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世界の果て の商品レビュー

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61件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

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2015/09/03

五編の短編集。 もともとそれ程長い作品を書く作者ではないが、短編はどうだろうと思い購入。 全体的に文体が安部公房のような感じがした。 他の作品を読んだときは感じないので、作者自身が言うように一時的なものなのだろう。 相変わらず、死と性が満ちた世界。 登場人物は、周りへの関心が希...

五編の短編集。 もともとそれ程長い作品を書く作者ではないが、短編はどうだろうと思い購入。 全体的に文体が安部公房のような感じがした。 他の作品を読んだときは感じないので、作者自身が言うように一時的なものなのだろう。 相変わらず、死と性が満ちた世界。 登場人物は、周りへの関心が希薄で何となく生きている。生きる意味が見出せず、積極的に死ぬことも出来ないような人たち。 「ゴミ屋敷」はちょっとクスッと笑ってしまう部分もあり、これも作者自身が言っているが、普段のものとは異なるように感じた。それでも決して軽い仕上がりにはならないところが中村流なのかもしれない。 この作家は、毎回巻末に自身による解説のようなものを書いている。 単行本にもそれがあるのかどうか知らないが、自分の作品を振り返っておきたいひとなのかもしれない。ひとつひとつの作品を大切にし、読者に自分の思いをきちんと伝えたいと考えるひとに感じられる。 こういう真面目さは、嫌いじゃない。

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2015/08/23

中村さんは初めて読んだけど、「純文学っぽい」という感想以外だととにかくしんどいという印象しかわかなかった、レビューにある長編から入ったほうがよかったのかも。 なんというか陰鬱というよりはわけのわからないものに対峙する不安感を書いたもので丸々一冊占めていて、一回一回「え?」と思いな...

中村さんは初めて読んだけど、「純文学っぽい」という感想以外だととにかくしんどいという印象しかわかなかった、レビューにある長編から入ったほうがよかったのかも。 なんというか陰鬱というよりはわけのわからないものに対峙する不安感を書いたもので丸々一冊占めていて、一回一回「え?」と思いながら読むからしんどかったんだなと思う。考えるな感じろってことなのか。暗い話は好きだけどよくわからないものはあまり好みじゃないなあと思った、でも言葉はきれいだった

Posted byブクログ

2015/06/30

中村文則の小説は初めて。登場人物は皆言葉少なく緻密な状況描写がずっと続く。イメージしやすい的確な言葉選びもあり情景が目に浮かぶ表現力に驚きを覚えた。 「夜のざわめき」の占い師の【予定通りに人生を終えた人は…】の一節には奇妙な説得力があり【この世界の本質は気まぐれ】という言葉で締め...

中村文則の小説は初めて。登場人物は皆言葉少なく緻密な状況描写がずっと続く。イメージしやすい的確な言葉選びもあり情景が目に浮かぶ表現力に驚きを覚えた。 「夜のざわめき」の占い師の【予定通りに人生を終えた人は…】の一節には奇妙な説得力があり【この世界の本質は気まぐれ】という言葉で締められる考え方にはしびれる。 「世界の果て」では高校生の心理描写に引き込まれた。コトに運んでしまったタイミングではドキドキとしたスリルとリアルな感覚に移入してしまい思わず悲痛な表情を浮かべながら読んでしまった。

Posted byブクログ

2015/06/24

自分自身では何もかも憂鬱な夜にに続いての著者の本になったが、短編なので長編と比べてかなり突飛な描写が多くみられる。この本の物語が計算されつくしてできたものではなく、あとがきにあるとおりに著者の気持ちの不安定さが出ているとした確かにそれはヤバいなと思う。 面白かったのは夜のざわめき...

自分自身では何もかも憂鬱な夜にに続いての著者の本になったが、短編なので長編と比べてかなり突飛な描写が多くみられる。この本の物語が計算されつくしてできたものではなく、あとがきにあるとおりに著者の気持ちの不安定さが出ているとした確かにそれはヤバいなと思う。 面白かったのは夜のざわめきと世界の果ての2編。 夜のざわめきは居酒屋の中に迷い込む話。 こういった暗い異次元に迷い込むような感覚はとても好き。 千と千尋などが分かりやすい部類だろうか。ノスタルジックで支離滅裂で幻想的。 世界の果ては4章以外は何の話なのかよくわからなかったが4章の主人公と女将の会話と犬との会話(主人公の独り語り?)はなにか死について考えさせられるものがあった。 現代の若手の作家の中でもかなり文学的な作家だと思う。 昭和の純文学の影響をとても感じる。 また他の長編も読んでみようと思うが読後はかなり暗い気持ちになるので読む時期は考えなくてはいけないと思う。

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2015/06/23

個人的に、この作家の作品は短編より長編の方が面白いんじゃないか、と思った。「月の下の子」はこれまで読んだ長編作品と雰囲気も似てて読みやすかったけど、それ以外は慣れないせいもあるのか、後半に行くほど読み進めにくかった。うーん。ストーリーよりも、印象に訴えかける方が大きい気がしたけど...

個人的に、この作家の作品は短編より長編の方が面白いんじゃないか、と思った。「月の下の子」はこれまで読んだ長編作品と雰囲気も似てて読みやすかったけど、それ以外は慣れないせいもあるのか、後半に行くほど読み進めにくかった。うーん。ストーリーよりも、印象に訴えかける方が大きい気がしたけど、その印象が掴みにくくて。もう少し読みこみが必要と感じた。

Posted byブクログ

2021/02/21

この作者はどういう作家から影響を受けたのか、それとも受けていないのか。初めてなので何の情報もないまま読んでみました。 ネットの書評だったかで、中村文則さんについて「この作者の小説は、ストーリーは面白くないが純文学として成り立つという、現代では稀有な読み物だ」みたいなことが書かれて...

この作者はどういう作家から影響を受けたのか、それとも受けていないのか。初めてなので何の情報もないまま読んでみました。 ネットの書評だったかで、中村文則さんについて「この作者の小説は、ストーリーは面白くないが純文学として成り立つという、現代では稀有な読み物だ」みたいなことが書かれているのを読んだことがあったのだけど、実際読んでみて頷いた。 支離滅裂で奇妙な夢というのは誰でも見たことがあると思うけれど、そういう夢を人に話すのは骨の折れることだし、何の補足も感情の表現もないままだと、話された相手は「何のこと話してるの?」となると思う。 この小説はまさしく、そういった感じで誰かの夢の話をされているような感覚の読み物。という印象を私は受けた。作者の複雑な頭の中、なのだろうか。 「これはもしかして、こういうことのメタファーになっているのか?」と思い当たるところはあったけれど、それが当たってるのかどうかも謎のまま。 そういうのは自分の中だけで解釈して楽しむのが正解だとは思うけど、謎解きしてほしい気持ちも多少ある。笑 中村さんの小説のこと、ピースの又吉直樹がめちゃくちゃ推してた記憶があるのだけど、読んでみて何か勝手に納得した。 短篇集じゃなく長編の小説を読んでみればまた違う印象を持つのかもしれない。 ちょっとした“おかしみ”もあっていちばん読みやすく感じたのは「ゴミ屋敷」というお話。 個人的には、安部公房やカポーティと似たところに位置する作家、という感じ。 けどそれよりさらに暗いかな。 好みはかなり分かれそうだけど、私は好きなほうです。

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2015/03/22

作者の解説にもあったが、こんな話も書けるのかと印象的だったのが「ゴミ屋敷」 自転車やら鉄くずやらを積み重ねていく描写はなんだかよかった。全体的に明るめな小説なんじゃないかなと思う。もちろんこの作者にしてはなんだけど。

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2015/01/22

長編のがおもしろいな、と思った。この人の鬱々とした感じはほんとにすごく大好きなんだけど。 ただ“世界の果て”の高校生の少年の話はとても良かった、というか、とても好き。 ああいった衝動とか思考とか、性に対する貪欲さとか。孤独はいやだよね。そうなんだよ、そうなの。孤独はやだなぁ。 あ...

長編のがおもしろいな、と思った。この人の鬱々とした感じはほんとにすごく大好きなんだけど。 ただ“世界の果て”の高校生の少年の話はとても良かった、というか、とても好き。 ああいった衝動とか思考とか、性に対する貪欲さとか。孤独はいやだよね。そうなんだよ、そうなの。孤独はやだなぁ。 あとがきで「あの話は銃と似ているかもしれない」と言っていて、なるほどと思った。好きなわけです。

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2015/01/09

ひっそりと世間に溶け込んでいる異物を抱えた人間。登場する人物たちはおなじみの生きづらさや違和感を抱えているけど、長編とは違った雰囲気を感じた。 行き詰まり死んでしまおうと思う人もたくさんいたが、誰一人完全なる消滅を望んではいない。自分がいない世界を何処か、つまり世界の果てから傍...

ひっそりと世間に溶け込んでいる異物を抱えた人間。登場する人物たちはおなじみの生きづらさや違和感を抱えているけど、長編とは違った雰囲気を感じた。 行き詰まり死んでしまおうと思う人もたくさんいたが、誰一人完全なる消滅を望んではいない。自分がいない世界を何処か、つまり世界の果てから傍観したいという思いが感じられる。 何処かへ行くことができたのは、ぼくの未来だけだ

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2014/11/09

この本から読み始めた人は、その内容や暗さ、そして掴み所のなさに戸惑うんじゃないだろうか。 物語を求めるようなジャンルではないと思ってたけど、この短編集は特にその傾向が強いような気がする。 何冊か長編を経て著者に慣れたと思ったけど、それでもちょっと戸惑ったぐらい。 内容は、正気と...

この本から読み始めた人は、その内容や暗さ、そして掴み所のなさに戸惑うんじゃないだろうか。 物語を求めるようなジャンルではないと思ってたけど、この短編集は特にその傾向が強いような気がする。 何冊か長編を経て著者に慣れたと思ったけど、それでもちょっと戸惑ったぐらい。 内容は、正気と狂気の境界を扱った感じの短編集。 著者も述べてるように、こういう暗い本もあってもいい。 書かないのか、書けないのか、書かせてもらえないのかわからないけど、こういうジャンル?は必要だと思う。 こういう題材を扱える人は貴重なんじゃないだろうか。

Posted byブクログ