歓喜の仔(下) の商品レビュー
♪おお、友よ、もっと別な真理の歌をうたおうではないか! 作者はこの小説の展開についてなみなみならぬ周到な構成を凝らして臨んではいる。日本と外国、2つの異なる場所と場面で自由と独立のために戦う人々の同心円世界を同時進行で描きだそうとする意欲的な試みもそう。 だが、「どんな社会...
♪おお、友よ、もっと別な真理の歌をうたおうではないか! 作者はこの小説の展開についてなみなみならぬ周到な構成を凝らして臨んではいる。日本と外国、2つの異なる場所と場面で自由と独立のために戦う人々の同心円世界を同時進行で描きだそうとする意欲的な試みもそう。 だが、「どんな社会や人世の苦悩や闘争があろうとも、それを勇気と友愛の絆で潜り抜けた暁には遥かなる天空の彼方に救い主たる神が待ち受けている」、という余りにも紋切り型の大団円が、多くの読者にとっていささか鼻白むお寒い着地点に収斂するのも無理からぬ話なのである。 ♪おお、友よ、このような安易な物語ではない。 我々はもっと心地よい、もっと歓喜なぞを忘れた別な真理の歌をうたおうではないか。
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ラストまでイマイチ入り込めず不安でしたが、最後は第九を聴く事が出来た様な気持ちです。人類は何故滅びないのか、悪の中の善について、蒙を啓かれる思いでした。急がす落ち着いて読みたかった…
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あっと驚くような展開も無く、淡々と読み進んでいくんだけれど、後から思い返すと、じわじわっと良さがにじみ出てくるような気がした。 自由を得た事は大きな前進だし、奇蹟は起きなくても三人ならやっていけると信じたい。
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絶望的な現実のなかを、それぞれの感性と行動力で乗り切っていく3兄妹。実相が明らかになり、生活は変わっていくだろうが、それぞれはこれからどう生き抜いていくのだろうか。 切ないまま読み終えた。
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まずはなんとも陳腐な結末に開いた口がふさがりません。全体を俯瞰しても誠の妄想シーンはうっとうしいだけだし、正二の小学生とは思えぬ言動にはリアリティがなさ過ぎて「ソロモンの偽証」の中学生達以上に現実離れしています。「永遠の仔」や「悼む人」のような読後の圧倒的な感動はみじんもなく、途...
まずはなんとも陳腐な結末に開いた口がふさがりません。全体を俯瞰しても誠の妄想シーンはうっとうしいだけだし、正二の小学生とは思えぬ言動にはリアリティがなさ過ぎて「ソロモンの偽証」の中学生達以上に現実離れしています。「永遠の仔」や「悼む人」のような読後の圧倒的な感動はみじんもなく、途方もない徒労を感じて終わりました。
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これも天童ワールドだと思うけど長男誠の空想が読んでいて辛かった…汚い大人達に不幸な生活をさせられながらもまっすぐに必死に生きていく3兄妹の物語…突然いなくなった父親の真相がわかったラストシーンに衝撃…
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市図書館。 上質のミステリーサスペンスでもありながら、読了後には爽やかな『希望』が満ち溢れる。 陳腐な映像にはして欲しくない作品の一つになった。
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パケっていう違法な包みを子供が借金のために作る話。 お父さんが、どこで何してたかの、落ちは少しビックリした。 長男の空想のページが下巻は多くなってきたので、読み飛ばしちゃいました。ホントは本筋とリンクしてるんだろうけど。 すげぇ感動したとか、入り込めるとかは、なかった
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【天童荒太】という作家の新作に期待しすぎていたのかもしれない 私にとっては、いまいちもの足りなさを感じた 作家が読者に伝えたかったこと・・・生きていく上で希望のようなもの も わかる気がする 手法、というか 想像の世界で繋がることも わかる 過酷な戦場にいたことがないものにとっては その戦場を見つめるだけで 過酷だし、目をそむけたくなるであろう だから 最後 ホッと息を吐いて 希望の光を見るのかもしれない しかし 別の戦場にいてギリギリの精神状態を経験してきたものにとっては見なれた風景であり 必ずしも希望や救いには繋がらない、という リアルな感想を持った 結局 その後も人生は続くのだから だけどそうはいっても やはり【天童荒太の世界】だ そういった意味では読み応えがあると思う (少し辛口かもしれません・・・。)
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