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世界の果て の商品レビュー

3

61件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    3

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2023/08/22

今作までの中長編は全て読んで、ドストエフスキーの影響が大きいと強く感じながら、どんどん進化してきていたが、初の短編集は、より強くカフカ、ドストエフスキー時には安部工房を連想させられた。全て実験的で暗い作品で、読みやすいとは言い難いが、読んだ直後に、また読み返したい気持ちにはなった...

今作までの中長編は全て読んで、ドストエフスキーの影響が大きいと強く感じながら、どんどん進化してきていたが、初の短編集は、より強くカフカ、ドストエフスキー時には安部工房を連想させられた。全て実験的で暗い作品で、読みやすいとは言い難いが、読んだ直後に、また読み返したい気持ちにはなった。特に表題作「世界の果て」は5つの短編の連作になっていて、互いに微妙に関連性もあるので、読み返すときっと新しい発見があると思った。 最後に中村文則さん自身の解説になっていて、作品へのヒントや背景が書かれていてとてもありがたい。

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2023/07/12

タイトルがぴったりな、絶望感あふれる短編集だった。簡単に言えば暗すぎて笑えた。個人的には、元気がない時に読むと、無理に小説の人物にテンションを合わせなくていいので疲れなくて好きだった。中村文則さん、どうしてこんなに不安定で繊細な人々の文章が書けるんだろう。

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2023/04/18

実はブクロクに登録していない(2013年以降の本しか登録してません)本でして、新刊と間違えて購入してしまいましたσ(^_^;)

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2023/02/02

初期中村文則らしく、陰鬱などこまでも憂鬱な作品群となっております。 表題作「世界の果て」は一番重厚さを醸し出しており、それぞれの登場人物の世の中への諦観、馴染めなさ、孤独感が湧き上がってきてる。自分の感情も侵食されてるようで、読み進める辛さを感じてしまう。特に、高校生の主人公が...

初期中村文則らしく、陰鬱などこまでも憂鬱な作品群となっております。 表題作「世界の果て」は一番重厚さを醸し出しており、それぞれの登場人物の世の中への諦観、馴染めなさ、孤独感が湧き上がってきてる。自分の感情も侵食されてるようで、読み進める辛さを感じてしまう。特に、高校生の主人公が包丁を隠し持って小学校に向かう心情描写なんて、混沌としているけど何故か同調する部分もある不思議な魅力がある。 そんな中で個人的No.1は「ゴミ屋敷」。 コミカルさを初めて表現した作品と著者あとがきで語っているけど、中村文則のこういったブラックユーモアがツボなのです。パワーワードも飛び出してくるし、市役所の事なかれ主義を揶揄してるのだろう登場人物もなんとも愛おしい。 久しぶりに中村文則ワールドを堪能しました。少しご無沙汰してる間に作品が増えてるので、適宜追っかけていこうと改めて決意です。

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2022/12/07

うーーん!なんか、今まで彼の長編?(短編ではないやつ)をいくつも読んできたので短編ゆえの短さに詰められた文章があざと過ぎない!?と思っちゃった… 個人的に、中村文則の書く物語は、長編でぎゅぎゅっと鬱々させられたあとに消化しきれない思いを抱えながら僅かな解放感や救いの光をみつける、...

うーーん!なんか、今まで彼の長編?(短編ではないやつ)をいくつも読んできたので短編ゆえの短さに詰められた文章があざと過ぎない!?と思っちゃった… 個人的に、中村文則の書く物語は、長編でぎゅぎゅっと鬱々させられたあとに消化しきれない思いを抱えながら僅かな解放感や救いの光をみつける、みたいな読み方をしたいのかもしれない

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2022/12/04

著者初の短編集。暗く、抽象的な5編。暗く、抽象的なんだけど、むしろ気分は楽になる。著者本人も解説している通りそういう人が読めば良い類の小説。 まともでないことのまともさを確認することでやっと保てるまともさが世の中にはけっこうある、ということですね。

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2021/08/30

中村文則さん初めての短編集。 暗い夢の中を手探りで進むような読書体験。 「ゴミ屋敷」、とても好き。 世界の果て、というよりは世界の終わり、といいたくなるような陰鬱な暗さ。 だけどそれは終わりではない。果てだけれど、続く。どれだけ暗くても、続いていかなければならない。 崖の...

中村文則さん初めての短編集。 暗い夢の中を手探りで進むような読書体験。 「ゴミ屋敷」、とても好き。 世界の果て、というよりは世界の終わり、といいたくなるような陰鬱な暗さ。 だけどそれは終わりではない。果てだけれど、続く。どれだけ暗くても、続いていかなければならない。 崖のふちに靴が並んでいる情景。

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2021/05/01

“明るさは時に人を疎外することもある” 正直はじめの4作は 読み進めるのがちょっとしんどかった。 でも、あとがきのこの一言で すごく大事な部分を納得した気がする。 5作の短編の「まともでない」主人公達はみんな 明るさに疎外されてしまった人々なんだろうな。 普通の人と同じよう...

“明るさは時に人を疎外することもある” 正直はじめの4作は 読み進めるのがちょっとしんどかった。 でも、あとがきのこの一言で すごく大事な部分を納得した気がする。 5作の短編の「まともでない」主人公達はみんな 明るさに疎外されてしまった人々なんだろうな。 普通の人と同じように世界に迎合できない人達が 孤独とかままならなさに苦しんで、 それでもやっぱりこだわりを、 たどり着きたい場所を諦められなくて もがく思考の中に、 なにかきらめくもの、真実の断片みたいなものが あるのかもしれない。 靴の並んだ巨大な崖の裂け目は そういう人たちにとって一種救いに見えるのかも。 鮮やかに不気味で美しいその風景が 写真みたいに浮かんだので、 私の中にも似たような 思考が住み着いているのかもしれないな。 不安な違和感というか 謎がたくさん残る作品だったけど、 全然スッキリ回収されずに 違和感のまま読み手の中にわだかまり続けるのも 「らしい」のかもしれない。 これらに対する答えを 「はいどうぞ」としてくれないのが 中村文則さんの作品なのかも。 そしてその答えは 他の本だったり、自分の人生のふとした経験や 考え事の中にあるのかも。 この感想、「かも」ばっかりですね。 一読しただけでは、何度も読んでももしかしたら、 全容の掴めない深い崖みたいな作品だった、 の、かも、しれない。

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2021/10/07

5作からなる短編集。 私はいつも中村さんの文を上手く掴めない。書いてある言葉自体は何も難しくないのに、どうしてだろう。起承転結で作られていないからだろうか。ずっとゆらゆらともやもやとする、そんな本だった。しかし解説を読んでなるほどな、とも思った。確かにハッピーエンドの小説だらけ...

5作からなる短編集。 私はいつも中村さんの文を上手く掴めない。書いてある言葉自体は何も難しくないのに、どうしてだろう。起承転結で作られていないからだろうか。ずっとゆらゆらともやもやとする、そんな本だった。しかし解説を読んでなるほどな、とも思った。確かにハッピーエンドの小説だらけも面白くない。時にはとことん暗く、とんでもなく重い小説に触れることも大事なのかもしれない。 表題作は割と読みやすく、一気読み。 因みにどの作品も救いやゴールはない。

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2021/02/20

癖になる、気持ち悪さ! 解説の「明るく朗らかな小説だけになってしまったら、それは絶望に似ているのではないかと個人的には思っている。」という部分に共感し、中村さんらしいと感じた。

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