ちょうちんそで の商品レビュー
とても久しぶりの読書。 私には妹がいて、主人公の姉妹のようにとても仲が良いので、かなり感情移入して読んでしまった。 本当は主人公雛子をとりまく人間たちの主観で語られる物語も興味深く味わいたかったけど、あまりにも雛子と架空の妹が思い出話を語る時間が濃厚で-そちらのが生き生きとリ...
とても久しぶりの読書。 私には妹がいて、主人公の姉妹のようにとても仲が良いので、かなり感情移入して読んでしまった。 本当は主人公雛子をとりまく人間たちの主観で語られる物語も興味深く味わいたかったけど、あまりにも雛子と架空の妹が思い出話を語る時間が濃厚で-そちらのが生き生きとリアルで-現実の出来事のが絵空事のように感じてしまうほどだった。(とくに、悠々自適に暮らす老人向けマンションの住人の暮らしぶりは、なに不自由ないはずなのに、おもしろみを感じなかった)その書き分けというか、温度差が、江國さんの文章のうまさだとも感じた。 私にも、他人とは分かつことのできない、妹とだけ話せるたくさんの思い出がある。今、妹がいるからなにげなく話していられるけども、もし彼女が行方不明になってしまったりしたら、雛子と同じようになってしまいそうな気さえした。 架空と自分で分かりながら、そこには実在しない妹と会話する雛子は決して狂ってはおらず、妹の会話や思い出もすべて自分でつくりあげているのかと思うと、それはとてもさみしかった。 途中に出てくる小人の話は、いるかいないかわからないもの、架空と現実のあやふやさをあらわしているメタファーなのかなと思ったり…。 現実をほとんど排除して生きる雛子が、なぜか一番現実帯びて感じられる不思議な物語でした。 江國さんの作品を読むたびに、女性はいくつになってもかなしいほどに少女のままだと痛感してしまう。
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雛子の過去がわかったときの軽蔑と同じくらいの同情。 1人暮らしの雛子。時々様子を伺いに訪ねてくる隣人の丹野。 丹野がかつて人を殺したことを知らない、優秀な妻の圭子。 雛子や丹野夫妻と同じマンションに住む岸田夫妻。 母が失踪した父親違いの年の離れた兄弟の正直と誠。 正直の美人妻と生後間もない娘、誠の彼女。 アメリカに住むなつきが懐いているのは、日本人学校の小島先生だった。 最初の夫は病死し、再婚した夫、最後に愛した男と失踪したものの、男は自殺してしまい、残された雛子はアルコールに溺れ、気付いた時には高齢者マンションに入居させられていた。 随分と昔に行方不明となった妹の飴子。 架空の妹と会話して、懐かしむ記憶と過去に飲み込まれないように、地に足をついて過ごす静かな日々。 最初みんなのつながりが読めないんだけど 途中から雛子の過去と同時にすべてがつながる書き方が、見事。 身勝手で、悲しいのに、愛がそこにある気がする。
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*取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる―雛子の謎が解かれるとき、伝えられる人生の秘密。切なさと歓びが暗闇から掬い上げられる、全く新しい長編* 美しく繊細な装丁通りの、ふわふわと掴みどころのない、独特な江國ワールド全開です。のっけから「架空の妹」とお茶を飲んでいる雛子が違和感なく物語に溶け込んでいる様がもう。ゆるやかに繋がっていくお話がゆるゆると終息するところも独特。不思議な読後感。
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行方不明の妹のありし日の若い様々な年齢の頃と暮らす五十四歳になる雛子、日本人学校の女性教師と仲が良い小三のなつき他の、ミルク紅茶にちょこっと浸すビスケットや小人を発見した秘密等のささやかな出来事たち。姉妹が若々しい。ひっそりとして丁寧で、特別なことは起こらない説得力のある穏やかな...
行方不明の妹のありし日の若い様々な年齢の頃と暮らす五十四歳になる雛子、日本人学校の女性教師と仲が良い小三のなつき他の、ミルク紅茶にちょこっと浸すビスケットや小人を発見した秘密等のささやかな出来事たち。姉妹が若々しい。ひっそりとして丁寧で、特別なことは起こらない説得力のある穏やかな暮らしが心地好い。
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このひとの話は血も肉もない、ただ香りだけのようだといつも思う。まったく感動しないし、どの話を読んだかもわからなくなるのだけど、疲れていても読めるし、ちゃんといきようという元気がでる。
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初めての江國香織さん。 何も変化はないしこれからも何も変わらないんだろうなぁと思った。 ずっと読んでいられる感じ。 嫌いではなかったです。
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若くしてグループホームで暮らす雛子と、その周りの人々の話。 最初から最後まで、ずっと霧の中にいるような雰囲気。架空の妹、世話好きな隣人とその家族やその友人、雛子が捨てた息子たち。 描かれたストーリーの後も、きっと霧は晴れずにモヤっとした日々が続くんだろうな。
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読み終わって衝撃を受けた。 なにも解決してない(結末を迎えていない)! ...様々なひとの日常を切り取って見せただけ、というなんとも不思議な物語。 バラバラに見えた登場人物たちが様々なところで絡まりあっていくあたりとか、飴子と雛子の会話(架空)の掛け合いとか、途中は面白かった。...
読み終わって衝撃を受けた。 なにも解決してない(結末を迎えていない)! ...様々なひとの日常を切り取って見せただけ、というなんとも不思議な物語。 バラバラに見えた登場人物たちが様々なところで絡まりあっていくあたりとか、飴子と雛子の会話(架空)の掛け合いとか、途中は面白かった。 ...けど! このラストには納得いかないのは私が未熟だからなのだろうか。何かしらの結末を迎えてほしいのだ。 空気感はまさに江國さんの世界だなぁと思う。
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久し振りに読んだ江國作品。ザ・江國ワールドだった。ミルクティーに浸して食べるビスケットとか。 高齢者向けマンションに住む住人たちの日常がたんたんと、江國節で描かれている。 それぞれの感性を持ち、それぞれの背景を抱えた登場人物たちの物語は日常であってストーリーではないから、特別な結...
久し振りに読んだ江國作品。ザ・江國ワールドだった。ミルクティーに浸して食べるビスケットとか。 高齢者向けマンションに住む住人たちの日常がたんたんと、江國節で描かれている。 それぞれの感性を持ち、それぞれの背景を抱えた登場人物たちの物語は日常であってストーリーではないから、特別な結末はない。ただ、ある時期を切り取ったもの。 昔はそんな江國氏の世界観が好きでよく読んだものだが、久し振りに手に取った一冊はなんだか物足りなかった。 2017/04
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江國香織さんの本を初めて読んだけれど、中途半端なところで話が終わってしまってよくわからなかった。 わかる人にはわかるみたいなことなのかなぁ。
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