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わかりあえないことから の商品レビュー

4.1

319件のお客様レビュー

  1. 5つ

    93

  2. 4つ

    119

  3. 3つ

    47

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

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2017/05/27

何度も何度も首がもげるほど頷きながら、唸りながら読んだ。 私達は、人から言われた言葉だけを取りあげて、自分の解釈で受信し、苦しんだり憤慨したり悲しんだり、する。でも相手の意図がその通り自分に伝わっているとは限らないし、そこをしっかり擦り合せないで突っ走って結論を出してしまうことは...

何度も何度も首がもげるほど頷きながら、唸りながら読んだ。 私達は、人から言われた言葉だけを取りあげて、自分の解釈で受信し、苦しんだり憤慨したり悲しんだり、する。でも相手の意図がその通り自分に伝わっているとは限らないし、そこをしっかり擦り合せないで突っ走って結論を出してしまうことはよくないのかもしれない、と気づかされる。 その言葉自体だけでなく、その言葉の発せられた背景、コンテクストも慮る。 理解して欲しいという気持ちが強ければ強いほど、「わかってもらえない」ことに対する感情がたかぶり、コントロールが難しい。さらに、相手の意向やコンテクストを慮ったとして、実際にそれを擦り合せる行為はなかなか体力がいる。そこまでせずに切ってしまえばそこで関係は終わるのだが、それを続けていたら一生誰ともわかりあえないような気もする。 とても大事なことは、「わかりあえる」前提ではなく、「わかりあえない」ところから始まるのだという自覚を自分で持つこと。そうすれば、少しわかりあえた時に、すごく嬉しくなる。 何度でも立ち返って読みたい、大切な本。 ————————————————————————— 「心からわかりあえないんだよ、すぐには」 「心からわかりあえないんだよ、初めからは」 この点が、いま日本人が直面しているコミュニケーション観の大きな転換の本質だろうと私は考えている。 心からわかりあえることを前提とし、最終目標としてコミュニケーションというものを考えるのか、「いやいや人間はわかりあえない。でもわかりあえない人間同士が、どうにかして共有できる部分を見つけて、それを広げていくことならできるかもしれない」と考えるのか。

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2017/04/09
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フィンランドメソッド 214 様々な意見をうまくまとめた子が褒められる。 (いい〜意見を言った子よりも) 215 文化を越えた調整能力。 (OECD PISA調査) 異文化理解能力 global communication skill 集団における「合意形成能力」 あるいはそれ以前の 「人間関係形成能力」である。 215 「みんなちがって、たいへんだ(❌みんないい人)」 多文化共生とは。 多様性こそが最終的には力となる。 高いパフォーマンスを示す。 多様性こそが持続可能な社会を約束する。 (企業、学校、国家、自治体、どんな組織も) 216

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2017/03/26
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この本で一番印象に残ったのは、「対話」と「会話」を区別する事が大切。日本社会には「対話」という概念が希薄だという部分だ。対話とは対等な関係で話をすることである。 つまり、立場が違う相手とどれだけ「対話」する能力があるかということだ。 日本には上下関係には豊富な語彙がある。つまり、日本には上下関係を元に話が進められる。部下と上役、男と女。年齢が上か下か。少し前まで上下関係がはっきりしていた。しかし、女性が上役の場合どのように接したらいいのか男も女もとまどう。今までの社会では対等に対話する能力を獲得してこなかったからだ。だが、男女平等法などで女性の上役が増えるに従って今までの構造に変化があらわれてきたと筆者は書いている。

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2017/02/16

みんなちがって、たいへんだ! 私たちが大事にしなくてはいけないのは、たいへんだからこそ「対話」ができるようになること。

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2017/02/14

日本人のコミュニケーションというものについて演劇の観点から教育や歴史の考察をしていく内容。 自分としては第4章がとても興味深い内容だった。 日本人は村社会での生活を長い間続けてきたため、同じ価値観を共有しておりそれゆえにコミュニケーションでは察することや空気を読むことが非常に大...

日本人のコミュニケーションというものについて演劇の観点から教育や歴史の考察をしていく内容。 自分としては第4章がとても興味深い内容だった。 日本人は村社会での生活を長い間続けてきたため、同じ価値観を共有しておりそれゆえにコミュニケーションでは察することや空気を読むことが非常に大切なことだった。これは現代でも同様。 しかしグローバル化が進み今重要だと言われているコミュニケーション能力は全く違う価値観を理解しながらも自分の主張を伝え、相手との相互理解を深めることだという。 この矛盾した内容を筆者はダブルバインドと呼んでおり、このダブルバインドが今日本のコミュニケーションでは問題だと提起している。 これを克服するためには日本人は相手をわかりあえていないことが前提であり、そのために自分の考えをしっかりと説明しなければならないがそれは日本人として共有してきた当たり前のものを説明しなければならないのでとても虚しさを伴うということ。 この内容は自分自身でも最近よく感じていることでこれを説明しなきゃいけないのか、この感情をどう説明すれば良いのかなど思うことがある。 筆者はこれからのグローバルコミュニケーション能力としてはこの虚しさに耐えることが重要であり、自分の考えや主張をもっとわかりやすく伝えなければならないと結論づける。と自分としては理解した。 なるほど。これは克服しなければならない考えなのかなと自分のコミュニケーション能力の課題について改めて考えるきっかけになったと思う。

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2017/02/07

みんなちがって みんないい では なく みんなちがって たいへんだ から 始めよう という 平田オリザさんの提案 その背景には きちんとした理論があり きちんとした実践がある いつだったか 詩の朗読会があり その時に金子みすゞさんの 例の詩が立て続けに読まれて ぞっ とした覚...

みんなちがって みんないい では なく みんなちがって たいへんだ から 始めよう という 平田オリザさんの提案 その背景には きちんとした理論があり きちんとした実践がある いつだったか 詩の朗読会があり その時に金子みすゞさんの 例の詩が立て続けに読まれて ぞっ とした覚えがある ただでさえ 同調圧力の強い この日本の社会 表面的な一枚岩、容易な一致団結に 束ねられるのではなく ちがっていて たいへんだからこそ 「わかりあえないことから」 始めよう の 平田オリザさんの提案には 深くうなづいてしまいます

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2017/02/05

とっても面白かった。文化とかが違うと、同じ台詞でも違ってくる。教育に演劇を取り入れている著者の活動が広まるといいな。

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2017/02/04

平田オリザさんの本を読むのは3冊目くらいだけれど、「コミュニケーション」の問題を演劇人の立場からとても明解にスッキリと腹落ちさせてくれる。もっと早く、例えば大学生や社会人になりたてのときに平田さんの本に出会いたかったなぁ、と思うけれど、人が何かを学ぶことに遅すぎることはないと思っ...

平田オリザさんの本を読むのは3冊目くらいだけれど、「コミュニケーション」の問題を演劇人の立場からとても明解にスッキリと腹落ちさせてくれる。もっと早く、例えば大学生や社会人になりたてのときに平田さんの本に出会いたかったなぁ、と思うけれど、人が何かを学ぶことに遅すぎることはないと思って、自分の「社会性」「コミュニケーション能力」についても意識的でありたいと思う。

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2017/02/05
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 演劇的ロールプレイングで日本の弱点を克服する著者の方法論を開陳する本書。  その中で明確にされているのは、人とのコミュニケーションを読み解く方法論の指摘だ。  これには幾つかあるが、本書はコンテクストを重視する。  例えば「『今日、宿題を忘れたけど、田中先生には叱られなかった。』と言いつつ、ニコニコして帰宅。」この時、母はどうする?。という問いかけがある。  これに対しては規範的な回答や感情的な回答、その他諸々ありうるが、我が子の真意(田中先生大好き)を汲み取れるか?。これがコンテクストなのだ。  加えて、次の指摘を提示しておきたい。  インプットは多様、アウトプットには枠を嵌めるべき。これがフィンランド的な多民族共生社会の実現に繋がるものだが、日本の教育は逆という懸念だ。なるほどの感である。

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2016/12/13

演劇を通じ今日の日本型コミュニケーションについて考えたコラム集、みたいな感じ。まえがきにある通り教育・ロボット・歴史とベクトルがふらふらするし、論拠のデータを取ってるわけでもない。ただしその分ざっくばらんというか、珍しい話を聞かせてもらう感じで気軽に読めるかなぁと思った。 読ん...

演劇を通じ今日の日本型コミュニケーションについて考えたコラム集、みたいな感じ。まえがきにある通り教育・ロボット・歴史とベクトルがふらふらするし、論拠のデータを取ってるわけでもない。ただしその分ざっくばらんというか、珍しい話を聞かせてもらう感じで気軽に読めるかなぁと思った。 読んで一つ考えたのは、「コンテクストのずれ」の所。 お互い近い方が却って溝が深いというのは、同じ「読書が好き」というのでも「ラノベが好き」「翻訳物が好き」「歴史が好き」という風によく聞くと生息地が違うってのに似てるかもしれないなと思った。全部イケる口ならいいんだけど、自分の守備範囲から外れたジャンルに対して、話の糸口が見つけられないよー・・・と内心困ることが多いので、「粘り強く努力する」という正論の具体例が欲しいんだけどなーという所が残念。 そしてこっちが努力して話を振ってるつもりなのに、詰まらなそうな顔をされると溝を埋める気が消失する時はどうすればいいんだろうという気も。 「分かりあえない」現状なのは分かってる。でも「分かりあおうとする努力」って独り相撲じゃ続けられない気がするんだけど(やりすぎるとウザがられるし)。そういう意味では読みがいはあるけど即戦力にはならない本だなぁと思ってしまったごめん。

Posted byブクログ