桜ほうさら の商品レビュー
終盤までほんの少しずつ、話は展開していく。最後にぐっと結末に至るのだが、けっきょくのところ主人公の立場や心情が大きくかわるでもなく、読者は拍子抜け。 作品名の元になった甲州弁のくだりは、作中でもあまりにも薄っぺらで物足りない。その意味からも、感情移入するには至らない。 ドラマ化す...
終盤までほんの少しずつ、話は展開していく。最後にぐっと結末に至るのだが、けっきょくのところ主人公の立場や心情が大きくかわるでもなく、読者は拍子抜け。 作品名の元になった甲州弁のくだりは、作中でもあまりにも薄っぺらで物足りない。その意味からも、感情移入するには至らない。 ドラマ化するような話でもない気がする。
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人情に溢れる江戸の住人らによって血生臭い事件が包み込まれているようだった。 なので読み手の私も悪事を憎む気持ちより、悪事に手を染めてしまった人物を哀れむ気持ちになる。 やっぱりこの人の小説は面白い。 あとドラマを見ましたが、長屋のイメージが私の想像とは違うくて、貧乏長屋とはあんな...
人情に溢れる江戸の住人らによって血生臭い事件が包み込まれているようだった。 なので読み手の私も悪事を憎む気持ちより、悪事に手を染めてしまった人物を哀れむ気持ちになる。 やっぱりこの人の小説は面白い。 あとドラマを見ましたが、長屋のイメージが私の想像とは違うくて、貧乏長屋とはあんなものかというところに感心してしまった。なので是非ご本人の思い浮かべる江戸の風景を見てみたいなぁと思った
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学校の図書室で借りた本。 吹けば飛ぶような武士の次男として生まれた古橋笙之介は、ある年父が賄賂を受け取った罪で取り調べを受け、そのまま罪人として切腹に追い込まれ、家督はなくなり、母方の知り合いに江戸へ出される。 しかし、笙之介は父は無罪だと信じていた。 父が書いたと思われる証文が有り、有罪の決め手になったが、父も自分の字だと認めながらも書いた記憶がないと、生前は首をひねっていた。 江戸へ行った笙之介は、剣術よりも得意な代筆屋として、生計を立ていたが、裏にはとんでもない思惑があった。 2014年元旦の夕方にNHKで放送される時代劇の原作だということで、興味を持って借りてきたが、結局放送に間に合わせて読み終えることはできなかった。しかも放送も見そびれた。 まぁ、それでも話は面白かったし、笙之介のやんわり具合がもどかしくもあり、憎めなくもあって、御免朗とか兄とか母とか、どうしてそんなに悪になりきれるのか、わからなかった。
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不条理を感じる切ない話ですが、笙之介や和香をはじめとした人たちの人柄で優しい気持ちに包まれる一冊です。 NHKで放映されたドラマを見て、もう一度本を読み直したくなりました。 原作のストーリーの厚みが、残念ながら短時間では表現しきれませんね。 和香さん役の貫地谷しほりさん、利恵さん役の高島礼子さん、 イメージが合っていましたね。 笙之介と坂崎さまはもう少し若い配役が良かったな・・・ もう一度ゆったりと本を読み直そう♪
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好きなタイプの主人公でした。 読後感もよかった。 時代物を読んでいると、どうしても江戸の暮らしばかりの描写で地方の様子がわからないことが多いが、主人公の出身が小藩で、そのつましい暮らしぶりに驚いた。江戸以外の話もじっくり読んでみたい。
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江戸の長屋のほのぼのした雰囲気と、主人公・笙之介を取り巻く謎や事件との温度差が面白い。 緩急のバランスも絶妙。 本の分厚さに躊躇ったけれど、その重みも全く気にならないぐらいのめり込む事間違いなし!
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赤痣のおかっぱ美少女と、長屋に住む優男な侍?の話。 1本丸々の話でなくて、途中途中で小さな謎を解きつつ話が纏まっている形式でした。死んでしまった主人の残した暗号とは?とか、行方不明になった少女はどこにいった?とか。 母兄との確執やら女性問題やら、人生上手くいかないことが多いなあ、と考えさせられました。
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宮部さんの時代物というとあやかし、不思議な話が思い浮かぶが、人情物である。 ある地方の小藩の小納戸役を務める家の次男坊古橋笙之助は、偽の文書で身に覚えのない嫌疑をかけられ、自害に及んだ父の汚名を晴らすため、江戸に出てきて暮らし始める。 貸本屋で写本の仕事をしながらの長屋住まいである。 長屋の人たち、貸本屋の人たちなどの何気ない日常のなかで、つつましく暮らしながらも武士の矜持を保ちながら、謎に迫っていく。 装丁の感じから、のほほんとほほえましいお話かと思いきや、テーマは重くてミステリー仕立てで、終盤にはちょっとひやりとさせられる部分もあり、 なかなか気の置けない作りになっている。 そして宮部さんには珍しい?恋愛要素も盛り込まれていて、血なまぐさい場面があるかと思えば、ほっとなごめる場面も用意されている。 ハッピーエンドではないのだけど、この二人の行く末に少し明るい光が見られるところが心憎い終わり方である。 読み始めて、すぐに話に引き込まれてしまい長編ながらすぐに読めてしまったのは、宮部さんの人物の描き方によるものだと思われます。 登場人物が実にわかりやすく、読んでいるうちに、勝手に脳裏で動き出すのです。いつも思うことだけど、宮部さんの登場人物に対する愛情のなせる業だな、と感じます。 ただ、この話はお正月にテレビでドラマ化されて放映されると、新聞に出ていて、笙之助のキャストをそこで知り、ちょっと私のイメージと違ったので、打つ消すのに苦労しました。 でもドラマはドラマで、楽しみに見たいと思います。
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これこれ、待ってました感の宮部作品時代モノ。 お江戸の人情モノ! 【ささらほうさら】という方言と【桜】が重なって・・・。 なんといっても全ページの上部端に帯のように淡く桜花びらが舞っていて。分厚い本でしたが開くたびに、まずはなでて《いいものだ》と、思いながらいつも読み進めておりま...
これこれ、待ってました感の宮部作品時代モノ。 お江戸の人情モノ! 【ささらほうさら】という方言と【桜】が重なって・・・。 なんといっても全ページの上部端に帯のように淡く桜花びらが舞っていて。分厚い本でしたが開くたびに、まずはなでて《いいものだ》と、思いながらいつも読み進めておりましたぁ。 上総国搗根藩小納戸役のお家の次男・笙之助くんのお話し 父の汚名を晴らすべく江戸留守居役・坂崎重秀=東谷様に導かれて(朱引内)深川・富勘長屋で暮らすことに。 何にもしていないようで、真実から目をそらそうとしないあの感じ【誰か】【名もなき毒】の杉村三郎くんとだぶっちゃいまいした。すでに杉村三郎シリーズと呼ばれているのね・・・。 富勘長屋のみんな 差配人の勘右衛門=富勘さん 貸本村田屋の治兵衛さん 切り髪の和香ちゃん 天命三八愛郷録=救荒録を下さった金吾郎さん そして押入御免郎・・・。 彼からのお説教=この世の理(ことわり) ~何が真実だ?お前はそんなに正しいのか。己が正しいことをしていると、どうしてそんなに恃んでいられる?~ なんどもでてきた【恃む】(たのむ) きちんと、使いわけていきましょう。と、思うしだい。 沁みましたぁ。
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古橋笹之助は、上総国搗根藩小納戸役 古橋家の次男坊 父 宗左右衛門が 藩のお家騒動と権力抗争に巻き込まれ 無実の罪をきせられ自刀してしまう 父を自害に追い込んだのは 偽造された文書 父の冤罪をはらすため 江戸にでることになった笹之助 武士暮らしだった笹之助が 江戸で長屋暮らし...
古橋笹之助は、上総国搗根藩小納戸役 古橋家の次男坊 父 宗左右衛門が 藩のお家騒動と権力抗争に巻き込まれ 無実の罪をきせられ自刀してしまう 父を自害に追い込んだのは 偽造された文書 父の冤罪をはらすため 江戸にでることになった笹之助 武士暮らしだった笹之助が 江戸で長屋暮らしをしながら 商人、町人、たくさんの人たちと 出会いながら成長していく青春ストーリー 「桜ほうさら」とは甲州の言葉で 「あれこれいろんなことがあって大変だ 大騒ぎだ」という意味 22歳の笹之助・・・恋の話もあり 楽しい出会いも悲しい出来事もあり 人の温かさもやるせなさも 心にしみるよな物語でした。
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