私にふさわしいホテル の商品レビュー
+++ 「元アイドルと同時受賞」という、史上最悪のデビューを飾った新人作家・中島加代子。さらに「単行本出版を阻止される」「有名作家と大喧嘩する」「編集者に裏切られる」etc.絶体絶命のトラブルに次々と襲われる羽目に。しかし、あふれんばかりの野心と、奇想天外なアイデアで加代子は自分...
+++ 「元アイドルと同時受賞」という、史上最悪のデビューを飾った新人作家・中島加代子。さらに「単行本出版を阻止される」「有名作家と大喧嘩する」「編集者に裏切られる」etc.絶体絶命のトラブルに次々と襲われる羽目に。しかし、あふれんばかりの野心と、奇想天外なアイデアで加代子は自分の道を切り拓いていく―。何があってもあきらめない不屈の主人公・加代子。これぞ、今こそ読みたい新世代の女子下剋上物語。 +++ 表題作のほか、「私にふさわしいデビュー」 「私にふさわしいワイン」「私にふさわしい聖夜」 「私にふさわしいトロフィー」「私にふさわしいダンス」 +++ 長いスパンの物語である。小説家として成り上がろうともがく主人公・中島加代子(筆名=相田大樹、あるいは有森樹李)の浮いたり沈んだり突進したり突っかかったりの人生模様の顛末なのである。大学の先輩で担当編集者でもある遠藤や、勝手に宿敵と決めた大御所作家・東十条宗典が、反発し合い罵り合いながらも、なんだかんだでいつもそばにいて、互いにお尻を叩き、あるいはもたれ合いながらも、いつの間にか前に進んでいるのも皮肉っぽくて面白い。コミカルな中に、ほろ苦さやほのかな甘み、温か味も感じられる一冊である。
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凄い女、凄い執念。 作者はいろいろなタイプの女性を描いてきたけれど、このヒロインは、どんなタイプ…というか“系”に分類されるのだろう? 野心家と言えば野心家だし、欲しい物のためならどんなに手を汚してもいとわないし、かといって地位や名声や富を求めてやまないのかと言うと、それだけでは...
凄い女、凄い執念。 作者はいろいろなタイプの女性を描いてきたけれど、このヒロインは、どんなタイプ…というか“系”に分類されるのだろう? 野心家と言えば野心家だし、欲しい物のためならどんなに手を汚してもいとわないし、かといって地位や名声や富を求めてやまないのかと言うと、それだけではなく、実は誰よりも純粋に物を書く事を愛している…いや、取り憑かれているのかな? そう、 魔女だと思えばいい(笑) 編集者である『遠藤先輩』と、『(もうすぐ文豪)大御所の東十条宗典』との、変化していく関係も面白い。 九年かけての復讐は、やはり狂気も感じる。 そして、やり遂げた後に少しも嬉しくない…というのも、珍しい描写ではないけれど… 復讐された方は、もうその瞬間に忘れ去られるんだろうな。 「少しも心は晴れ晴れしない」と言っても、別に後悔するでも同情するでもなく、罪悪感も無く。 洟をかんだティッシュのように屑かごにポイだ。 さて、頂上に上り詰めたけれど、もう求めるものはなく、たった一人ぼっちだった…というお決まりの終わり方はしない。 これからが正念場なのだという。 くるくると激しいダンスで終わるけれど、彼女は“作家”という赤い靴を脱ぐことなく、踊り続けるんだろうなあ~
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小説家になりたい女性が成り上がっていく物語。 おとなしそうにみえて、強かな主人公に共感してしまう。 小説家の孤独と嫉妬も描かれていて面白い。作中に実在の作家が登場するのが、リアルでなお良い。
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主人公は、多分、私は苦手なタイプ。 なのに、ぐんぐん引き寄せられてしまう。 いや、引きずられてしまう。(笑) どんな困難にも、逆風にも 機転と根性と度胸で乗り切っていく。 のし上がるためには手段を選ばないのだ。 しかし、どうも主人公が嫌いになれない。 滑稽な文学界の表現にも、...
主人公は、多分、私は苦手なタイプ。 なのに、ぐんぐん引き寄せられてしまう。 いや、引きずられてしまう。(笑) どんな困難にも、逆風にも 機転と根性と度胸で乗り切っていく。 のし上がるためには手段を選ばないのだ。 しかし、どうも主人公が嫌いになれない。 滑稽な文学界の表現にも、くすっと笑ってしまう。 何しろ、実名で作家も登場している。 朝井さんなんてイメージどおりのキャラで笑ってしまった。 作家の裏側なんて、近いものがあるのかもしれませんね。 よくわからない爽快感がありました。
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主人公の性格が結構ダークでビックリ。最近読む小説の主人公はどこにでもいそうな平凡な女性パターンが多かったので。負の想いがその人を動かす原動力になる場合も世の中にはある。たまにはこういう毒のある小説を読むのも面白いなぁと思った。
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面白く読んだ だけど、共感できない 作家の葛藤とか、うまく描かれてるとは思うんだけど この作家はもういいかなぁ ≪ 最高の ホテルに似合う 私へと ≫
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主人公は小説家志望の若手作家。不遇もありなかなか芽が出ない。 30代の著者が明かす、きっとほぼ実話の作家・編集者・出版社との構図がおもしろい。 頭のキレる主人公が手に入れる成功とその先にあるものに、若手社会人はきっと勇気をもらえるはず。
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柚木麻子は気になってたのでちょっと読んでみたが… 大いなる助走という同じジャンルの傑作があることを差し引いてもちょっと他はいいかなあ…
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若い女性作家があの手この手で世に出て行く話。 奇想天外な成り行きに笑えます。 中島加代子は小説家がよく泊まるという山の上ホテルに、締め切り目前の小説家然として、今年も自腹で宿泊する。 賞はとったものの、元アイドルとの同時受賞という不運で注目されず、本が出版されないままなのだった...
若い女性作家があの手この手で世に出て行く話。 奇想天外な成り行きに笑えます。 中島加代子は小説家がよく泊まるという山の上ホテルに、締め切り目前の小説家然として、今年も自腹で宿泊する。 賞はとったものの、元アイドルとの同時受賞という不運で注目されず、本が出版されないままなのだった。 担当編集者の遠藤は、大学時代の文芸サークルの先輩でもある。 遠藤のほのめかしを受けて、文壇の大御所作家・東十条のもとに入り込み、奇策を弄して‥? 大御所で女好きというと、普通はモデルを一人しか思いつかないと思うけど、こんな無茶苦茶な役でいいんでしょうか(笑) 意外な縁が続いて、老大家がいい味出してきます。 実名で宮木あや子や朝井リョウが出てきて、いかにも内幕物風。 でも宮木あや子は何もしないし、確か後輩?の朝井リョウも他で書いてることを言ってるだけ?のような気も。 ことあるごとに、とんでもないことを思いつく加代子の才覚に大笑い。 次々に危機を乗り越えて、予想外に早く出世することとなる展開ですが、最後はそんなに幸せそうでもないという。 毒を含んだ展開。 作家の業のようなものを自覚しているからでしょうか。 柚木さん自身、最初の賞をとった後、すぐには単行本化されなかったよう。 その間に妄想が膨らんだ‥? 生意気盛りの若さを感じさせる筆運びで、面白おかしく、勢いよく書かれていて、何となく元気が出ます☆
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加代子の強さに圧倒された。執念深くて野心家で、目的達成のためには手段を問わない良くも悪くも前向きな姿勢が、やりすぎ!と思うのだけど何故だか嫌いになれない。自分の目的に邁進できるあの行動力に、真似はできないけど少し憧れているのかもしれないなぁ。 実在する作家が登場したり、アマゾ...
加代子の強さに圧倒された。執念深くて野心家で、目的達成のためには手段を問わない良くも悪くも前向きな姿勢が、やりすぎ!と思うのだけど何故だか嫌いになれない。自分の目的に邁進できるあの行動力に、真似はできないけど少し憧れているのかもしれないなぁ。 実在する作家が登場したり、アマゾンのレビューや読書メーターのことがちらりと出てくるのも面白かった。全てを読み終えた今、とても痛快な気持ちで不思議と元気が出る。
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