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9条どうでしょう の商品レビュー

4.2

29件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2013/11/02

前回図書館から借りて単行本の本書(2006年刊行)を読んで、手元に置きたくなったので買ってみました。前回の時は安倍が「戦後レジュームの転換」を言って、国民投票法を通そう(実際通した)とした時だったが、今回の刊行は2012年の10月である。安倍のアベノミクスが全面に出てくる直前であ...

前回図書館から借りて単行本の本書(2006年刊行)を読んで、手元に置きたくなったので買ってみました。前回の時は安倍が「戦後レジュームの転換」を言って、国民投票法を通そう(実際通した)とした時だったが、今回の刊行は2012年の10月である。安倍のアベノミクスが全面に出てくる直前である。よって、まだ民主党政権ということもあり改憲に対する危機意識はあまり高くはない。しかし、特筆すべきは四人とも、2006年も2012年も情勢にほとんど変化はなくて、ここで行われた議論は訂正の必要がないと言っている。驚くべき自信である。よって、彼らは本文には手を加えていない。まえがきとあとがきはあるが、目新しいことはまったく述べられていない。 もちろん、一方で現実の情勢は緊迫度を増している。安倍は通常の改憲がむつかしいと見るや、96条改憲を言い出し、それも無理と見るや、集団的自衛権の解釈改憲を日程に組み込んだ。しかし、ここで展開されている、「言葉のアクロバットで護憲を言ってみる」という試み自体にに訂正がいらないのはその通りだろう。 この本の価値は「ああ言えばこうゆう」タイプのネットウヨに「ああ言えばこうゆう」ネットサヨクを対置する武器になり得る、ということだけだろう。 最初は四人の理論展開を整理しようと思っていたのだが、途中で意味のないことだと気がついた。言葉のアクロバットで攻撃してみても言葉のアクロバットが返ってくるだけと気がついたのである。 それに実は生産的な議論は、奇しくも内田樹先生推薦文付きで松竹伸幸氏が「憲法9条の軍事戦略」で始めてしまった。 ただ、ひとつだけ気がついたこと。 内田樹氏は「自衛隊は憲法制定とほぼ同時に、憲法と同じくGHQの強い指導の元に発足した。つまり、この二つの制度は本質的に双子なのである。」(33p)と言う論理で憲法と自衛隊の両立について述べているのである。これは違うと思う。 少し自衛隊の歴史をみると 1950年に「米国の軍事的利益は最大限早い時期に(米国に)提供できるよう日本の(防衛)能力を向上させること」だとし、そのためには「日本国憲法の変更は避けがたい」(米国統合参謀本部への戦略調査委員会報告)という報告を受けて、警察予備隊(1950)→安保隊(1952)→自衛隊(1954)と整備されてきたわけです。 1952年が旧安保条約の成立であり、むしろ自衛隊は本質的に安保と双子関係にあるというのが正しい見方だと思う。 「言葉のアクロバット」で憲法と自衛隊を双子関係にするのはいいけど、この文章を見る限り肝心の安保条約を頭から抜かしている。それは大変な情勢認識の誤り(敵を見誤る)なのだと私は思うのです。 2013年10月9日読了

Posted byブクログ

2013/07/20

「宙ぶらりん」の状況のまま維持することこそが、自衛隊が「必要最小限度の実力」を超えないために必要、ということでしょうか。

Posted byブクログ

2013/06/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

四氏の9条に対する所感、私見。 各氏の色が出ていてそれぞれとても面白かった。 平川克美氏の文章を一部抜粋。 『憲法が現実と乖離しているから現実に合わせて憲法を改正すべきであるという理路の根拠は何か。もし、現実の世界情勢に憲法を合わせるのなら、憲法はもはや法としての威信を失うだろう。憲法はそもそも、政治家の行動に根拠を与えるという目的で制定されているわけではない。政治家が変転する現実の中で、臆断に流されて危ない橋を渡るのを防ぐための足かせとして制定されているのである。 当の政治家が、これを現実に合わぬと言って批判するのはそもそも、盗人が刑法が自分の活動に差し障ると言うに等しい。』 当たり前と言えば当たり前だけど、議論の焦点はずらされてしまいがち。改正論議は「現代にふさわしい内容なのかどうか」を焦点にされてしまうと多くの人が誤った判断をしてしまう恐れがある。 気をつけたい。

Posted byブクログ

2013/05/16

 とっても面白かったです。  四人が書いていて、それぞれに興味深かったです。でも、筆頭の内田樹さんの文章がいちばん好きでした。それだけでも、みんなに読んでもらいたいですね。  編集者が、柔らかいタイトルをつけたくなるのも分かります。とにかく手にとって読んでくれ!という本ですね。...

 とっても面白かったです。  四人が書いていて、それぞれに興味深かったです。でも、筆頭の内田樹さんの文章がいちばん好きでした。それだけでも、みんなに読んでもらいたいですね。  編集者が、柔らかいタイトルをつけたくなるのも分かります。とにかく手にとって読んでくれ!という本ですね。  九条改変したい、日本再軍備、そうしないと日本人の精神はシャンとしない!・・・みたいな精神論に固まっている方は、何を読んでも何を聞いても、ホボ意見が変わることはないでしょうから(笑)、九条改変について、今ひとつ自分としてはかっちりした意見を持たない人に読んでもらいたいですね。ホント。何しろ、僕たちヒトリヒトリの判断が、子々孫々の歴史に良かれ悪しかれ刻まれる日が、早晩やってきちゃう可能性もありますからねえ。そうならんことを祈りますが。  九条改変を希望するヒトが国会に大勢いて、世論を煽っている、というのは何だかいやーな気がしています。  物凄く単純に言うと、「言った言わない論」に等しい、「誰が作ったか」議論とか、純粋な精神論とか、ほとんど酔っぱらい感情レベルでよく賛成する人がいるんだなあ、と思っていました。  別に九条改変に限らず、なんにつけそうですが、大義名分はどうでもよくって、「ソレをすると、誰が儲かるのか?誰が損するのか?」ということダケだと思うんです。  明らかなのは、喜ぶのはアメリカですね。  だって、アゴでこき使える子分を、戦場にも投入できるわけで。お金、浮きますからね。あとは、兵器を売る人は儲かりますね。ほかは一体、誰が儲かるんですかね?少なくとも僕は儲かりません。むしろ、コレだけ将来に向かって国民の人数自体が目減りして、保険だ年金だって、カネが不安な国が、精神論で軍備にカネ使ったり戦争したりできるわけないじゃん、と。  で、誰が変えたがってるのかっていうと、自民党政権ですよね。  自民党政権っていうのは、戦後ずーっと、アメリカの子分であることを受け入れてきたんですよね。  国粋主義的なこと、「美しい国」とか、看板として一部ヤンキー的みなさんの支持を受けてますけど、一度たりとも、 「日米安保はもうヤメだ」とか 「アジアで同盟しようぜ、アメリカは経済から締め出そう」とか 「沖縄から出て行け米軍」とか 「なんで在日米軍の家族とかの生活費まで日本国民の税金で出すんだよ。こっちも経済大変なのにふざけんな!」とか 「なんで日本に輸出するアメリカ産食品は、アメリカ国内では禁止されてる農薬、ぶっかけてんだ?」とか  って、言ったことないんですよ。  ソコんとこ巧妙に隠してますけど、要はアメリカが自分の金を浮かしたいから、九条改変を望んでいるだけなんですよね。なんでそんな簡単なコトが一般に常識になってないんだか。  と、いうようなことを思っていたわけですね。ぼんやりと。  で、この本は、単純な平和主義九条賛歌、軍隊全否定のマザー・テレサ的観念ではないんですね。もちろん、一方でマッチョ的精神論に基づく改憲論でもありません。  経済、文化、精神、国家とは?国民とは?アメリカとは?日本の未来とは?バブルとは?バブル後とか?自衛隊とは?憲法とは?と言ったような色んな見方から、九条改変問題を分析しています。そして、努めて平易に語ってくれています。チョットでも興味があればサクサク読めます。  2006年の本ですが、全く古びてませんね。むしろ今こそ、読むべき本ですね。僕はケッコウ納得したり、ふむふむと思ったりしました。ですが、それ以上に、読んでよかったなーと思ったのは、いくつもの「へ~」があったことですね。モノの見方というより、その前提になる事実や事象。ちゃんと色んな本を読んで知識を積み上げた上で、それをどうつなぎ合わせて解釈するか、については独自の意見がある。そーゆーヒトの書いたものを読めるっていうのは、幸せですね。  トップバッターの内田樹さんの文が僕はいちばん好きでしたけど、実は2番手以降の方がより平易な語り口だったりします。手にとってもし内田さんパートがとっつきにくくても、諦めずに二人目以降だけでも読んでくださいませ。

Posted byブクログ

2013/05/13

正直に告白します。私はかつて、かなり急進的な改憲派でした。しかも、憲法なんて、ほとんど読んだことがないにも関わらず、です。笑止千万で、今、考えても汗顔の至りです。 10年近く前ですが、以前勤めていた会社で何度か同僚と憲法について議論したことがあります。メンバーは4人。私以外は、温...

正直に告白します。私はかつて、かなり急進的な改憲派でした。しかも、憲法なんて、ほとんど読んだことがないにも関わらず、です。笑止千万で、今、考えても汗顔の至りです。 10年近く前ですが、以前勤めていた会社で何度か同僚と憲法について議論したことがあります。メンバーは4人。私以外は、温度差はあれど、みんな、いわゆるところの護憲派でした。私は旗色が悪くなると、色をなして反論したのを覚えています。 時代は変わりました。世論調査では、国民の過半数が「改憲は必要」と考えているのだそうです。かつての私よりも過激に「改憲」を訴える方も、体感に過ぎませんが明らかに増えました。私は徐々に冷め、今は憲法について考えることは年に15分ほどしかありません。 ちなみに本書で平川克美さんは「憲法なんて意識しなくても、国を愛し、同胞を助け、隣人を敬って生きてゆけるのがまっとうな社会である」と述べています。同感。 かつての私を含め、改憲論者が「改憲すべし」とする、その根拠は何か。恐らく、本書で町山智浩さんが列挙する以下の諸点に絞られると思います。 ①有事の際に迅速に有効に対処するため。 ②海外に出兵できるようにするため。 ③現実に対応するため。憲法は時代に合わせて書き換えられていくべきである。 ④自衛隊は「戦力」であり、憲法九条と矛盾しているので、「ねじれ」が生じている。その「ねじれ」を正すため。 ⑤「普通の国」になるため。「普通の国」には自国を守る権利があり、軍隊を持っている。 ⑥アメリカから押し付けられた憲法なので、日本人の意志で書き換えるため。 ⑦日本人の誇りを取り戻すため。 本書の著者たちは、これら全てに対して、「情理を尽くして」反論し、完全に論破しているように見受けられます。 全てについて書くのは紙幅が限られて…というのは言い訳で、私も多忙な身なので詳しくは書きませんが、最も根本的なことと思われる問題として、憲法9条と自衛隊は果たして「矛盾」しているのかについて、内田樹さんは興味深い考察をしています。 「憲法九条と自衛隊が矛盾した存在であるのは、『矛盾していること』こそがそもそものはじめから両者に託された政治的機能だからである。憲法九条と自衛隊は相互に排除し合っているのではなく、相補的に支え合っているのである」 含意は深いものがあります。理路はかなり入り組んでいますし、かなり長くなるので、引き写すのは控えます。仕方ありません。「現実が入り組んでいる以上、それを記述する言葉がそれに準じて入り組むことは避けがたい」(内田氏)のですから。 憲法について関心のある方はどうぞ。中途半端ですみません。

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2013/05/04

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 ...

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 『9条どうでしょう』を読んで 「第九条」が大変美しい響きをもったすばらしい文句に見えてきた。 今まで憲法に対して特別な思いをもったことがなかったけれど本書ではいかにして9条ができていったか、そしてどうして大切にした方がいい(意見を押し付けてはいない)のかをいろんな方向から述べている。 改憲、護憲にとらわれずとりあえず読んだ方がいい本。 この本の内容を知っているのと知らないのとでは雲泥の差で 読んだ後に自分の意見を持つのもいいと思う。 とても印象深かった陛下のお言葉のエピソードの引用。 東京都教育委員の米長さんが陛下に「日本中の学校で国旗を掲げ、国家を斉唱させることが仕事です」と話し、陛下が「やはり、強制でないことが望ましいですね」と応じられる場面もあった。(「読売新聞」2004年10月29日朝刊) ・・・つまり、この国の右傾化に歯止めをかけているのは、いまや天皇家の人々であるということだ。 短い言葉だけれど、陛下の受け答えに大きな意味を感じられて感動した。

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2013/03/10

感動して、泣けてくる。4人の言葉から、憲法、取り分け9条の崇高な理想が再認識された。彼らの思う通りに改憲させてはならないと思う。戦争のできる国にしてはならないと思う。私を含め普通の人たちに是非読んでほしい。

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2013/01/29

文庫化されていたので手に取ってみた。 2006年から6年を経て文庫化されたにも関わらず、 題材の温度は変わっていない。 具沢山の味噌汁、昨日は冷めていたのに 今日は湯気が立つほどだ。 温めたのは誰?

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2013/01/16

四人の視点。 憲法9条について。 全員改正には反対している。 まあ、そんなこと言われると、確かになんで改正なんてしなきゃいけないのかね?と思った。

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2013/01/05

近代憲法のあり方から考えさせられます。 近代って個人も国家もガラリとかわっているところなんですね。はっきりいってそうでない時代の思考法をうまく想像できない。今をそのまま当てはまることができるのか、どうなんでしょう。橋本治ならストンと考えちゃうんでしょうけど。 明日はレ・ミゼラブル...

近代憲法のあり方から考えさせられます。 近代って個人も国家もガラリとかわっているところなんですね。はっきりいってそうでない時代の思考法をうまく想像できない。今をそのまま当てはまることができるのか、どうなんでしょう。橋本治ならストンと考えちゃうんでしょうけど。 明日はレ・ミゼラブル見てこよっと。

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