歓喜の仔(下) の商品レビュー
読了後、今なお余韻が続いている。 現実と空想が交互に現れ、物語を補完しあう。 徐々にその境界が曖昧になっていくのも見事。 大人の事情で辛い状況に置かれる子供達。 それでも子供たちは時に非合法な手段をとってでも、健気に必死に生きていく。 その姿には、善悪を越えた感動がある。 この物...
読了後、今なお余韻が続いている。 現実と空想が交互に現れ、物語を補完しあう。 徐々にその境界が曖昧になっていくのも見事。 大人の事情で辛い状況に置かれる子供達。 それでも子供たちは時に非合法な手段をとってでも、健気に必死に生きていく。 その姿には、善悪を越えた感動がある。 この物語は、人間、人類に対する大きな愛の物語だと感じる。 人間賛歌、人類賛歌の物語。 歓喜の歌が響き続ける事を願う。
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天童ワールドを体感した。 言葉では表現しにくいが、今回は何か物足りなさ感じた。 いつもながら、本のあとがきには、学ぶところが多い。
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久しぶりの天童さんの小説にはやはり天童さんにしか描けない暗く深い世界が広がっていた。 読みながら苦しくて、自分が息を止めていたことに気づいたり。 爪のあとがつくほどきつくこぶしを握り締めていたり。 かわいそうとか悲しいとか、そういう言葉が薄く感じられてしまう。 もし、物語の中に入...
久しぶりの天童さんの小説にはやはり天童さんにしか描けない暗く深い世界が広がっていた。 読みながら苦しくて、自分が息を止めていたことに気づいたり。 爪のあとがつくほどきつくこぶしを握り締めていたり。 かわいそうとか悲しいとか、そういう言葉が薄く感じられてしまう。 もし、物語の中に入れるのなら、殴りたい。思い切り殴りつけたい。 精一杯生きている彼らの人格を踏みにじり生を略取している汚れ切ったオトナたちを、思い切り殴りつけたい。 誠は誠のやり方で、正二は正二のやり方で、香は香のやり方で、お互いを必死に護ろうとしている、その姿は重苦しい救いのない世界の中でかろうじて見える一本の命綱。手を離したら闇の中に落ちていってしまう。離さないで、お願いだからその綱だけは離さないで、そう祈り続けた。
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