桜ほうさら の商品レビュー
笙之介に強く共感しながら読んだ。 いろんな要素が絡み合う、内容の濃い一冊だったが、それを読ませる作者の筆力は素晴らしい。
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「富勘長屋」一話目で人物と物語の背景が丁寧に説明される。長屋から見た桜と和香の描写が美しい。「三八野愛郷録」不味い鰻屋の二階で、笙之介と寺子屋の習子たちが部屋一面に偽字を落書きする場面に、笙之介の和香への思い、三八野の老武士の鰻屋の主人への忠告、子供たちの可愛さ、鰻屋の主人の思い...
「富勘長屋」一話目で人物と物語の背景が丁寧に説明される。長屋から見た桜と和香の描写が美しい。「三八野愛郷録」不味い鰻屋の二階で、笙之介と寺子屋の習子たちが部屋一面に偽字を落書きする場面に、笙之介の和香への思い、三八野の老武士の鰻屋の主人への忠告、子供たちの可愛さ、鰻屋の主人の思いなど、大勢の思いが溢れ出るようで温かい。偽字の規則が明かされず残念。「拐かし」吉本新喜劇でよくある展開。「桜ほうさら」一話目で提示された主題が結末に向かう。ほんわかムードで終了と思いきや印象的な結末だった。
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宮部さんの長編時代小説。 藩での騒動もありますが、主に人情ものかな‥ タイトルは、甲州では、色々あって大変なことを「ささらほうさら」ということから。 故郷を離れ、江戸の長屋で暮らす古橋笙之介。 長屋から見える桜の木の下に、珍しい切り髪の若い娘を見かけます。 桜の精のように不思議...
宮部さんの長編時代小説。 藩での騒動もありますが、主に人情ものかな‥ タイトルは、甲州では、色々あって大変なことを「ささらほうさら」ということから。 故郷を離れ、江戸の長屋で暮らす古橋笙之介。 長屋から見える桜の木の下に、珍しい切り髪の若い娘を見かけます。 桜の精のように不思議なそのひとは‥ ロマンチックな出会いです。 笙之介の父は、小藩の小納戸役でしたが、収賄を疑われて自刃。 まじめなのが取り得の実直な父が、そんなことをしたはずがない。 家族はばらばら、文武両道の兄は預かりの身となったのです。 父自身にも自分で書いたとしか思えないほど字が似ていた書状。偽の証拠を作った犯人を捜そうと江戸に出ることに。 江戸留守居役の東谷の紹介で、笙之介は貸本の村田屋の写本を作る仕事をしているのでした。 字を真似るのが巧みな人物を探すために。 ある日、押込御免郎という作家が書いたどぎつい話をもっと読みやすく売れるよう書き直してくれと頼まれ、笙之介はしぶしぶ取り掛かります。 料亭の絵を立体的に作ることが出来る起こし絵に興味を抱いたり。 桜の精のような女性は、和田屋の娘・和香。 事情があって家にこもりがちだった和香もアイデアを出したり、だんだんと協力する仲に。 将来を嘱望されていた兄に比べて、武道はからきしで特に優れたところがなく、誇り高い母には見放されていた笙之介。 気のいい青年が、さりげなく誠実に周りと関わっていき、しだいに居場所を見つけていきます。 長屋に生きる人々も、存在感があります。 タイトルの響きほどは、ほのぼのした話じゃないけれど。 巻き込まれる事件にもこの時代ならではの特色があって、しだいに繋がってもいき、さすが宮部さんと思わせます。
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登場人物にあまり感情移入できなかったし、ストーリー展開も全然わくわく感がなく、全体的に今いち。。この著者の時代物は結構好きなつもりだけどなぁ。
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二章の前辺りからぐっと面白くなって、一気に読み進めた。 人それぞれに、それぞれの思いがある。 ヒロインの和香が想像していた女性像とは異なっていて、いい意味で裏切られた。
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宮部さんの時代劇もの。今回はあやかしや不思議な能力などはでてきませんが、時代物のミステリーとも言えなくなもない。やっぱ、宮部さんの時代物はいい!
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2013.11.11〜 つまらなくて途中でやめた。 少し耐えれば面白くなるのかと友達に聞いたら、そうでもないらしいので、やめる。
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宮部みゆきの新作時代物。最初はイマイチのれなかったけど、後半面白くなってきて一気に読んだ。 「心を捨てることができない限り、人は想いを抱く。個々の想いが違えば、ひとつのものに向き合っても、そこから見て取るものは大きくかけ離れてしまう。求めるものも異なってゆく。(p.583)」
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
宮部みゆきの江戸ものはサザンみたい。前にも聴いた(読んだ)ことがある。だからすこし懐かしい。でもやはり面白い。 美しいけれど中身は残念な女性たち、貧乏だけれど愛すべき長屋の住人達、そしてなんとも魅力的な主人公。ちょっとだけハラハラして、涙ぐんで、そしてラストへと。4つのエピソードが1つの謎解きへと繋がっていきます。
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