜久酔(きくよい)のんでみたいねぇ。 いい本を読みました。 第1章 豊かなアフリカ、貧しい日本 第2章 雑草の生えない田んぼ 第3章 有機って何だ? 第4章 田んぼの春夏秋冬 第5章 山田錦の魅力 第6章 神様がくれたカミアカリ 第7章 多様性をもとめて

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2021/05/21

 松下明弘は、酒造米山田錦を無農薬無化学肥料で作った。 また、巨大胚芽米「カミアカリ」を自分の圃場で見つけ出し、品種登録までした農家である。どんな人かと思って読んでみた。  無農薬無化学肥料の栽培をする本の中で、確かにロジカルに考えて、取り組んでいる姿が生き生きと描かれていて、読...

 松下明弘は、酒造米山田錦を無農薬無化学肥料で作った。 また、巨大胚芽米「カミアカリ」を自分の圃場で見つけ出し、品種登録までした農家である。どんな人かと思って読んでみた。  無農薬無化学肥料の栽培をする本の中で、確かにロジカルに考えて、取り組んでいる姿が生き生きと描かれていて、読みやすく、為になる本だった。「仕事・稲作、趣味・稲作、特技・稲作」というほどの コメオタクなのだ。  慣行農法は、肥料や農薬を使うことを慣行というのだが、誰がやっても同じものが作れるというのは、大量生産、大量消費時代の発想ではないかと指摘する。なぜ農家は考えなくなったかといえば、化学肥料と農薬があって手軽に栽培できるようになったからだという。  松下明弘は、農業高校の実習助手になり、その後青年海外協力隊として、エチオピアに行き、エチオピアの農業のあり方で、持っていた農業観が崩れることになった。「生きていけるだけの食べ物があればいい」という生活に衝撃を受ける。  化学肥料や農薬を使って、過保護に育てる農業から、イネが求める農業への転換。化学肥料と農薬を使わない農業への取り組む。そこで、わかったことは、環境が変われば、農法も変わるという。 化学肥料を全く使わないで育てて、基準点を決めて、有機肥料をどれだけやればを研究する。  1坪に50株植えて(疎植が基本;風通しが良くなり、光合成も進む)、1反に15000株。それで420kgを目標にするから、1株コメの総重量は28g。黄金晴の1000粒重は21gなので、1300粒つけると考える。ロジカルなのだ。  それをバケツ栽培で肥料の量を決めて、1300粒つく有機肥料の必要量を決める。実証的だ。 次は雑草をどうするかでの取り組みは面白い。雑草はヒエとコナギ。ヒエは酸素が必要。コナギは光が必要。それを断ち切る方法を編み出し、結果として、地表面の5CM程度を代かきして、フワトロ層を作ることで、抑草ができる。  土とは、微生物が作り出すもので、微生物をどうはたらせるかを研究する。有機肥料をどう微生物に働かせて、土作りをして、稲を成長させるかだ。  かなり、基本的なことを、農作業の上で何が必要かを徹底して考える。  松下明弘は、自分の農地の特徴をしっかりと客観的にみて、その上で稲作りをしていく。それは、テロワール(フランス語で土地や土壌を意味する)をつくること、つまりその土地を生かした特有の技術で作り上げる、生産者のパーソナリティを出す。  無農薬有機栽培の山田錦を作る、そして、カミアカリを見出し、玄米専用のコメとする。  なるほど、道理にあったロジカルな田んぼ作り。納得した。

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2019/02/27

土地の形状や性質、気候、品種によって育て方はごまんとあるはずなのに、農協が推奨する画一的な農法のみを行っている弊害を、作者の言葉である「考えない農業」として問題提起をしている。 農業には接点ないので実感は薄いけど、確かに言われてみりゃその通りだな、と。 昔、雑誌の記事で読んだ...

土地の形状や性質、気候、品種によって育て方はごまんとあるはずなのに、農協が推奨する画一的な農法のみを行っている弊害を、作者の言葉である「考えない農業」として問題提起をしている。 農業には接点ないので実感は薄いけど、確かに言われてみりゃその通りだな、と。 昔、雑誌の記事で読んだ合鴨農法や昨今映画化された「奇跡のリンゴ」の内容に近いと思った。人為的な部分を減らして、自然の状態に近づける。植物本来の”強さ”をいかに引き出すかということに注力している訳だけど、それだけに今の農法が薬品類に依存しているかが分かる。 まあ、農薬類のメリットもある(たぶん…)ので、偏に否定できないのが難しいよね。 著者の研究心は素直に感心。田を耕す深さを決めたり、刈り取る日時を逆算して植える品種や量を決めているらしい。そんなこと大規模農場では考えていないのか、と逆に思ったけど、もしそうならほんまに「考えていない」のかもね… 作中でも何度も言っているけど、本当に稲作が好きなんだろう

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2017/04/28

青年海外協力隊に参加し、エチオピアで農業指導をしていた著者は、灌漑用ポンプを使って連作を試みる。が、現地の村人たちはその意図を理解しない。 「乾季にも畑をつかえたら収穫が増えるでしょ...お金があれば、いろいろ買い物が出来るよ。いい服も、おいしいものも買える」 「...僕たちに...

青年海外協力隊に参加し、エチオピアで農業指導をしていた著者は、灌漑用ポンプを使って連作を試みる。が、現地の村人たちはその意図を理解しない。 「乾季にも畑をつかえたら収穫が増えるでしょ...お金があれば、いろいろ買い物が出来るよ。いい服も、おいしいものも買える」 「...僕たちには必要ないと思うよ」 個人的な話だが、今、自分が農業に転身する理由はまさにこの村人と同じ価値観に拠る。都会で手に入る享楽はもう十分経験した。もともと、ただ生きるだけのことがやたらに苦しいと延々思い続けてきた自分にとって、生きる糧を自分の手で生産するというのは究極のゴールであり、やっとこの歳になってスタート地点に立とうとしている。 さて、私事は置いといて、本書は稲のオタクを自認する著者が、自らの稲の作り方を丁寧に詳細に渡って説明してくれていて、すばらしい。就農準備のために、手当たりしだいに農業の本を読みまくっている中で、必然的に「不耕起(+冬季湛水)」の岩澤信夫氏や「自然農法」の福岡正信氏等の著書にも当たってきて、興味を深く惹かれていた。が、土地土地によって適する農法はそれぞれ異なる、ということがだんだん分かって来ていた。なので、本書中、著者の田んぼのように水持ちが悪い場合は不耕起はうまくいかない、という箇所を読んだ時、やはりそうなのかと膝を打つ思いがした。 ただ、技術的にはその通りにやる、ということにはきっとならないにしても、本書に書かれている著者の農業に対する考え方の数々は、これまで得た知識の中から、たぶんこうなのではないか?と自分が拾い上げて、自分なりに整理しつつある理解を強く後押ししてくれる内容で、非常に同感し、納得した。 植物の生命力を尊重し、徹底的に観察し、常に考える。そういう姿勢で自分も取り組んで行きたいと思う。 減反が農業を弱体化させたと言う点ももっともだと思う。TPPについても、漫然と農協に買い上げてもらうだけの農業は太刀打ち出来ないというのも、その通りだろうと思う。しかし逆に、農業には可能性がある、土地土地に多様性があって、可能性が眠っているのだ、という主張もされている。著者の目は未来の希望に向けられている。 最近では、農家の高齢化や耕作放棄地などの問題が行き過ぎて、田舎は新しく農業をやってくれる人間を真剣に求めている。田舎暮らしブームが起きた頃と状況ははっきり違うと思われる。自分でも田舎に行き、農家からの直接話を聞いてみて、日本の農業を取り巻く状況はもはや猶予ならぬ段階に完全になっていると思う。 もっと田舎への関心が向けられ、冒頭に書いたような価値観にも目が向けられていけばよいと思う。石油由来の資源にのっかった、都市での大規模消費を回して永続的に成長しなければならない経済だけが、我々にとっての唯一の未来ではないはず。豊かな自然に支えられてきた、それぞれの土地土地の経済にも、もう一度活力を与えていくことが本当に必要だと思う。

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2014/09/18

米作りって奥深い!稲作を愛し心から米作りを楽しんでいる趣味は稲作な著者の本。お米作ったことあるけど味がなかった。研究し出したら楽しいかも、稲作って。

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2014/05/24

農業の知識がないのに、細かい農業に関する記載も興味深く読める。コメ作りの奥深さを感じた。 結構マニアックなことが書かれてる気がするのに飽きずに最後まで読めた。 仕事を楽しむためには、仕事をとことん好きになり、私利私欲のためじゃなく人のために尽くすことが大事。それはどんな職種も関...

農業の知識がないのに、細かい農業に関する記載も興味深く読める。コメ作りの奥深さを感じた。 結構マニアックなことが書かれてる気がするのに飽きずに最後まで読めた。 仕事を楽しむためには、仕事をとことん好きになり、私利私欲のためじゃなく人のために尽くすことが大事。それはどんな職種も関係ないと感じた。

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2013/12/01

疑問をもつことの大切さがわかりました。 世の中で「常識」とか「当たり前」とされていることは、本当にそうなのだろうか?考えることをやめた思考停止状態では見えないことが、疑問をもち、自分なりの答えを探すことで見えてくる。 自分の仕事にも生かせる視点を得ることができた本です。

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2013/10/14

元ヤンの稲オタクが育てた米は「喜久酔 松下米」という酒米の生産者がブランドになった日本酒になった。化学肥料も農薬も要らない田んぼがどうやって作られたか。この話はすりあわせ型のものづくりの成功例だ。 田植えは何のため?  直播きだと稲と雑草の競争になるから先に稲を成長させておく。...

元ヤンの稲オタクが育てた米は「喜久酔 松下米」という酒米の生産者がブランドになった日本酒になった。化学肥料も農薬も要らない田んぼがどうやって作られたか。この話はすりあわせ型のものづくりの成功例だ。 田植えは何のため?  直播きだと稲と雑草の競争になるから先に稲を成長させておく。 水田はなぜ水をはるのか? 雑草の発芽には光が必要なものと酸素が必要なものの2通りある。水田の表土がフワトロの状態になると代掻きをした際に軽いので一番表面に降り積もり、雑草を光と酸素から遮断するので雑草が減る。このため水田は水平にし水深を一定にするのが肝になる。 なぜ有機農法か? 化学肥料を大量に使うと成長が早く稲は縦に伸びるがいくらでも養分を取れるため根がはらず、台風等に弱い稲になる。松下式では浅くしか耕さないのと相まって当初は見た目成長が遅いがその分根を張る。2011年台風の直撃で稲の先っぽは吹き飛ばされ手も稲は倒れず、先のほうは屑米になってしまったが残された76%に養分が送られ非常に質の高い米ができた。有機農法だと微生物の発酵で酸性土になり雑草の発芽を押さえる効果もある。また害虫にも強かったと言うのは天敵の虫や動物が増えるのと発酵でできたアルコールの効果も考えているらしい。 有機農法だと不耕起栽培もあるが土の質の違いも有り上手くいかなかった。保水力の無い田んぼには水田と浅起こしが有っていて、土地が痩せていて水と一緒に肥料が抜けるため苦労は多いがタンパク質の少ない旨い米が取れた。魚沼産のコシヒカリが美味しいのも水が冷たく、日照時間が短く、土地が痩せていて肥料が効かない土地が幸いしたのだそうだ。単純に水がきれいなら米がうまいと言うような事ではないらしい。 最後に少しTPPにも触れている。現状でTPPに参加すれば日本の稲作は斜陽化する。いずれ淘汰される兼業農家かもしれないがでは誰が米を作るのか? TPPに参加して大打撃を受けるのは漫然と米を作り、農協に買い上げてもらっている人たちだが松下は影響を受けないと言い切る。そして松下は次代の若い農家を育てている所だ。とりあえず喜久酔 松下米は飲んでみたい。

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2013/10/06

有機・無農薬の稲作を実現するための試行錯誤は、理系の研究そのものじゃん!と思った。ロジカルとはこのことか。

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2013/09/29

 静岡県藤枝市の農家に生まれ育った著者が、「本当に化学肥料や農薬が稲作には不可欠なのか? 大量生産・大量消費時代の発想から、『考えない農業』が定着してはいないか?」との思いで独自の農法を追求してきた実録書。 「仕事・稲作、趣味・稲作、特技・稲作」。名刺にそう書き、稲作をとこ...

 静岡県藤枝市の農家に生まれ育った著者が、「本当に化学肥料や農薬が稲作には不可欠なのか? 大量生産・大量消費時代の発想から、『考えない農業』が定着してはいないか?」との思いで独自の農法を追求してきた実録書。 「仕事・稲作、趣味・稲作、特技・稲作」。名刺にそう書き、稲作をとことん楽しむ稲オタク。全国で初めて酒米『山田錦』の有機・無農薬栽培に成功、さらに玄米食専用『カミアカリ』を個人農家として品種登録。そのドラマが明かされる。

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