謎の独立国家ソマリランド の商品レビュー
何といえばいいのか・・・とにかく面白かった!! 分厚くてビビりましたが、読み始めたら止まらなくて、とにかくエキサイティング!いいから、つべこべ言わずに読んでみてっ!!と本を押し付けたいような気持ですww 一見、無茶苦茶で、ハチャメチャのようだけど、この膨大なルポの内容を、ズブの素...
何といえばいいのか・・・とにかく面白かった!! 分厚くてビビりましたが、読み始めたら止まらなくて、とにかくエキサイティング!いいから、つべこべ言わずに読んでみてっ!!と本を押し付けたいような気持ですww 一見、無茶苦茶で、ハチャメチャのようだけど、この膨大なルポの内容を、ズブの素人(私)の興味を惹くように書けるなんて、高野さん恐るべし!! 出会った人々が、またすごく個性的!ぜひ会ってみたい人、絶対会いたくない人、様々で超絶オモシロい!ww 「事実は教説より奇なり」。小説好きでも、たまにフィクションが読みたくなるのは、これに尽きます。
Posted by
『終わりなき内戦が続き、無数の武装勢力や海賊が跋扈する「崩壊国家」ソマリア。その中に、独自に武装解除し十数年も平和に暮らしている独立国があるという。果たしてそんな国が存在しえるのか?』……この紹介文を読むだけで、「読みたい理由」は十分以上。そして、その期待をはるかに上回る読みもの...
『終わりなき内戦が続き、無数の武装勢力や海賊が跋扈する「崩壊国家」ソマリア。その中に、独自に武装解除し十数年も平和に暮らしている独立国があるという。果たしてそんな国が存在しえるのか?』……この紹介文を読むだけで、「読みたい理由」は十分以上。そして、その期待をはるかに上回る読みものだった。ノンフィクションとして、今までに読んだものの中で最高傑作ではないだろうか。 とにかく筆者の取材力、とりわけアフリカ取材においては「いかに現地民や現地での暮らしにとけ込むか」が問われるのだろうけれど、それが素晴らしい。一般的な雑誌や新聞で伝えられる「アフリカの現状」がいかに上っ面で一方的な見方のものしかなかったかということもわかり、520ページがあっという間だった。 こういう体験ができるからこそ、読書はやめられない。
Posted by
気になることがあると自分の眼と足で確かめないと気が済まない著者はアフリカ、ソマリアにソマリランドなる独立国があると聞き現地に旅立つ。 そこで見たものは、アフリカ人とは思えない即断即決の人々、銃の姿はかけらもなく、深夜でも旅行者や女性(!)が歩けるほど安全な街中、氏族を中心に高度...
気になることがあると自分の眼と足で確かめないと気が済まない著者はアフリカ、ソマリアにソマリランドなる独立国があると聞き現地に旅立つ。 そこで見たものは、アフリカ人とは思えない即断即決の人々、銃の姿はかけらもなく、深夜でも旅行者や女性(!)が歩けるほど安全な街中、氏族を中心に高度に民主化された政治体制であった。 ソマリランドの現在の体制がどうして出来上がったのかを知るために著者はソマリアの他地域にも足を延ばし、人々と話し、疑問を突き詰めてゆく。 ソマリ人との交流の中で、ソマリ人達の行動原理を解き明かす過程がすごい。ソマリ人氏族の関係を日本の大名になぞらえるアイディアは秀逸。これ以上わかりやすくは書けないだろう。 ソマリ人の1氏族に加わるほど深く関わり、日本のソマリ人コミュニティーの一員となり、属する氏族に仕送りするほどになりながら、世界有数のソマリ人専門家としてソマリアが世界に開かれる過程に関わりたくはないと書く。何故なら自分の興味は辺境、未知にあるからだと。なんと潔い。
Posted by
【常識ってなに?】 近隣にいないとわからないことだらけです。 ソマリランドという国があることも知りませんでしたし、安全で豊かな国であることも知りませんでした。 アジアの人間からすれば、アフリカの人々は全部同じように見えますが、全然人種(性格)が違うのですね。 日本人からすれば...
【常識ってなに?】 近隣にいないとわからないことだらけです。 ソマリランドという国があることも知りませんでしたし、安全で豊かな国であることも知りませんでした。 アジアの人間からすれば、アフリカの人々は全部同じように見えますが、全然人種(性格)が違うのですね。 日本人からすれば、隣国、中国人や韓国人の区別はつきますが、それ以外のヨーロッパやアフリカ地域になると区別が付きません。それと同じです。 誰も知らない未知なところへ行って、自分の目で見て確かめる。この著者の行動力、探求心、常識にとらわれないところは感動します。 すばらしい!
Posted by
南アフリカと言えば戦争、内乱、貧困というイメージがある。 ソマリアの中に、ソマリランドという自治を持った国があると言ったら信じられるだろうか? 私は、この本のことを最初に知ったときに、あははは、何を言ってるんだ、ネタだろネタって思った。 そうしてこの本を読んでみると、生ま...
南アフリカと言えば戦争、内乱、貧困というイメージがある。 ソマリアの中に、ソマリランドという自治を持った国があると言ったら信じられるだろうか? 私は、この本のことを最初に知ったときに、あははは、何を言ってるんだ、ネタだろネタって思った。 そうしてこの本を読んでみると、生まれ育った文化(何を重んじるのか)によって社会の在りようはここまで変わるんだ!と驚いた。 ソマリランドの自治がどうであるかを日本と比べることは出来ない。 それは、ソマリランドが劣る為では無く、そもそもの社会思想が異なるからだ。 後半だんだんと軽くなってくる著者の筆のノリを楽しみつつ、次回はどこに行くのだろう、とわくわくする。 分厚いけれどオススメ。
Posted by
北斗の拳状態のソマリア内にあって、十年以上も平和を維持する、謎の民主的自称独立国家ソマリランド。その謎を、著者が私見を紹介しつつ解き明かす内容の本。(私からすると)同様に謎なソマリア自体についても、同じアプローチで詳しく書かれている。 私のアフリカに対する印象は、映画ブラックホー...
北斗の拳状態のソマリア内にあって、十年以上も平和を維持する、謎の民主的自称独立国家ソマリランド。その謎を、著者が私見を紹介しつつ解き明かす内容の本。(私からすると)同様に謎なソマリア自体についても、同じアプローチで詳しく書かれている。 私のアフリカに対する印象は、映画ブラックホークダウンや、ブラッドダイヤモンドを見ての、混沌としている、というものだけ。けど本書は面白く読め、また、少しアフリカに対しての印象が変わった。 なお、ソマリアでは日本の戦国時代にあったような氏族社会が今も維持されているらしい。西欧も昔はクランという氏族みたいなものがあったようだが、そういった共同体的な組織が維持されつつ、民主制に移行したという点でソマリランドには特色があるようだ。日本では最早家族すら共同体と言えるか怪しいように思うが。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
前書き「およそ真実の探求者は、塵芥より控えめでなくてはならない」マハトマ・ガンジー 在日のソマリランド人。城西国際大学 経済学教授 イブラヒム・メガーグ・サマター カートというハーブ(catha edulis) 和名:アラビアチャノキ 19世紀、先ずイギリスが、ソマリ東北部の土地をおさえて「ソマリランド」と勝手に命名した。ほぼ同時にイタリアが南部にやってきて「ソマリア」と勝手に名前を付けた。ソマリアの「ア」は、イタリアやヴェネチアの「ア」と同じで、イタリア語で国は土地を表す語尾である。 海賊は伝統。また、海外の刑務所はアフリカでの暮らしより楽な場合、捕まる事のデメリットが少ない。 ホーン・ケーブルTV 部族は血縁だけではなく、契約制度。 ヘール(掟)、グルティ(仲介者)、ヘサーブ(精算) 国連や欧米がソマリアに強制するのが「上からの民主主義」であることだ。ソマリアは国家だから大統領がいなくてはならない。そして、適当な人達を集めて来て「国民の代表者」とみなし、大統領をまず決めさせる。次に大臣や地方の長官などを決める。その後で「国民」にそれを説明し、理解を求め、戦争をやめるように訴える。 ソマリの民主主義は違う。「下からの民主主義」なのだ。それは国家とは無関係に機能する。定住民の感覚で言えば、まず村と村、次に町と町、それから県と県、という風に規模の小さいグループから大きいブループへ和平と協力関係が構築され、それぞれの権利が確保され、最後に国が現れる。 20年間、国際社会が南部ソマリアにあれこれ言いづづけて、全く効果が無いのも当然だろう。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
面白かった。 潜入ルポで面白おかしく書いてくれている平易な文のおかげもあるし、自分が実はいろいろソマリアのことを昔ウォッチしていたことがあってなんとなく郷愁を感じたこともある。 知識的には、既に知っていたことも多く、おぉ、それをまとめていれば本にできたのか(笑)、と思うようなこともなくはなかったが、でもやっぱり、地元の人に交わりながら新しい視点でまとめた本は面白いです。 とりあえず、一番興味深かったのは、ソマリランドの和平交渉の裏話と、その後の政治体制の確立結果の話かな。本当の民主主義って何だろう?って考えさせられたり、(まぁ日本は(一応)単一民族国家なのでまた少し違うけれど)あるべき政治体制ってどういうものだろう?って考えさせられた。 懐かしく思い出したのは、小学校だか中学校だかで初めて衆議院・参議院の仕組みについて学んだ時のこと。その意思決定の方法(2院の関係)について、「ぇ、意味ないじゃん」って、全く理解できなかった自分を思い出す。それも、時がたって、それが「所与のもの」という感じになって、考えることを止めかかっていたけれど、やっぱり、機能していない(まぁ時間稼ぎ、そもそも議論を導き出して国民の興味を集める、というところには意味はあるとは思うけれども)、よなぁ。。とか。 そんなことをつらつらと思いながら、何より郷愁が先に勝った本でした。 知らない人でも、他国のこととかそんなに興味ない人でも、なんとなく楽しい旅行記みたいな感じで読める本だと思います^ ^ すごい分厚いけど、↑のような雰囲気なのですごいさくっと読めるし。 ずーっと時間をかけて話し合うことの意味がすごく「理解」できたこともよかったかな。外国人の感覚からすると「ただの話し合いをだらだら2,3か月続けることに支援はできないでしょ」となるところ、実は、それが決定的に重要だったりするんだな、って。 そうそう、あと、ポイントは、「契約」かな。この合理的な感覚。独特。そして、戦闘的・氏族的意識が「あるからこそ」逆に解決する問題たち。これは、やはり独特で、日本とは違う。でも、参考になるところは多いと思う。 あ、それから、そうだ、もう一つ思い出した。 氏族を適宜戦国時代の武将に当てはめたそのアイディアは、良いと思いました。ほんっと、氏族覚えるのって、苦労すると言うか、やる気にならないんですよね(笑)。そこを、イメージで「つながり重視」でさくっと読むことを可能にする、良いアイディアだなと思いました。
Posted by
今まで数冊著者の本を読んできたけど、危険度ではNO.1だった。まあ、あいからずすごい旅をするなあと感心する。著者の本を読むたびに「俺は国内で十分だわ」と思わされるが、本書もその一冊だ。 ソマリ人の生活の様子、紛争がなぜ起こり和平合意はどのようにしてつくられるのか、南部ソマリア...
今まで数冊著者の本を読んできたけど、危険度ではNO.1だった。まあ、あいからずすごい旅をするなあと感心する。著者の本を読むたびに「俺は国内で十分だわ」と思わされるが、本書もその一冊だ。 ソマリ人の生活の様子、紛争がなぜ起こり和平合意はどのようにしてつくられるのか、南部ソマリアの首都モガディシュはどんな街か、海賊はどんな人たちが行っているのかなど、いわば「本筋」の話は当然面白い。しかしそれにとどまらず、現ソマリアは「経済学の実験室」と呼ばれている(P.232)ことや、趣味で写真を撮りにソマリアに行っている瀧野恵太さんと言う人がいること(P.356)など、長編だけあって興味深い話が盛りだくさんである。 長いし重いのだが、いつかまた再読したい一冊だ。
Posted by
ソマリランドってあの海賊が跋扈するソマリアですか。でも違うのかなあ…? 謎のという言葉に誘われて消費税が上がる前にと買い求め読み始めたものの、結局読み終えるまで3ヶ月掛かってしまいました。この本はボリュームがありページ数も500ページもあるため、持ち歩きには適していないというのが...
ソマリランドってあの海賊が跋扈するソマリアですか。でも違うのかなあ…? 謎のという言葉に誘われて消費税が上がる前にと買い求め読み始めたものの、結局読み終えるまで3ヶ月掛かってしまいました。この本はボリュームがありページ数も500ページもあるため、持ち歩きには適していないというのが理由でしたが、中身は期待に違わず、作者のモットーどおり、誰も行かない危険地帯⁈に誰もやらない方法で取材を敢行し、そしておもしろおかしく書かれた内容で十分に楽しめました。 日本人とはおそらく行動規範が180度違うと言えそうなソマリ人の国民性⁉︎ソマリ人を評して「傲慢で、荒っぽくて、いい加減で、嘘つき連中…」これだけで交わるのを怯んでしまいそうですが、作者は驚きながらも自分で確かめないと気が済まない根っからの冒険者。周りの人から呆れられ忠告されながらも、どんどん未知の世界に足を踏み入れて、しまいにはソマリ世界にのめり込んでしまうはめになるところが痛快です。 このように対照的なソマリ人と日本人ですが、作者によると共通点もあるそうです。それはどちらも相当昔から、巨大な文明圏の辺境に位置し続けたこと。そのため、閉鎖的かつ独特な民族になっていたという推論です。 ソマリには大きく5つの氏族があり、そのなかでも政治的に有力な3つの氏族が国の中心を成しているそうです。それが旧ソマリアの「三国志」状態で「ソマリランド」「プントランド」「南部ソマリア」の3つ。この中でソマリランドは国際社会では全く国として認めれていないそうですが、無政府状態なのに内戦をやめて、普通選挙で大統領選挙を行った民主主義国家と紹介されています。「リアル北斗の拳」とも呼ばれている武装勢力がひしめいた崩壊国家なるソマリア共和国内で、本当なのか⁈そしてそれが事実ならどうしてそうなったのか?謎めいた事実の追求がこの本の根幹を成すところです。 日本では、今現在国会で盛んに集団自衛権を認めるのか認めないのかと論議を重ねていますが、大方の国民は戦闘状態など身近には考えられないのが本音でしょう。同じ辺境に暮らす国民でもあちらは草の根民主主義。権威あるものは認めないから政府も国連も頼らず信用しない。自分たちの必要性に応じて村や町、県と県の協力関係や機能を発揮させて終いには国が現れるという成り立ちのようですから違いは大きいものがあります。風土や気質の違いはあるにせよ民度の高さは見習うべきものがあると思いました。
Posted by