空耳の森 の商品レビュー
七河迦南さん、三作目の力作です。 短編集かなと思って、最後の表題作を読んでいるうちに総ての作品が、一つに繋がります。読み終わって慌ててもう一度ページを読み返してしまう。そう、連作短編集の傑作です。 前作で歯痒い想いをした分、最後の一行で泣きますよ。
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デビュー作から読み続けている作家が、巻を重ねるごとに洗練されていくのを感じるのはなかなか楽しい。 今回は叙事系のトリックが多いが、とにかくどの話も強烈に驚かされる。 話の節々に養護施設の事が出てくるので、最後は例の施設に集合するんだろうな、と思っていたら、予想通りでニンマリ。 登場人物がリンクする短編集は楽しい。 只、前作「アルバトロスは羽ばたかない」を読んでいないと全くといっていいほど理解出来ない話が終盤に続くのは初見の人にはちょっと不親切かなと思ったので、☆1つマイナス。
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ギャフン、ミステリフロンティアやから油断してたけど、前の2作とリンクしてるやないの! 例によってうっすらとしか覚えていないのだった。脳みそつるつる。 そんな悔しさを抱きつつも充分楽しませていただきました。 「アイランド」は夢Q先生の「瓶詰地獄」を思い起こさせた。
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(No.13-3) ミステリ短編集です。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『まだ早い春の日、思い出の山を登る一組の男女。だが女は途中で足を挫き、束の間別行動をとった男を突然の吹雪が襲う。そして、山小屋で一人動けない女に忍び寄る黒い影・・・。山岳を舞台にした緊迫のサスペンス「...
(No.13-3) ミステリ短編集です。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『まだ早い春の日、思い出の山を登る一組の男女。だが女は途中で足を挫き、束の間別行動をとった男を突然の吹雪が襲う。そして、山小屋で一人動けない女に忍び寄る黒い影・・・。山岳を舞台にした緊迫のサスペンス「冷たいホットライン」。 孤島に置き去りにされた幼い姉弟の運命を描く「アイランド」。 ある不良少女にかけられた強盗の冤罪を晴らすため、幼なじみの少年探偵が奔走する「さよならシンデレラ」。 居酒屋で男が安楽椅子探偵に遭遇する「晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)」。 「アルバトロスは羽ばたかない」で一躍注目を浴びた鮎川哲也賞受賞作家の本領発揮。一編一編に凝らされた職人的技巧に感嘆すること間違いなしの、バラエティに富んだ九編を収める。』 これを最初に見かけたとき、今度は短編集かあ、私は長篇が好きだし連作短編ならまあ良いんだけどなとか思ってそのままにしてました。でも、(一見バラバラに見えるけど)他の七河作品を読んでたらこれを読まなければ損!とのマイミクさん情報。 ほんと、そのとおりでした。 しかし、つくづく思ったのは自分のなさけない記憶力。前の作品は2冊とも図書館で借りたので手元になくて、え~っと前の作品を確かめたい!と何度も思った。全部ちゃんと記憶してればそんなことはないんでしょうが。 この一冊に限ってもあれこれ繋ぎ合わせたりして、だからちょっと読むのに疲れてしまいました。でも満足。 気にせず読んでもそれなりに面白いはずで、そのほうが感動できたのかもしれません。でもつい気になって考えてしまうんです。 そしてラスト、あれは希望を持って良いんですよね?作者さん。 一番気に入ったのは「It's only love」にあった結婚式後のあれこれの話。「アイランド」の姉と弟も良かったな。 3冊続けて読みたくなりました。
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連作短編9編。 前作を読んでないが、それぞれのストーリーが完結していて短編としても面白く、最後の表題作でかなりのところが繋がって、すっきりとした読後感。時系列をバラバラにした物語配列と名前をニックネームやあだ名等で紛らわしくさせることで、かなり混乱させられたのも確か。遅ればせながら、前作を読もうと思う。
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待ちに待った七河迦南さんの新作! 前の二作と繋がってるっていうことを知ってから読んだので、色々気付きながら読めたけど、そのせいで素直に驚けなかったのが残念。 最初は知らずに読みたかったなぁ。 『冷たいホットライン』 小説ならではの真相にビックリ。 『アイランド』 無人島の正体...
待ちに待った七河迦南さんの新作! 前の二作と繋がってるっていうことを知ってから読んだので、色々気付きながら読めたけど、そのせいで素直に驚けなかったのが残念。 最初は知らずに読みたかったなぁ。 『冷たいホットライン』 小説ならではの真相にビックリ。 『アイランド』 無人島の正体と姉の賢さが凄かった。 ただ、弟のその後が心配。 『It's only love』 “彼女”と“あたし”の正体への伏線が流石。だからピッカは“あたし”にピッカは頼んだんだ。 『悲しみの子』 光とクリスティンの正体はなんとなく検討がついたものの、更に一捻りあるのが良かった。 『さよならシンデレラ』 途中でリコが何をやってるか検討がついてしまったので、読んでて切なかった。 『桜前線』 カイエ目線の『さよなら〜』のその後。 お互いに誤解したままなのは悲しいので仲直りして欲しい。 『晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)』 日本ならではの勘違い。 推理したのは、もちろんあの人だよなぁ。 『発音されない文字』 「アルバトロス〜」のあのカフェのオーナーの正体と目的に愕然…。 あの二人の出会いが知れたのは嬉しい。 『空耳の森』 「七つの〜」とリンクしてるのは知っていたから『アイランド』の姉と『It's〜』のカナとキラの正体はわかってたけど、ピッカとトリちゃん、そしてもう一人の正体には気がつかなかったー。 最後の手旗信号の意味はわからなかったけど、期待しても良いよね!? 更なる続刊を期待してます!!
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面白かった。ただ作者の作品に傾倒していないので一編一編ごとに楽しめたかな。個人的にはアイランドが好き。
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図書館で借りた本。 前2作を先に読もうと思っていたものの、 思ったより早く本書が回ってきたので 予習不十分で読むことになってしまった。 むしろ、前作と関わりがあるということを知らないで読んだほうが純粋に楽しめたかも。 ネタの隠し方が不自然で非常に読みづらい。 しかし、こういうものかと読めばそれなりに読める。 そのあたりの線の引き方が曖昧で、 どっぷりはまるか諦めるかどちらかの選択を迫られる・・・という印象。 前作を読んだ上で、気力があったら再挑戦したい。
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ネタバレあり、読了、88点。 **山で遭難した男女がトランシーバーでのやり取りを頼りに救助を待つ「冷たいホットライン」、離婚する直前の家庭不和の中で子供の心境を巧みに描いた「悲しみの子」など収録の、七河迦南久々の連作短編集** ネタバレ全開です。というのもこの小説、作品紹介で...
ネタバレあり、読了、88点。 **山で遭難した男女がトランシーバーでのやり取りを頼りに救助を待つ「冷たいホットライン」、離婚する直前の家庭不和の中で子供の心境を巧みに描いた「悲しみの子」など収録の、七河迦南久々の連作短編集** ネタバレ全開です。というのもこの小説、作品紹介で連作短編集です、と書いてしまうだけで、何も知らずに読んだ読者が受けるサプライズを減衰してしまうんですよね。 短編のネタはどの作品も状況錯誤と簡単に片付けられるもので最初の3つ読んだあたりでミステリ的な期待はかなり薄れてしまいました。 ただしお話としては、結構アクが強いというか暗いテイストが好みで楽しめていました。 ただその段階では各短編がばらばらなのが残念と言う印象を持ってました。 それが少々探偵団の短編と次の短編で同じ登場人物出て来てもっと続き読みたいな〜、と思っていたらさらに次の短編から怒涛の展開。 相沢沙呼さん『午前零時のサンドリヨン』や 米澤穂信さん『二人の距離の概算』みたいな、各短編で話を纏めつつ小さなヒントを提示してラストで小説として一気に畳み込む形式が好きな僕としては非常に満足の行く小説でした。 またラストの落ちもお話として凄く好きなのでこの点も満足。 小説として唯一欠点があるとしたら、七河迦南さん未読の人にはお勧め出来ないことかな。 でもこれを読んで『七つの〜』『アルバトロスは〜』読み返したくなったのでそれだけ魅力のある作品だと思います
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ひとつひとつの話は、それぞれに そうくるか!といういい感じのひねりがあった。 そして全部読んだら、全体が関わりのある話だったとわかって もう一度読み返したりした。 面白かった。 これが初めての七河迦南だったので これまでの2作品も読んでおけばよかったと思ったが これだけの下地をも...
ひとつひとつの話は、それぞれに そうくるか!といういい感じのひねりがあった。 そして全部読んだら、全体が関わりのある話だったとわかって もう一度読み返したりした。 面白かった。 これが初めての七河迦南だったので これまでの2作品も読んでおけばよかったと思ったが これだけの下地をもって前作・前ゝ作を読めるのもちょっとうれしい。
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