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想像ラジオ の商品レビュー

3.6

349件のお客様レビュー

  1. 5つ

    62

  2. 4つ

    101

  3. 3つ

    92

  4. 2つ

    34

  5. 1つ

    8

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2021/08/03

以前1度読んだことあったが、今年は東日本大震災からちょうど10年ということで再読。 私含めて親戚みんなが西日本に住んでいた私は特に被害はなかった。 そんな私が被害者の方々の気持ちを勝手に想像するの失礼なんじゃないか、自己満じゃないかと思っていた。 ただ、想像でもして考えなければ...

以前1度読んだことあったが、今年は東日本大震災からちょうど10年ということで再読。 私含めて親戚みんなが西日本に住んでいた私は特に被害はなかった。 そんな私が被害者の方々の気持ちを勝手に想像するの失礼なんじゃないか、自己満じゃないかと思っていた。 ただ、想像でもして考えなければ、ただの事実とかで記憶•記録に残されるだけで、もっと深い部分は風化してしまうんだろうと感じた。 悲しい話ではあるが、主人公の口調がラジオDJスタイルだったので話も入りやすかった。 改めて読んで良かったと思った。

Posted byブクログ

2021/05/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者のいとうせいこうさん。結構テレビで顔を見かけるから、読む時に気になるかなと思ったけど、読みやすい文章で驚いた。 最初の地の文が、本当のラジオのような抑揚を感じられる。あなたの聞き取りやすい声で想像して、というのも面白い。 「想像ラジオ」という想像の中だけのラジオ配信で、DJアークが豊富な音楽の知識を活かして軽快に喋っている。ギルガメシュ神話を引っ張ってきたあたりにセンスを感じる。 でも読み進めていくうちに、これは311の東北地方の大地震の話だとわかってくる。選曲も海や別れを連想させる。 主人公は高い杉の木の枝に引っかかっている状態だし。 視聴者からリアルタイムのメールがたくさん来る、という描写。ラジオというより、コメントがつけられる生放送の配信番組みたいだと思った。(最後の拍手とか) 死者の交信だけどぜんぜんおどろおどろしくない。 でも主人公の状態も、真っ暗闇の旅館の水没した場所で水の中からそっと手を握られるのも、広島の占い師の話すこともしっかり考えると結構怖いかも。 ホラーではないので文章は怖がらそうとはしない。 たくさんの方が亡くなってしまった喪失感に寄り添う優しい物語だと思う。私は終盤で登場する21歳の女の子の「一番退屈な普通の1日」が幸せな1日という感じで好きだった。

Posted byブクログ

2021/03/07

なくした誰かを想うこと、あのひとと今も共にいること、そういうことがおかしなことではないんだと、じんわり響いてくる。こういう描き方が出来るのか。

Posted byブクログ

2021/01/21

すごいものを読んだ気がした。小説だからこそ表せる世界。ノンフィクションはもちろんいいのだけれど、小説ならではの世界。生者と死者が交流するとか、死者が語るとか、個人的に苦手なジャンルで、だからこそ今まで読めてなかったのだが、どういえばいいのか…すばらしかった。全然言葉になってない…

Posted byブクログ

2020/10/15

『風の歌を聴け』を彷彿とさせる多層構造。 DJ口調も相まって死者のメッセージが怒濤の妄言のように流れていく。そしてリスナーの声によって断片的に再生される震災の記憶。これがとても切ない。 空想の世界は自由であるけれども、現実的な真実とチューニングが合ってしまう瞬間がある。その可能性...

『風の歌を聴け』を彷彿とさせる多層構造。 DJ口調も相まって死者のメッセージが怒濤の妄言のように流れていく。そしてリスナーの声によって断片的に再生される震災の記憶。これがとても切ない。 空想の世界は自由であるけれども、現実的な真実とチューニングが合ってしまう瞬間がある。その可能性をわかりやすく表現してくれた小説だと思う。 本書のお蔭でこの先「3月の水」を聴くことがあれば、震災を思うのかもしれないな、と思った。

Posted byブクログ

2020/09/08

第一章を読んだ時、こんな本だと思わなかったからびっくりして そのまま一気に読んだ 時に作り話は本当の話を聞くより悲しい 缶詰工場で働く女の子の 本当に平凡な日常が悲しい

Posted byブクログ

2020/02/18

いとうせいこうってコメンテーターかと思ってた、どうしても読みながらいとうせいこうの顔が出てきてしまって最後まで感情移入できず…。

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2019/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ずっと積読状態で家に置いてあったものを、久々の読書欲から開いた。 結果、一気読み。めちゃくちゃ疲れた。 東日本大震災の発生からここまで、亡くなった方や被災した方のことを考えるのから逃げ続けていたと感じる。自分が過ごす日常とかけ離れすぎていて、想像すると日常生活が送れなくなると理由をつけて。かけ離れていて欲しいと願いながら。 心を守るために思考を止めた。目の前の見える範囲のことだけ考えた。 それは間違いではないと思うけど、その後わたしは悼む感情に蓋をしたまま8年過ごしてきた。それが、この本を読んでえぐり返された。 五章で出てきた、缶詰工場で働く女の子の日常。朝起きて窓から感じる冷気や職場の生温い雰囲気、帰りの電車から見る窓の外の暗さ、それ全てが愛おしい日常だと、死んでから想像する残酷さ。 二章のボランティア仲間での議論は素晴らしかった。 現場の声に、しっかり自分の頭で考えろと何度も揺さぶられた。

Posted byブクログ

2019/11/28

高校の時に読んだ「ノーライフキング」以来のいとうせいこう。 東日本大震災を扱った作品と言うことで、存在自体は前々から知っていたが、なかなか読む気が起きなかった。 いとうせいこう流の生と死の間に流れる微妙な空気を、明るいタッチで描いた作品。 主人公DJアークが、自分が亡くなったこと...

高校の時に読んだ「ノーライフキング」以来のいとうせいこう。 東日本大震災を扱った作品と言うことで、存在自体は前々から知っていたが、なかなか読む気が起きなかった。 いとうせいこう流の生と死の間に流れる微妙な空気を、明るいタッチで描いた作品。 主人公DJアークが、自分が亡くなったことに気づかず、想像の中でラジオを始める、と何とも突拍子もないストーリーだけど、実際に死んだことがないから、本当に理解することは出来ないけれど、それでも望まず命を失ってしまった人の声が本当に聞こえるような気がした。 木の話の部分はさすがに理解出来なかったけど、震災死を取り上げることは、出版された2013年には、まだまだ難しかったに違いない。その時期にこの作品が発売されたことは、凄いことだと思う。きっと、いい意見ばかではないと思うけど、この作品が震災で最愛の方を失くされた方の心の支えになった人もいたことを祈らずにいられない。

Posted byブクログ

2019/11/23

面白いかと聞かれると、面白いとは答えられないけど、震災の話を暗くしすぎず、沢山の人が読める・読みやすい形にしてくれた小説だと思います。

Posted byブクログ