マンチュリアン・リポート の商品レビュー
蒼穹の昴シリーズは大好きで、これまでの全ての作品を読ませていただきました。第4段となる本作では志津中尉のレポートと、鋼鉄の伯爵と呼ばれる蒸気機関車の追憶が交互に提示される事で、満州鉄道爆破による張作霖爆殺事件が明らかとなります。ストーリーもさる事ながら、このスタイルにもとても感銘...
蒼穹の昴シリーズは大好きで、これまでの全ての作品を読ませていただきました。第4段となる本作では志津中尉のレポートと、鋼鉄の伯爵と呼ばれる蒸気機関車の追憶が交互に提示される事で、満州鉄道爆破による張作霖爆殺事件が明らかとなります。ストーリーもさる事ながら、このスタイルにもとても感銘を受けました。コロナ禍の中でしたか、本の中で北京から奉天を旅している気分を感じる事が出来ました。是非ともこの先もこのシリーズを読みたいと思います。このような素晴らしい作品を執筆された浅田先生に感謝いたします。
Posted by
関東軍参謀による謀殺とされている張作霖爆殺事件の真相を探るため、天皇陛下より密命をくだされた軍人志津中尉からの報告書を読み進めていくスタイル。 歴史の授業で習った微かな記憶はあるが、その経緯、中国内の軍閥の利害関係、日本軍との関わりなどある程度理解ができた。何より、爆殺の方法が多...
関東軍参謀による謀殺とされている張作霖爆殺事件の真相を探るため、天皇陛下より密命をくだされた軍人志津中尉からの報告書を読み進めていくスタイル。 歴史の授業で習った微かな記憶はあるが、その経緯、中国内の軍閥の利害関係、日本軍との関わりなどある程度理解ができた。何より、爆殺の方法が多くの人間が想像していたイメージと全く違うことに新鮮な驚きを感じた。文庫本のカバーデザインに納得。
Posted by
あゝ、読んでしまった… 今ある浅田次郎の傑作達を。 中原の虹の主人公、張作霖を本編を読んでる時はなんとも思っていなかった。 しかし、マンチュリアン•レポートを読んでると、張作霖の人間性を改めて好きになった。 その人間性を作っているのは、浅田次郎なのだが。 あゝ、新たな話...
あゝ、読んでしまった… 今ある浅田次郎の傑作達を。 中原の虹の主人公、張作霖を本編を読んでる時はなんとも思っていなかった。 しかし、マンチュリアン•レポートを読んでると、張作霖の人間性を改めて好きになった。 その人間性を作っているのは、浅田次郎なのだが。 あゝ、新たな話が出てこないか… 今から待ち遠しい。
Posted by
いやぁ、昔の日本よ、なんてことをしてくれちゃったんだよ…と改めて思った。 この当時の情勢や出来事についてはまだまだ無知ではあるけれど、超えてはならなかった一線を越えてしまったんだということはわかった。 このシリーズを学生の課題図書にしたらいいのに。小説とは言えど、歴史を振り返り、...
いやぁ、昔の日本よ、なんてことをしてくれちゃったんだよ…と改めて思った。 この当時の情勢や出来事についてはまだまだ無知ではあるけれど、超えてはならなかった一線を越えてしまったんだということはわかった。 このシリーズを学生の課題図書にしたらいいのに。小説とは言えど、歴史を振り返り、調べ、検証し、今後に活かすきっかけになるのではないかと思う。
Posted by
本作といい『珍妃の井戸』といい、 このシリーズ幕間の作品は他国の侵略という目線が大いに採用された中国近代史になっています。 そのぶん日本人としては読むのが辛い…… これはフィクションだから史実と混同してはいけないのだけれども、 フィクションは時に史実より雄弁にわたしたちへ語りか...
本作といい『珍妃の井戸』といい、 このシリーズ幕間の作品は他国の侵略という目線が大いに採用された中国近代史になっています。 そのぶん日本人としては読むのが辛い…… これはフィクションだから史実と混同してはいけないのだけれども、 フィクションは時に史実より雄弁にわたしたちへ語りかけてくるなあと、それが文学の力だなとこの頃思います。
Posted by
これまでのシリーズを読んだことなかったからか、登場人物やら関係性やら言葉やら難しくて読み解くのが大変だった。もっと満州の事や関東軍のことなど、時代背景を知ってから読んだらもっと楽しめたのだろう。そうしたらこのシリーズを読んでいきたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『蒼穹の昴』シリーズの第4作であり、張作霖爆殺事件を取り扱った歴史小説。事件の調査報告書と、爆破された機関車を擬人化した独白が交互に語られる、という構成で、特に後者が全体にセンチメンタルな印象を与えている。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
西太后やラストエンペラー、更にその弟の存在は知っていたけれど 張作霖のことは知らなかった。 信長と秀吉は知っているけれど、明智光秀は知らないみたいな感じだろうか。。。 汽車の擬人化には驚いた。 春児の登場も嬉しい。占い師がまだ存命にはたまげた。 ウィキだから、正確さは分からないけれど、息子は大分切れ者だったようで。 前作でその友人が謀反を起こしたことがサラリと述べられていて 前作の張作霖の強烈さに比べ、済んだことだからか、さらりさらりという印象を受けたけれど、 (本人も息子への代替わりを意図していたし、察していた描写だったけれど。汽車の最期は悲しかったが) そこから今後中国がどうなるのかが気になる、という感想を持ったところで作者の意図にはまっているのだろうか。。 同僚も乗っているのに爆破した日本軍の闇、爆破に至った作品を読んでみたい。 解説で張作霖ゆかりの土地が紹介されていたが 今更、彼は馬賊だったことを思い出す。
Posted by
現代史の謎、張作霖爆殺事件の真相に、密勅を受けた日本陸軍将校と、擬人化した機関車を通して迫る。 この頃の中国史は登場人物が多くて理解しづらいですが、浅田次郎の描写で理解が進み、俄然興味が湧いてきます。 蒼穹の昴のシリーズ作品で、一部の登場人物も出てきます。
Posted by
『中原の虹』のその後、張作霖爆殺事件の謎を描く。 この事件、事件名くらいしか知らない己の情けなさ。 でも、ここまで読むまでは、張作霖について、あえて調べずに読むことにした。 昭和天皇の密命を帯びた陸軍中尉、志津が描いた報告書と、なんと、西太后の御料車(!)のモノローグで構成さ...
『中原の虹』のその後、張作霖爆殺事件の謎を描く。 この事件、事件名くらいしか知らない己の情けなさ。 でも、ここまで読むまでは、張作霖について、あえて調べずに読むことにした。 昭和天皇の密命を帯びた陸軍中尉、志津が描いた報告書と、なんと、西太后の御料車(!)のモノローグで構成された物語。 中原に出た張作霖が、国民革命軍との戦いに敗れ、奉天に帰る。 その際、かつて西太后を乗せた英国製の御料車に乗って。 例の岡圭之介や、吉永将も登場する。 吉永は張作霖の乗った列車に同乗おり、途中で関東軍のたくらみに気づく。 吉永は張と運命を共にすることを選び、大怪我を負いながらも命を取り留める。 こうした経験から、本作で登場する吉永は心を病み、『中原の虹』の時とは別人のようになってしまっているのが痛々しい。 この人は実在の人物なのだろうか? いずれにせよ、この時期、日本にも、中国にも、国家のエゴに翻弄されて、目の前にいる、関係を築いた隣国人との間で板挟みになって苦しんだ人はいたに違いない。 西太后の奉天行きの様子は、きっと記録にあることなのだろうと思うが、お付きの人々が座ることもできずに付き従ったという話は、さもありなん、と思った。 最後の、紫禁城を訪れる場面で、春児とあのシャーマンの老女が登場する。 春児は…出てこなくてもよかったかな? ドラマチックに盛り上がるけれど、なにか話が作り物臭くなってしまう気がする。
Posted by