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道徳という名の少年 の商品レビュー

3.6

38件のお客様レビュー

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2024/04/12

少女趣味な文章に秘められた甘美な猛毒。めずらしい雪の降る夜、朝まで鳴り止まない教会の鐘、1、2、3、悠久と名付けられた姉妹……色々な要素が不思議で可愛らしくて、桜庭一樹先生の生み出す世界感を改めて愛おしく感じた。 「道徳という名の少年」というタイトルでいて内容は不道徳の極みであり...

少女趣味な文章に秘められた甘美な猛毒。めずらしい雪の降る夜、朝まで鳴り止まない教会の鐘、1、2、3、悠久と名付けられた姉妹……色々な要素が不思議で可愛らしくて、桜庭一樹先生の生み出す世界感を改めて愛おしく感じた。 「道徳という名の少年」というタイトルでいて内容は不道徳の極みであり、しかし全くいやらしさや気持ち悪さを感じないのはまるで御伽噺のような語り口だからだろうか。 『ジャングリン・パパの愛撫の手』が特にお気に入り。息子夫婦の夜の営みを補助する父親という不道徳の極みであるのに、いやらしさや不快感を感じないのは少女が見つめているのはジャングリンでもジャングリンパパでも無く、『ジャングリンパパの腕』というピンポイントな身体のパーツだからだろうか。腕というパーツには不思議な温かさや愛着があるように思う。父親の大きな手、母の温かい腕の中……その手の描写は時に安全や安心の象徴として使われる。『隣家のパパの腕に心奪われる少女』。童女がキラキラとした瞳で乾いた男の腕を欲し、その心を大人になっても持ち続けている、そこにロマンチックさを感じる。深く考えると結構気持ち悪い。しかし、その響きだけで人を酩酊させるような蠱惑的な魅力が確かにあるように感じた。 インタビューの部分は流し読み。まだ桜庭一樹先生の作品をコンプリートしていないので。読み終わり次第、再読したい。

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2023/01/21

一家系の官能的で甘美な愛の物語集 心に残る作品です 戦地へ赴くジャンの物語「ぼくの代わりに歌ってくれ」がとてつもなく好きです 桜庭一樹クロニクル(インタビュー集)も必読

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2022/09/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

異形への切望。異端への憧憬。それをつなぐ糸が「道徳」というねじれ。5つの寓話、最果ての愛。 後半は6年分のインタビュークロニクル。

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2022/06/12

前半は小説、後半はインタビューです。小説は戯曲のような内容でした。世代が変わりながら短い話が続いています。 全体を通して、作者に「道徳とは」を問いかけられているのかもしれない。 父のない子を産むこと、血の繋がった姉弟で結婚すること、夫の父と3人で愛を共有すること、殺すように歌うこ...

前半は小説、後半はインタビューです。小説は戯曲のような内容でした。世代が変わりながら短い話が続いています。 全体を通して、作者に「道徳とは」を問いかけられているのかもしれない。 父のない子を産むこと、血の繋がった姉弟で結婚すること、夫の父と3人で愛を共有すること、殺すように歌うこと、自分の作品を世に示すことなく死ぬこと。桜庭一樹の思う不道徳てんこ盛り、なのかな。 わかりやすいストーリーを楽しみたい方にはオススメしないです。

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2020/11/28

本の前半分が小説で、後ろ半分がインタビューという構成で、小説部分の短さに驚きました。 「道徳という名の少年」はいくつもの時代にまたがる昔話のようで面白かったです。代々の一族は美しいかんばせを持っていても、晩年凄く太るのも興味深いです。道徳には打ち勝てずとも、楔は打ち込めた気がしま...

本の前半分が小説で、後ろ半分がインタビューという構成で、小説部分の短さに驚きました。 「道徳という名の少年」はいくつもの時代にまたがる昔話のようで面白かったです。代々の一族は美しいかんばせを持っていても、晩年凄く太るのも興味深いです。道徳には打ち勝てずとも、楔は打ち込めた気がします。 インタビューも面白かったです。既読の作品も、未読の作品もわくわくしました。「私の男」の構成は『ペパーミントキャンディー』なんだ、ソル・ギョング観ねば。 桜庭さん、小説もかなり読まれると思っていましたが、映画やドラマもかなりご覧になられてて範囲が広いな…すてき。未読の作品を読みたくなりました。

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2019/08/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

再読。前半は表題の連作短編集。後半はインタビュー集。不思議な短編を不思議なまま読むもよし。不思議なままだと納得がいかなければ、最後の榎本正樹氏の解説を読むとよい。深い分析に圧倒される。そのインタビュー集は、桜庭さんの思考や作品が生まれた経緯などが率直に語られている。時系列で読んでいくと作品同士の関わりがわかって面白い。

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2019/07/23

美女が産んだ4人の姉妹と弟。4人は娼婦となり、一人は弟と…。世代を越えて繋がる負の連鎖。難しすぎた…。

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2018/08/20

大人のための童話・お伽話のような芸術作品。装丁も素敵。 「道徳という名の少年」だけど、その生い立ちや背景は、道徳とかけ離れた、醜く美しい背徳の世界。 言葉は少ないのに、的確にテンポよく丁寧に綴られていく。 非現実的でありながらも、異世界に夢のように違和感なくすっと入り込んでいく...

大人のための童話・お伽話のような芸術作品。装丁も素敵。 「道徳という名の少年」だけど、その生い立ちや背景は、道徳とかけ離れた、醜く美しい背徳の世界。 言葉は少ないのに、的確にテンポよく丁寧に綴られていく。 非現実的でありながらも、異世界に夢のように違和感なくすっと入り込んでいく感じ。 そう、これこそが小さな子どもが純粋に絵本に求めるような読書の世界だったことを思い出した。 久々の桜庭一樹ワールドに短時間だけど、どっぷり浸かってしまった。 生い立ちの設定であったり、名前の付け方であったり、時代や世界観、言葉ひとつひとつの選び方も、独特でとても真似できない。 ストーリーに「タブー」「エロス」「残酷さ」「呪いのような血筋」をふんだんに取り入れながらも、拒絶を感じさせずに、しっとりした甘美な愛情や切なさだけをもたらす。

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2017/08/31

暗黒童話のような短編集。 親から子へと不道徳な一面が引き継がれてゆく一族の物語。 後半は、これまでの作品に関するインタヴューが掲載されている。

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2017/06/03

2017/05/30 移動中 短編の連作、珍しい気がする。で、後半は解説やインタビューがまとまっている。閑話休題といった感じ。

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