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9条どうでしょう の商品レビュー

4.2

29件のお客様レビュー

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2024/02/05

護憲の立場を明瞭に掲げる4人の論者が、従来とはちがった切り口から憲法九条の改正を求める声に対する反論を提示している本です。 著者の一人である内田樹は、「まえがきにかえて」のなかで、「どこかで聞いたような話」になってはあらたに本を刊行する意味がないといい、「これまでの論者たちとは...

護憲の立場を明瞭に掲げる4人の論者が、従来とはちがった切り口から憲法九条の改正を求める声に対する反論を提示している本です。 著者の一人である内田樹は、「まえがきにかえて」のなかで、「どこかで聞いたような話」になってはあらたに本を刊行する意味がないといい、「これまでの論者たちとは違う視座からの論考」となることをめざすことを述べています。こうした意図は、かなりの程度果たされているといってよいと感じました。4人の論者のいずれも、改憲派も護憲派ともにおなじことをくり返すばかりで、スタック状態に陥っているかに見える憲法九条をめぐる議論状況に新鮮な空気がもたらされるのであれば、こうした著者たちの試みは歓迎するべきなのかもしれませんが、正直なところでは文体も含めて奇をてらっているかのように見えてしまう点もありました。 わたくし自身は、内田の議論を読むことが本書を購入した目的だったので、その点にかぎって気がついたことを記します。内田の論考は、心理学者の岸田秀の考察を受け継いで展開されています。岸田は、ペリーの来航以来の日本人の集団心理を、「内的自己」と「外的自己」が分裂してしまったと考えます。この議論は、加藤典洋の『敗戦後論』に受け継がれ、それに対して高橋哲哉が批判をおこなったこともよく知られていますが、内田はそこには立ち入らず、岸田の議論にまで引き返して、精神分析的な方法にもとづいて考察を展開しています。そのうえで、集団心理における解離症状から疾病利得を獲得し、戦後の平和と繁栄をきずいた日本人の賢明さを、むしろ肯定的に受け入れようとしています。 内田自身は護憲の立場を鮮明に打ち出していますが、憲法をめぐる議論がスタックしている現状そのものについての、いわばメタ的な観点からの解釈として理解することもできるのではないかと考えます。

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2021/10/27

むずかしいことをやさしく、 やさしいことをふかく、 ふかいことをおもしろく、 おもしろいことをまじめに、 まじめなことをゆかいに、 そしてゆかいなことはあくまでゆかいに ご存知、井上ひさしさんの「名言」です さて 「九条のお話し」 まさに  「九条をどうすべきか」 「九条を考...

むずかしいことをやさしく、 やさしいことをふかく、 ふかいことをおもしろく、 おもしろいことをまじめに、 まじめなことをゆかいに、 そしてゆかいなことはあくまでゆかいに ご存知、井上ひさしさんの「名言」です さて 「九条のお話し」 まさに  「九条をどうすべきか」 「九条を考える」 「九条を堅持する」 「九条を打破する」 などではなく ー九条どうでしょう というタイトルそのものに 井上ひさしさんの提言が そのまま 日常の言葉で 日常の文脈で こういうことは考えていきたい ものです

Posted byブクログ

2020/09/12

内田樹の本かつ憲法関係ということでよんでみた。 そもそも憲法って何のためにどのように決められているのか、という予備知識が自分にあった方がよかったので、今後別の機会に勉強しておきたいと思った。 だいぶ前に読んだので、微妙な要約だけど 内田樹:憲法9条と自衛隊の矛盾を正す必要はないし...

内田樹の本かつ憲法関係ということでよんでみた。 そもそも憲法って何のためにどのように決められているのか、という予備知識が自分にあった方がよかったので、今後別の機会に勉強しておきたいと思った。 だいぶ前に読んだので、微妙な要約だけど 内田樹:憲法9条と自衛隊の矛盾を正す必要はないし、そもそも実態と法律が矛盾している憲法なんていくらでもあるし、矛盾を内在しながらも維持していくことが大切 町山智浩:おもしろかった いろんなトピックを述べていてまとめるのは難しいけど改憲するなら皆徴兵されるべきという意見でそれはごもっともと思った 憲法改正して軍隊は持つけど自分は戦争にいきたくないなんて示しがつかない 日本人の母親から日本で産まれただけで日本国民といえるなら全然立派なものじゃないね  小田嶋隆:現実の社会を動かしているのは、多数派に属する人々 すなわち、無知で短絡的で時に感情的な市井のテレビ視聴者たちなのだ。というところがそうなんだよなーという感じ。自分を含め 日本対中国のサッカーの試合から考察 平川克美:なんやったっけ

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2019/08/12

基本的に9条を肯定、又は少なくとも現在の段階では肯定する人たちの意見でまとめている。読むとそれなりに説得力はあり、変える必要はないのでは、と考えさせられる。

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2016/02/29

「改憲論議」の閉塞状態を打ち破るには、「虎の尾を踏むのを恐れない」言葉の力が必要である。四人の書き手によるユニークな洞察が満載の憲法論! (アマゾンより) 憲法がこのままで何か問題でも?(内田樹) 改憲したら僕と一緒に兵隊になろう(町山智浩) 三十六計、九条に届かず(小田嶋隆)...

「改憲論議」の閉塞状態を打ち破るには、「虎の尾を踏むのを恐れない」言葉の力が必要である。四人の書き手によるユニークな洞察が満載の憲法論! (アマゾンより) 憲法がこのままで何か問題でも?(内田樹) 改憲したら僕と一緒に兵隊になろう(町山智浩) 三十六計、九条に届かず(小田嶋隆) 普通の国の寂しい夢(平川克美) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 私は大学の一般教養で憲法を学習して以来、御無沙汰だった人間なんで・・・たくさんある憲法・9条本から何を読もうか、アマゾンのレビューを参考に選んでいるんですが、この本は賛否両論でそれほど期待してませんでした。 読み終わって。 良かったです。 9条について初心者だから良かったのかもしれません。「どこかで聞いたことがあることばかり書いてある」と酷評している方がいましたが、私はどれも初めて聴くようなことばかりだったので(苦笑。 (介護にあけくれている間、いろんなことがあったんだなあ・・・としみじみします。) 4人のどの方の憲法論も勉強になりました。特に私は内田氏と町山氏が好きです。語り口がやさしくておバカなワタシの脳ミソにもスンナリ入ってきます。 ブクログの引用で書ききれない部分は、いつものようにノートに書き写しorコピーして貼りました。 いつか、私の脳ミソにしっかり理解できるようになるまで(オバサンは年とるとスグ忘れちゃうのよ)ときどき読みたいな、と。 オススメです。 (憲法や9条の本で他にオススメがあったら、是非教えてください。)

Posted byブクログ

2015/10/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今の私はTVに映る自信に満ち溢れた〇〇の顔を見るのも嫌で、反吐が出そうです。こういう態度は反知性主義の最たるものでしょうが、この激情は自分自身ではとても抑えがたいものです。ですから、内田樹氏や鶴見俊輔氏の仰ることを鈍い頭でなんとか理解し、気持ちを鎮めておとなの振る舞いをしようと努力しています。でも、政府のあまりの蛮行に地団太を踏み続けすぎて、とうとう椎間板ヘルニアを発症し、手術することになりました。今の政府は私にとって毒以外の何物でもありません。

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2014/11/24

これ!絶対みんな読んだ方がイイ!! 全文引用して書き留めておきたい内容。 憲法なんて、現実と乖離してていいんだって! そこ、共通の認識にしようよ。

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2014/09/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

■内田樹 ・そもそも法律は「よいことをさせる」ためではなく、「悪いことをさせない」ためにある。「人間は放っておけば必ず戦争をする。」これを前提に、「どうしたら人間に戦争をさせないようにできるか」を考えなくてはいけない。 ・9条二項を改訂して「(条件付きで)武力を行使できる。」とすることは、どう考えても「戦争ができるようになりたい」ということ。 ・改憲派も護憲派も、武力を持たないことと自衛隊の正当性の矛盾の解消を求めているが、9条こそが自衛隊の正当性の根拠になっている。 ・自衛隊は、憲法制定とほぼ同時にGHQの指導のもとに発足した。つまりこの二つの制度は本質的に「双子」であり、両者が矛盾した存在であるのは、「矛盾していること」こそが、そもそもはじめから両者に託された政治的機能だったことを意味している。 ・憲法9条と自衛隊はアメリカが日本を「従属国化」するために採択した政略であり、「奴僕」の立場に甘んじる限り、この二つの間に何の矛盾もない。敗戦国である日本人は、奴僕国家として「正気」であることよりも、「人格分裂国家」となる道を選択したことによって、独立国として生き延びることができた。 ・この病気を直すことよりも、この病気に向き合い、病とともに生きるというあり方が日本人が選びうる最適なソリューションではないか。 ・9条を改正しても、アメリカとの従属関係が改善されることはない。むしろ、アメリカは9条廃止を黙認し、増加した国防予算で米製兵器の大量定期購入を要求してくるはずだ。 ・改憲しても、改憲派が求める「普通の国」には慣れない以上、確信犯的にあえて病み続けるべき。 ■町山智浩 改憲派の掲げる改憲目的 1有事の際に迅速に有効に対処するため 2海外に出兵できるようにするため。集団的防衛、国際貢献に必要。 3憲法は時代にあわせて書き換えられるべき。 4自衛隊は「戦力」。9条との矛盾を解消する必要あり 5自国を守る権利を持つ「普通の国」になるため。 6アメリカから押し付けられた憲法なので、日本人の意志で書き換えるため。 7日本人の誇りを取り戻すため。 ・1、2は口実でしかなく、改憲派の本音は6、7。 ・「平和憲法があるのは世界中で日本だけ」は間違い。「平和」や「不戦」を謳う憲法は120カ国以上ある。ただし「すべての戦力の保有を否定」は日本だけ。 ・「60年も改正されていないのはおかしい」というのも嘘。ドイツは、憲法5条「表現の自由」で、憲法批判さえ認めていないし、アメリカの独立宣言、フランスの人権宣言にあたる憲法の基本理念部分は、未来永劫書き換えることなどできない。 ・軍隊には実は戦争よりももっと重要な役割がある。国民を作ることである。本来「国民」は「民族」ではないが、日本ではその認識が明確になっておらず、偏狭なナショナリズムが台頭する恐れがある。国民というアイデンティティが民族というアイデンティティを押しつぶさないよう、両者を分離して考える必要がある。 ・改憲したとして、徴兵制のない、65歳以上が人口の4割を超える老人国で、だれが兵隊になるのか? ・欧米では徴兵制度の廃止に反対しているのは、日本とは逆に、リベラル派である。それは、職業軍人だけに軍隊を独占されるのは危険だから。国家権力の横暴を防ぐためのものでもある。 ・「そんなに軍隊を持ちたいなら持てばいいが、その場合は自分もちゃんと兵隊やれ」それができないのであれば、別の方法で極東での地位を確立した方がいいのではないか。

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2014/08/18

憲法9条について、4人の論客がその見解を展開している。 私の中で、憲法9条の重要性は考えるまでもない。 それは、平和を願ってのことである。 はっきり言って、押しつけの憲法や丸腰外交に屈辱感を持つ意味も理解できない。 けれども、それは性善説をもとに理想論の上に成り立っている考えなの...

憲法9条について、4人の論客がその見解を展開している。 私の中で、憲法9条の重要性は考えるまでもない。 それは、平和を願ってのことである。 はっきり言って、押しつけの憲法や丸腰外交に屈辱感を持つ意味も理解できない。 けれども、それは性善説をもとに理想論の上に成り立っている考えなのかもしれない。 というわけで、憲法改正論争のなんたるかを理解したいという思いと、論客4人のメンバーに惹かれ本書を読んでみた。 4人のそれぞれの見解に納得し、私の浅い知識がいくらか深まった。 結論を述べていない人もいたが、熟考すればするほど結論を出せない問題なのかもしれないと思う。 しかし、私自身の結論は変わらなかった。 「憲法は現実を追認するものではなく、目指すべき目標」であるということを忘れてはいけないと思う。

Posted byブクログ

2014/05/17

内田樹、平川克美の文章が出色。 「彼らに共通しているのは現実というものは、自分たちが作り出すものに他ならないという認識の欠如である。現実に責任を取るということは、現実に忠実であることではなく、現実を書き換えるために何をすべきであるのかと考え続けることである」

Posted byブクログ