ふれられるよ今は、君のことを の商品レビュー
時々消えてしまう、歳を取らない恋人…。それでも幸せなら、良いのでしょうが、私だったら、耐えられないと思ってしまった。何の前触れもなく、消えてしまうって、本当に悲しい。 ただ、幸せで、優しい世界感で、その悲しさもなんだか、心地よかった。
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実際にはありえない話なのに、日常にストンと入り込んでいくような感じ。 違和感なくさらさらとこの世界に入り込めました。 とてもドラマチックな特殊な二人の関係、もっと書く人が書けば、そこに力を入れて、さぁ泣いてください、と言わんばかりに書けそうですが、 そんなことはせず、本当に日...
実際にはありえない話なのに、日常にストンと入り込んでいくような感じ。 違和感なくさらさらとこの世界に入り込めました。 とてもドラマチックな特殊な二人の関係、もっと書く人が書けば、そこに力を入れて、さぁ泣いてください、と言わんばかりに書けそうですが、 そんなことはせず、本当に日常、その中の出来事、 という感じで、それがとても良かったです。 人と関わること、人との温もり、それを知ってしまうと、知る前の自分には戻れない そういう分かりやすいことだと思いますが、今の私にそれほど響かなかったのは、きっと今の私には、失ったものがまだなく、それは幸せなことなんだな、と感じました。 きっと、ものすごい恋をして、そして失恋をした学生時代に読んでたら、もっと素直に読めたかもしれません。
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高野楓(たかの・かえで)はやる気のない中学校教師。熱血教師が次々に心を病んで辞めていく教育の現場で、自分は常に適当に仕事をしてきたからこそ生き残れたのだ、という自覚がある。恋愛経験がなくもないが、なんとなく独り身できた。しかし最近、ひょんなことから、年下の彼氏を居候させている。セ...
高野楓(たかの・かえで)はやる気のない中学校教師。熱血教師が次々に心を病んで辞めていく教育の現場で、自分は常に適当に仕事をしてきたからこそ生き残れたのだ、という自覚がある。恋愛経験がなくもないが、なんとなく独り身できた。しかし最近、ひょんなことから、年下の彼氏を居候させている。センスがよく料理上手な彼との日常はたのしいが、困ったことがひとつ。この彼は、ちょくちょく姿をくらませてしまうのだ。野崎先生は楓の先輩教師で、熱血なことが鼻につくが、なにかと頼られてしまう。この先生に問題児・市田君の面倒をみてほしいと頼まれ、いやいやながら引き受ける。市田君は、図抜けた卓球の才能があり、卓球部員なのだが、全くやる気がなく、卓球台の下で本を読んでいるというのだ。楓は、自分の管轄である社会科資料室の整理を市田君に頼む。市田君は分類と整理といったことが無類に好きらしく、本当は誰からも必要とされていない作業に嬉嬉として励む。恋愛不能、発達障害といった現代的問題をふわりと包み込み、見事な大人のファンタジーとして仕上げた傑作長篇。
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やる気のない女教師と、たまに消えてしまう恋人との話。何気ない日常を描いているが、とんでもないファンタジー。 普段生きていると「他者の存在」を忘れがちだが、時折、ふっ、と襲ってくる不安、それが静かに表現されていた。 人との関わり、誰かを愛すること、愛されること、何でもない日常 ...
やる気のない女教師と、たまに消えてしまう恋人との話。何気ない日常を描いているが、とんでもないファンタジー。 普段生きていると「他者の存在」を忘れがちだが、時折、ふっ、と襲ってくる不安、それが静かに表現されていた。 人との関わり、誰かを愛すること、愛されること、何でもない日常 改めてかけがえのないことなんだと気付かされる。 じわじわと心に滲みる良い小説だった。 後半にかけて名言で溢れていた。 オチが微妙だったのが残念。きちんと締めてほしかった。
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橋本さんのお話は、誰かの日常を切り取った穏やかな話が淡々と続いているような感じがするけれど、退屈ではなく心地良く感じる。不思議なところはあるけれど、どこか身近で、心に響く言葉が散りばめられている作品だった。 突然消えてしまう彼を想う漠然とした不安、面倒なようで離れてしまうと不安に...
橋本さんのお話は、誰かの日常を切り取った穏やかな話が淡々と続いているような感じがするけれど、退屈ではなく心地良く感じる。不思議なところはあるけれど、どこか身近で、心に響く言葉が散りばめられている作品だった。 突然消えてしまう彼を想う漠然とした不安、面倒なようで離れてしまうと不安になる自分を受けていれてくれる人たち。 「不安」に寄り添ったお話で、自分の中のたくさんの不安が見え隠れしたけど、とても辛くなることもなく、ただどんどんページが進んでく感じ。 やっぱり、この方のお話や言葉が好きだなーと感じた。
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隣にいるだけで幸せだった気持ちを忘れずに持っていられたなら、そんなに悲しくても、彼のことを待っていられる。主人公と彼は二人で観た映画のように、楽しいばかりではなかった。悲しいばかりではなかった。そう感じました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ファンタジー恋愛小説。 主人公は怠惰な女教師・高野楓。 野良猫感覚で拾った成人男性と同棲中。 家事全般に長けていて、一緒に過ごせる日は必ず健康的な食事をふるまってくれる。素性不明でおそらく無職だが、40年以上の人生の中でもっとも穏やかな男性。 誰より孤独を愛する女と自負していたのに、いつしか彼のいない人生を想像しただけで精神的に不安定になっていて……。 自炊描写が、いつも通り食欲をそそられて楽しかった。 背伸びした洋食ではなく、簡素な和食メイン。 彼はどんな女性に家事を教わったんだろう? 主人公カップルより、脇役の俳句老夫婦の方が幸せそうだなと感じた。
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読みやすい 消える彼のご飯食べたいな 久振りに本を読んできゅんきゅんとしたとともに不器用な様子を自分に重ねて考えてしまった
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高野楓はやる気のない中学校教師。楓の先輩教師である野崎先生は熱血なことが鼻につくが、何かと頼られてしまう。卓球部の市田君の面倒を見ることになったのも、野崎先生に頼まれてしまったから。もうひとつ気がかりなのが恋人のこと。料理上手な彼氏を家に居候させているけれども、時々姿をくらませて...
高野楓はやる気のない中学校教師。楓の先輩教師である野崎先生は熱血なことが鼻につくが、何かと頼られてしまう。卓球部の市田君の面倒を見ることになったのも、野崎先生に頼まれてしまったから。もうひとつ気がかりなのが恋人のこと。料理上手な彼氏を家に居候させているけれども、時々姿をくらませて、しばらく帰ってこないこともある。どうも彼は、何か秘密を抱えているみたい…。 前にも後ろにも進まない、停滞という言葉がぴったりくる物語だった。熱血であるが故に学校から去らざるを得なかった教師たちを横目で見ながら、楓は教師としての意欲がないために生き残ることができたことを自覚している。また恋人に秘密があることに気付いていながら、積極的にその秘密を知ろうとしない。彼を引き留めることはできないという諦め、真実を知ることの恐ろしさ、彼が傍にいてくれる“今”への甘え。楓からは現状を打破しようとする意志を全く感じない。過ぎゆく時間の上に漂うだけである。物語も問題を根本的に解決しないままに終わっている。すっきりしない物語だった。 著者の他の作品同様、おいしそうな料理がたくさん出てきた。特に彼が焼いたヤキイモは印象に残った。料理ではないけど。とても甘くおいしくて、楓は夕飯替わりにおなかいっぱいになるまで食べていた。いいなぁ…
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図書館でタイトルから手にした初めて読む作家さん。 普段ファンタジーは好まないのですが、これは現実とかけ離れ過ぎてない感じが読みやすく、共感できた内容でした。 生きていくうえで、本当に大切なことが書いてあります。
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