桜ほうさら の商品レビュー
笙之介の人間臭い真面目でまっすぐな人を疑わない、それでいて正面から人を分析して納得するところが愛おしかった。何に幸せを感じて、どう生きるかは各々違って、笙之介の大きな事は出来ないけれど、周りの人たちに愛されて生きる生き方が好きだ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
笙之介という武家の次男が主人公 父母と兄がいる 笙之介は父に似てがっつかない性格だが、母と兄は上昇志向が強い 父は田舎?の藩の事務職的な役割だったが大きな事件が起きる 父の手による不正の文書が発覚 しかし、父曰く「身に覚えは無いが、この字は私の字」という不思議な状況 それによって身分預かり的な状態に その状態で父は切腹 兄がそれを発見して介錯したという その後、家はお取り潰し 母と兄は上昇志向が強いため、御家再興を目指す 笙之介は「勝手にしろ」的な扱いであったが、伝手があり江戸に出る事に 江戸で笙之介は写本作りを生業とする 本を手でコピーする仕事である 笙之介は父の事が頭から離れない あの不正文書はなんだったのか? 父は「身に覚えが無い」と言っていたし、父の性格からそういった不正をするとは考えられない あの文書は父の字に似せて他人によって書かれたものではないか?写本という仕事をしながらそういった事ができる人間がいないかを探した 江戸では皆仲良く暮らしつつ、和香というマドンナ的存在も登場 日常がほんわかと描かれる 個人的にはこの辺りの物語が好き のんびり読める しかしそれで終わる訳もなく ついに人の字をそっくりそのまま写せる人間が登場 更にその者の口から「おれがお前の父をだました」と聞く事になった しかし、この者は特に父に恨みがある訳ではなく、金がほしいというだけ 依頼されたからやったという では誰に依頼されたのか? そこには兄がいたのだった 介錯したというのも兄のウソ、兄が父を殺害したのだ 笙之介も殺害されそうになるが、長屋の仲間に助けられた、、、のか兄も人の心を持っていたのか、、、斬られはしたが何とか命を拾う 最終的には長屋のみんなと一緒に、マドンナ和香と一緒に自分の仕事である写本をして暮らしていくという感じに着地 事件もありつつ、全体的にはほんわか進む 宮部先生の時代モノだなという感じ 好きな作品でした
Posted by
なんかあまり面白みを感じなかった作品だった。書いてしまうとネタバレになるので書かないが、、最後の展開がちょっとね。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルが出身地の方言に似ていて、目に止まった。 久しぶりに長めの小説を読んだが、江戸の情景が目に浮かぶようで、話しの筋が絡み合いながら進んでいくのがおもしろく、最後まで飽きずに読み終えることができた。 主人公の古橋笙之介と和香が爽やかでみずみずしい。 NHKのドラマも観てみたが、玉木宏さんと、特に和香役の貫地谷しほりさんはイメージにぴったりだと思った。
Posted by
発端は、上総国の小藩で起きた一つの事件。身に覚えのない賄賂の疑いをかけられ自害した父。家は断絶、途方にくれ向かった先は、江戸深川。大好きだった父の無念を晴らすべく、写本業に勤しみながら真相究明にあたる。そして父の冤罪の背後には藩のお家騒動の陰がちらほら。周到に張り巡らされた点と点...
発端は、上総国の小藩で起きた一つの事件。身に覚えのない賄賂の疑いをかけられ自害した父。家は断絶、途方にくれ向かった先は、江戸深川。大好きだった父の無念を晴らすべく、写本業に勤しみながら真相究明にあたる。そして父の冤罪の背後には藩のお家騒動の陰がちらほら。周到に張り巡らされた点と点を次第に紐解き、真相へと迫った先にあらわになった驚愕の事実とは。。筆者お得意の男女の深層心理とミステリアスな具材を絶妙に絡めて時代小説という舞台に練り込む力は流石。主人公として、武に弱く人の良いキャラを持たせた事で、より人生の切なさ、人情に対する温かさをしんみり伝える事が出来たのかも。もう一つの特徴は、事件の鍵を握る筆跡に対する筆者の格別な想い。"字を真似たら人の心が分かる。字は人なり"。今日から丁寧に書くぞ
Posted by
ちっぽけな藩の跡目争いの渦に巻き込まれて父を失い江戸に出て来た主人公の笙之介。 禍根の根を断つことを命じられひそかに動き出す 重たい話なのだけれど、市井の人々の暖かさ 庶民の軽やかさに救われる ラストも重いながらも明るさが見えて好き この人の時代物は本当にいいなぁ
Posted by
4章に区切ってひとつの粗筋を追う構成。 中盤まではどうにも乗れなかったんだけど、読み終わってみるととてもよかった。 この話には仇とされる人がいるんだけど、その人を完全な悪にしてしまわず、そして終わりを終わりとしなかったのが良かったのではないかなあ。
Posted by
江戸の話、好き。不条理なことばかりの中で、心を失わずに、普遍を見つけていく人々が、大人だなと思う。 何より恐れていたのは、信義に悖る行いをすることだ。省みて、己を恥じるような行いをすることだ。その恐れがあるからこそ、他人に謗られようが、見下されようが、けっして揺るがぬ人であった...
江戸の話、好き。不条理なことばかりの中で、心を失わずに、普遍を見つけていく人々が、大人だなと思う。 何より恐れていたのは、信義に悖る行いをすることだ。省みて、己を恥じるような行いをすることだ。その恐れがあるからこそ、他人に謗られようが、見下されようが、けっして揺るがぬ人であった。弱虫をまっとうする弱虫であった。 両方が繋がって輪になっているのです。だから何か違うことをして、その輪を断てばよいのです。 人は目で物を見る。だが、見たものを留めておくのは心だ。
Posted by
のほほん・おっとりしながらも隙間をのべつ幕なし埋めながら…最後に、こう来るかぁ。カッコいい、分別をわきまえた人々、、そして和香ちゃん良いねぇ♪。
Posted by
父の死にまつわる偽文書の背景を追う柱を持ちつつ、サブの事件で登場人物が生きだし、最後に見事回収されるいい読後感。 大きな起伏は持たないのに、飽きさせないのがすごい、と思った。 宮部みゆきの時代物はいいな 次はファンタジーだ♬
Posted by