謎の独立国家ソマリランド の商品レビュー
大作である。間違いなく著者の代表作となるだろう。正直言ってソマリアと聞いて思い浮かぶのは崩壊国家であり、首都モガディシュの通りを引き摺り回される米兵の死体の映像と、その直後の米軍撤退でしかない。現状がどうなっているのか分らない地域へ分らないからこそ単身飛び込む著者の姿はビルマ三部...
大作である。間違いなく著者の代表作となるだろう。正直言ってソマリアと聞いて思い浮かぶのは崩壊国家であり、首都モガディシュの通りを引き摺り回される米兵の死体の映像と、その直後の米軍撤退でしかない。現状がどうなっているのか分らない地域へ分らないからこそ単身飛び込む著者の姿はビルマ三部作と相通じるものがある。ソマリアの混沌を解くキーワードとして氏族を導入したのは卓見だと思う。思うのだが覚えられない!各氏族間の関係がどうなっているのかは自分でチャートでも書かない限りすんなりと頭に入って来ない。再読必至の超骨太本。 『無政府状態になり中央銀行もなくなってからシリングはインフレ率が下がり安定するようになった。なぜなら中央銀行が新しい札を刷らなくなったからだ。』『ボロくなりすぎた札は捨てられるから総数は減ることはあっても増えることはない。』φ(.. ) ホ―ナルホドネ?? 『現ソマリア~プントランドと南部ソマリアをこう呼ぶことにする~というのは本当に不思議ば地域だ。中央政府は二十年も存在しないのに、電話会社もあればテレビ局もあり航空会社もある。普通の国にあるものはここにもたいていある。ないのは中央政府くらいだ。』φ(.. ) 種明かしがあるのかな? (2013年04月08日) 『ソマリランドは遊牧民の国家だ。地方に住む本物の遊牧民だけでなく、都市部の人間も頻繁に移動しながら暮らしている。住所も本籍もない。』φ(.. ) 併読中の「中国農民の反乱」とは真逆の世界!★税金も払わなくていいのかなあ?? (2013年04月07日) いやあ、噂に違わぬ面白さ!このままだと徹夜してしまいそうなので、一旦中断してドラマを1本見て寝よう!今日の一言:『遊牧民は荒っぽくなければ生きていけない。速くなければ生きている資格がない。』φ(.. ) メモ さて満を持して今日から読みますか!それにしても文庫本派の私から見ると、ハードカバー500頁はぶ厚いね。これは凶器として充分使えるよ。^^; 昨日届いた本の書評。『彼は初めから自力で旅をすることを放棄しているのだ。(中略)旅の主導権を完全に地元の人に委ね彼らに守られながらモノが運ばれるように旅をする。』φ(.. ) これは鋭い指摘だと思う。RT 『謎の独立国家ソマリランド』 http://honz.jp/23795 (2013年04月02日) 『謎の独立国家ソマリランド』予告編映像完成! これを見たら絶対本が読みたくなる!http://bit.ly/Zzoa2A (高野秀行氏のツイタ―より転載)★アマゾンで注文しようかな?(^-^)/ (2013年03月17日)
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20130309~0618 兎に角面白い。分厚いけどサクサク読める。持ち歩きには不便なので、もっぱら家読み。 ソマリア・ソマリランドの氏族社会とハイパー民主主義の実態が良く分かる。 氏族の名前に便宜上でしょうけど日本の戦国武将や大名の名前をつけるのは分かりやすいけどちょっと混乱し...
20130309~0618 兎に角面白い。分厚いけどサクサク読める。持ち歩きには不便なので、もっぱら家読み。 ソマリア・ソマリランドの氏族社会とハイパー民主主義の実態が良く分かる。 氏族の名前に便宜上でしょうけど日本の戦国武将や大名の名前をつけるのは分かりやすいけどちょっと混乱しちゃうかなあ。 高野さん、更なる探検頑張ってください!!
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著者の本はほとんど読んでいるけど、これは新しい代表作だと思う。やることはいつもといっしょで、未知の場所へ行き、言葉をおぼえ、現地の人と食べ、飲み、働き、風習や文化にどっぷり浸かって真の姿に迫っていく。その集大成と言える本(いままでで一番ぶ厚いしね)。複雑きわまる氏族社会を日本の戦国時代にたとえて飲み込みやすく説明する手際も鮮やか。なんかとんでもなく危険でぶっ壊れた国、という漠然としたソマリアへの偏見が次々に壊されていくのは爽快だった。濃密な力作である分、一気に読むには疲れるので、同じ著者の『移民の宴』で小休止をはさみながら読んだ。
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高野秀行最新作。 独立国家ソマリランド、海賊国家のリアルONE PEACE・プントランド、リアル北斗の拳モガディショ。氏族社会のソマリアを日本の戦国時代となぞらえ、とても分かりやすく解説している。
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いつもはしれーっと新刊が出ている印象の高野氏だが、今回は待ちに待った!というか、本人が気合いを入れて宣伝をしているのがよく分かり、それだけに読者としても高野氏の本としては珍しく(?)襟を正してページを読み進めた。 第一章と第二章はあらかたWebで先行配信されており、第三章以降が本書にて初公開となっている。 私は高野氏の著書の中でも最も面白いのは【アヘン王国潜入記】と【西南シルクロードは密林に消える】だと思っているが、断言しよう。本書はその両作に匹敵する傑作である。高野氏の代名詞である「誰も行ったことのない場所に行き、誰も書いたことのないものを書く」というスタイルがここまで一貫しているのは、ミャンマー以来と言っても良いだろう。 2つの作品の共通点は何と言っても「麻薬」である。ミャンマーではひたすらアヘンを、ソマリランドではカートをひたすら嗜む。私もよく海外を旅する方なので分かるが、こうしたアプローチは中々できるものではない。まずもって、「麻薬ダメ絶対」的な価値観の日本にどっぷり浸っていると、どうしても無意識に麻薬的なものを遠ざけてしまう。もっとレベルを落として、現地の酒だとか、ゲテモノ系の料理もモノによってはしんどい。例えそれが、現地の人にとって日常的なものであっても、その壁(=文化差)を乗り越えるのは結構勇気がいることなのである。 しかし、高野氏は最初からアクセル全開でこの壁を突破する。(もともと本人が好きなのだと思うが)ヒマさえあればひたすらカートを食む。やり過ぎてカート二日酔いになっても、迎え酒とばかりにカートを食む。そうして、現地人との交流を深めていくのである。 「同じ釜のメシを食う」とは良く言ったもので、こうして、同じ生活リズムを刻む事でソマリ人たちは高野氏に心を開き(「心を開く」という表現が本書でふさわしいかどうかはさておき)、ソマリ文化への深き探求、はたまた日本社会への問題提起まで昇華させている。同じ日本人が行っても、とてもこうはならないだろう。 言語習得能力、文化への深い洞察などは相変わらず。ソマリランドどころかアフリカに全くなじみのない私でも十分に楽しめた。ブログなどを拝見する限り、高野氏はこのソマリランドへの旅をきっかけに人生の大きな転機を迎えたように思う。ソマリランドを経て、今後高野氏がどこへ向かうのか、注目したい。
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