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ロスト・ケア の商品レビュー

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169件のお客様レビュー

  1. 5つ

    47

  2. 4つ

    63

  3. 3つ

    38

  4. 2つ

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2023/04/26

有料老人ホームで手厚い介護を受ける高齢者。 認知症を発症し、家族の介護なしでは生きられない高齢者。 〈軋んでいる〉 制度が追いつかない。 佐久間も、斬波も許されないことをした。 でも、それ以上に違和感を抱いたのは大友検事の正義感。 何が正しくて、何が間違いなのか。 本書を読んで...

有料老人ホームで手厚い介護を受ける高齢者。 認知症を発症し、家族の介護なしでは生きられない高齢者。 〈軋んでいる〉 制度が追いつかない。 佐久間も、斬波も許されないことをした。 でも、それ以上に違和感を抱いたのは大友検事の正義感。 何が正しくて、何が間違いなのか。 本書を読んでいるとわからなくなってきた。 葉真中顕さんは 「人に手をかけるのはあってはならないことです。 共感できる部分があると思われたのなら 『どうして私たちは共感してしまうのだろう』と 想像してみてほしい」と。 この先、地獄から救ってくれる〈彼〉の存在が現れないことを願って。

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2023/04/16

映画化されて気になっていた作品。 この作者の本は始めただし、内容が重いので、どうかなと思ったけど、各登場人物の視点で進んでいくので、とても読みやすく、入りやすかった。 介護の現場の過酷さ、その中で斯波がやったことは本当に単に殺人というより、救いの意味もあるのではというのはそう思う...

映画化されて気になっていた作品。 この作者の本は始めただし、内容が重いので、どうかなと思ったけど、各登場人物の視点で進んでいくので、とても読みやすく、入りやすかった。 介護の現場の過酷さ、その中で斯波がやったことは本当に単に殺人というより、救いの意味もあるのではというのはそう思う面もあるなと思った。

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2023/04/15

介護する人とされる人。 認知と半身不随が重なる、認知だけでも、家族だけで抱えると貧困に転がり続ける。抜け出せない穴に落ちる。 人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。 彼のしたことで救われたひとがいたこと。 人間としての尊厳をなくしたかつての大切な家族であ...

介護する人とされる人。 認知と半身不随が重なる、認知だけでも、家族だけで抱えると貧困に転がり続ける。抜け出せない穴に落ちる。 人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。 彼のしたことで救われたひとがいたこと。 人間としての尊厳をなくしたかつての大切な家族であったひと。悲しい現実を見つめた。

Posted byブクログ

2023/04/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

社会派小説として、介護業界の裏と表、介護保険制度に振り回される事業者、何より認知症を伴う要介護老人と介護をする家族、介護職員等当事者達の過酷な実態が、片や検事、片や介護事業者の部長という学生時代同級生だった男2人の明暗と、大量殺人の謎を絡めて面白く描かれ引き込まれる。 本作はそこに留まらず、「ロスト・ケア」との名で『彼』の行う「処置」=老人殺しは、地獄の様な介護から介護する人、される人を救っている面があるのでは無いか、という問題に踏み込む。 『彼』は、この処置は正しい事と主張するが、この問題は、安楽死や尊厳死と同レベルで「何が正しいのか」がなかなか割り切れない問題と感じ乍ら読んでいた。 少子高齢化が進めば益々大きな問題になる事は「分かっていた。分かっている。分かっているのに。人は立ちすくむばかりだ。正しい者は一人もいない。」の言葉が重い。

Posted byブクログ

2023/04/06

在宅で介護が必要となり、介護者がその介護負担をすべて背負わなければならない社会…介護保険が創設されたとはいえ、その恩恵に授かれるのは一握りの金銭的に問題のない富裕層のみ…。介護保険をビジネスチャンスと捉え参入した企業も、利益を継続して生み出すことはできず、そのしわ寄せは介護を担う...

在宅で介護が必要となり、介護者がその介護負担をすべて背負わなければならない社会…介護保険が創設されたとはいえ、その恩恵に授かれるのは一握りの金銭的に問題のない富裕層のみ…。介護保険をビジネスチャンスと捉え参入した企業も、利益を継続して生み出すことはできず、そのしわ寄せは介護を担う職員に…。介護が必要な要介護者を多数毒殺し(ロストケア殺人)、死刑判決を受けた犯人の真の動機は?? 苦しいな…読んでいて、ひたすら苦しかったです。介護保険が創設されて気が付けばもう20年以上…その間、自分自身が母の介護に携わったこともあったし、今も介護業界での仕事もしていたりもします。私なら何ができたのか、在宅介護でキツイ思いをしている本人や家族を救うにはどうしたらいいのか…考えてしまいました。だから、なかったことにする…そういう考えには及ばないけれど(当たり前だけれど)、でもこの犯人の言うこともわかるんだよなぁ…結局、介護保険では限界もあるから…。それでもすこしでも在宅介護で大変な思いをされている方の思いに寄り添えるよう、勉強は続けていきたいと感じました。

Posted byブクログ

2023/04/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「介護に苦しむ人を救いたかった」 43人もの老人を殺害した〈彼〉は言った。 しかしそれはこの事件の本当の動機ではなかった。自身の死刑判決さえも〈彼〉の計画のうちであった。43人の命を奪い自分の死をもって完成する〈彼〉の「本当の目的」とは何なのか-。 羽田洋子の生活は 母の認知症によって地獄の日々と一変した。夫とは離婚によって縁は切れた。しかし母は母だ。家族の絆。絆とは「手枷足枷」「人の自由を縛るもの」という意味もある。絆という呪いで いつか自分もまた息子のことも縛ってしまうのだろうか。洋子の介護という地獄はある日突然終わりを迎える。母の死によって。しかも自然死と判断された母の死は〈彼〉に殺されていた。喪失感と共に 洋子の心に訪れたのは「救われた」という思いだった。 ✍︎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 家族の介護。祖父と祖母を続けて看取った母を見ていてその大変さは覚悟しているつもりだけれど…。数年前に鬱になった母を自宅で看護した1ヶ月、その短い期間でさえ心穏やかには生活できなかったなぁ。もう近い未来にくる親の介護。そして遠い未来ではなくなった自分の老後。老後の資金2千万?ナイナイ、無理無理‎(×ࡇ×。) 。年金ホントにもらえるの?子供に迷惑かけたくないって気持ちもよくわかる。 物語の前半は〈彼〉の登場もあまりなく、介護について考えされられるというより気が滅入る感じで進んでいった。予想通りの展開かなぁと思っていたら犯人逮捕の瞬間にガンッΣ(゚ロ゚;)と衝撃の事実! 〈彼〉の犯行は本当に人々の救いだったのか。 絆は呪いなのか。「本当の目的」が明らかになった時に何を思いますか?

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2023/03/18

まもなく(2023年3月末)に松山ケンイチと長澤まさみの主演で映画化作品が公開されるので読んでみた。推理小説ってカテゴリにしたけど、社会派小説って云うのかな推理的な要素よりそちらの方が思い切り強い。この作品が発刊されたのは10年ほど前だが、良くなるどころかますます悪くなってるよう...

まもなく(2023年3月末)に松山ケンイチと長澤まさみの主演で映画化作品が公開されるので読んでみた。推理小説ってカテゴリにしたけど、社会派小説って云うのかな推理的な要素よりそちらの方が思い切り強い。この作品が発刊されたのは10年ほど前だが、良くなるどころかますます悪くなってるような気がする。本当にそれでいいんかい、政府に官僚さんたち。重要な作品と思うが、こういう小説は個人的に好きでないんだよなあ・・・

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2023/03/18

データ分析、「彼」のトリック、など、ミステリーとして読ませる作品でした。ベースとなっている介護問題も明日は我が身の内容だけに、胸に迫るものがありました。ただ、登場人物の性格や思考に多少違和感を感じる箇所があり、ストーリーありきで練られたようにも思われました。 映画では実写が難しい...

データ分析、「彼」のトリック、など、ミステリーとして読ませる作品でした。ベースとなっている介護問題も明日は我が身の内容だけに、胸に迫るものがありました。ただ、登場人物の性格や思考に多少違和感を感じる箇所があり、ストーリーありきで練られたようにも思われました。 映画では実写が難しい部分があるので、どう表現するのか気になります。

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2023/03/16

3/24全国ロードショーの松山ケンイチ、長澤まさみ主演の映画の原作です。 医学の発展と共に平均寿命は延びましたが健康寿命との乖離がこれからの課題ですね。ミステリ小説ですが、現代社会のどうしようも出来ない問題を提議している話だと思います。法律に違反してるから悪と言えるのか、殺人が正...

3/24全国ロードショーの松山ケンイチ、長澤まさみ主演の映画の原作です。 医学の発展と共に平均寿命は延びましたが健康寿命との乖離がこれからの課題ですね。ミステリ小説ですが、現代社会のどうしようも出来ない問題を提議している話だと思います。法律に違反してるから悪と言えるのか、殺人が正義になり得るのか、尊厳死、安楽死について考えさせられる話です。今の介護保険制度やそれに関連する制度は生活苦の人には何の救いにもならないのか?!と思いました。お役人さんに読んで貰いたい小説です。

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2023/03/12

映画が、公開されるとしり、本で読んでみたかった。9年も前の話だなんてとても思えない。今まさにそういう時。この本が書かれた時からもっと進行しているように思います。とても心がもどかしいこの大友検事の思いがとてもよくわかります。

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