歓喜の仔(上) の商品レビュー
貧困、親の介護、犯罪…暗い闇のようなお話だけど、その中を生きる子ども達3人の逞しさに救われて読み進められる。題名のように“歓喜”の子になれるのかな…下巻に期待します。
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「歓喜」というタイトル通り、ベートーヴェンの第9交響曲の第4楽章の後半でうたわれ、「歓喜に寄す」の歌が重要な伏線であり、ライトモチーフともなっている。 人間の友愛とその喜びを神に向かって感謝する詩は、無神論者からみればナンセンスな面はあっても、人と人の絆が重要だと説くシラーの熱...
「歓喜」というタイトル通り、ベートーヴェンの第9交響曲の第4楽章の後半でうたわれ、「歓喜に寄す」の歌が重要な伏線であり、ライトモチーフともなっている。 人間の友愛とその喜びを神に向かって感謝する詩は、無神論者からみればナンセンスな面はあっても、人と人の絆が重要だと説くシラーの熱い叫びは現在でも一定の意味を失ってはいないだろう。 しかしそれがあまりにも時代を超越した「普遍的な」メッセージでありすぎるために、作曲者のメロディと相俟って完全に陳腐な音楽として届けられてしまう危険性がある。かのフルトヴェングラーを除く今日のベートーヴェン音楽の演奏と同様に。
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父は失踪、母は寝たきり、誠・正二・香の3兄妹の苦闘。 犯罪の片棒をかつがざるを得ないなかでの誠の空想。 正二をかばった委員長も不登校に。 「くさい」が日常語の香には死者が見える。 どこかに救いはあるのか。 「歓喜の仔」のタイトルに期待して下巻へ。
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ただひたすら悲惨なストーリーにはなんの光明も見えません。「永遠の仔」や「悼む人」のようなドキドキやワクワクなどかけらもなし。2年ぶりの新作がこんな調子で大丈夫なんでしょうか…
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人生の事情が明らかになっていく。善悪を区別出来ない複雑な関係に身をつまされる。感情移入を躊躇する。続きが気になる。
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借金を抱えた父は失踪し、母も寝たきり、残された三兄妹は犯罪に手を染め生きていくが・・・ 凄く悲惨な設定なんだけれど、不思議と悲壮感は感じられない。 それぞれに現状と折り合いをつけて、たくましく生きている兄妹だけれど、これからどうなるのかな。
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誠の想像の中での人物リートの物語と、誠自身の物語が並行して書かれてる。 誠が置かれている環境が、リートの物語によってより想像しやすくなっているかと思えば、実はとても読みづらかったりする…。 でも天童荒太の『永遠の仔』のように、こどもの描写がとても上手。 子どもの純真無垢な感じ、
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同じテーマで同じ著者が作品を生み出すのには限界があるのか…とちょっと残念な気持ちに。 「永遠の仔」「悼む人」あたりが、ピークだったのかも。 この作品から読んだら、これがイチオシになったかもしれないけど。 今回は父親が借金地獄、母親が寝たきり、クスりの製造で家計を支える3人の子どもがメイン。途中、長男誠の思考が煩わしくなってくる。ただ、それがないと本当に地味な話になってしまうが…。 妹の「クサイ」の意味がわかった時に、ゾッ。
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天童荒太さんは初読です。 物語の流れが、現在・記憶・想像・・と転換するので最初はすごく追いつくのに必死ですが、がぜん面白くなってきました。 でも切なすぎので、早く下巻で救ってほしい・・と願いつつ、最後の小6の想いに感銘しました。
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読後感が人によってまちまちだと思うので、諸手を挙げてのおすすめは出来ない。闇の中でしか光のまぶしさはわからないように、極寒の中でしかぬくもりの有り難さはわからないように、「尊さ」を絶望を描くことで描写すること。それを社会問題を通して描写していく筆者の著作は、私は、これからも読み続...
読後感が人によってまちまちだと思うので、諸手を挙げてのおすすめは出来ない。闇の中でしか光のまぶしさはわからないように、極寒の中でしかぬくもりの有り難さはわからないように、「尊さ」を絶望を描くことで描写すること。それを社会問題を通して描写していく筆者の著作は、私は、これからも読み続けていきたいと思っている。
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