満月ケチャップライス の商品レビュー
主人公の少年に、その周りを取り巻く暖かな人たちに、幸せになってほしい幸せになってほしい、と願いながら読み進めた。 「人生は予想できないことの連続だ。」 すらすらと読める割に、後に残ったのはじんわりと胸が痛むような哀しさ。
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ある朝、進也は、妹に起こされた。台所を見に行くと、知らない男の人が体育坐りで眠っている。夜の仕事をしている母が連れて帰ってきた人らしいが…。3人家族と謎の男チキさんの物語。 朱川湊人らしく登場人物たちのキャラが立ち、温かな雰囲気を醸し出す優しい文体も健在。家族のきずなを描く物語...
ある朝、進也は、妹に起こされた。台所を見に行くと、知らない男の人が体育坐りで眠っている。夜の仕事をしている母が連れて帰ってきた人らしいが…。3人家族と謎の男チキさんの物語。 朱川湊人らしく登場人物たちのキャラが立ち、温かな雰囲気を醸し出す優しい文体も健在。家族のきずなを描く物語の展開もいい。それなのにイマイチと感じたのは、私が朱川作品に勝手に期待しているホラー色の無さのせいか。 (C)
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血のつながりがなくても相手を家族のように大切にできるようになるものなのかもしれない。 そんな関係が築けるなんて素敵。
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うーん・・・? いつからかちょっと作風が変わった気がするんですが。 昭和っぽい懐かしい感じとか雰囲気とかは残ってはいるんですが、 ワタシが好きだった朱川湊人氏の作風ではない・・・。 もし次作を読んでみて、それもこんな感じの作風なんだったら、もう朱川湊人氏の作品は読まない。かな。
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チキさんのお人柄にマイッタ・・・? チキさんの力が回って回ってあの事件へと・・・・ ほっといていいと思うんだけどね。 3階からのダイブは不思議! そんな力もあったのね。 ケチャップライス作ってみようかな~
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ケチャップライスのようにごちゃまぜな感じもするが・・・ 作者の人生観?的な描写はいつも大好きです。 生き様は・・・と思うが咲江さんのようにいつでも腹の据わったお母さんでいたい
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「小説現代」に連載された8話(と言っても連続している)の単行本化。 中学生の進也は、妹が5歳の時に公園の遊具で怪我をして足が不自由になり、それが原因で父親が出ていったことに責任を感じ続けている。 母は、水商売をしている店の客を時々家に連れて来て泊めるが、ある日台所で寝ていたの...
「小説現代」に連載された8話(と言っても連続している)の単行本化。 中学生の進也は、妹が5歳の時に公園の遊具で怪我をして足が不自由になり、それが原因で父親が出ていったことに責任を感じ続けている。 母は、水商売をしている店の客を時々家に連れて来て泊めるが、ある日台所で寝ていたのはモヒカンの男で、謎の組織に追われているというが、外見に反して優しく、料理もうまいので、兄妹は「チキさん」(モヒカン=鶏頭からのあだ名)と呼んですっかり懐いてしまう。 彼には金属を曲げられる超能力と、それを人に分けてあげられる能力があり(朱川ワールド!)、兄妹にも分けてくれるのだが、彼は子供の頃スプーン曲げの超能力で有名になり、そのために家族が崩壊し、ドラッグに手を出して刑務所に入ったことがあり、彼がドラッグを買うところを目撃した進也は、家から追い出すのだが、「家族を失った」喪失感を兄妹は味わう。 超能力を身につけた妹は、オウム真理教の信徒から教団に引き込まれそうになる。近づいてきたオウム真理教が探し、狙っていたはチキさんの超能力だった。荷物を取りに来たチキさんと進也は、妹を救出すべくオウムの集会所に乗り込む。 ハッピーエンドではないが、幸せでないと超能力が弱くなったり、オウム事件と絡めたり、妙な現実感があったりするのが朱川ワールド。 楽しめた1冊。
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中学生の進也は母と妹の亜由美と三人暮らし。ある朝目覚めると、チキさんと言うちょっととぼけた男を母が拾ってきていた。今までの男とは少し違うチキさんに、進也も亜由美も徐々に心をひらいていく。 と、これだけ書くと非常にハートウォーミングな物語のようですが、亜由美は足が少し不自由だったり、亜由美の事故の原因は自分にあると進也は思い続けていたりと、少し悲しい部分も。 だからこそ、他人であるチキさんのあたたかさが救いだったりするのですが、それもこれだけでは終わらない。チキさんは超能力者でした。 はっきりではなくてもそうと分かる大事件のことが書かれていたので、その辺はちょっと余計だったかなあなんて思いました。
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超能力のある男性と同居した事により、新興宗教と関わる事になった兄弟。 お兄ちゃんの語り口調が哀しい結末をほのめかしていて、途中で挫折しそうだった。
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朱川さんお得意の ちょっと前の日本&不思議な事象に、優しくて哀しいスパイスをふりかけた物語。 少々盛り込み過ぎかな、というお話で、つっこみどころはありましたけど、楽しく読ませてもらえたと思います。 ある日、目が覚めたらシングルマザーと幼い兄妹で暮らす家庭にモヒカン頭のチキさんが。あぁ、また母親が連れてきたんだ・・と、あきれつつも慣れっこになってしまっている兄の気持ちがよくわかる。子どもって、自分の力では世界が動いていかないことを知っているから、なんでも周りのことは受け入れることができちゃうんだよね。 で、そんなチキさんはとっても胡散臭かったのだけど(それは当然だよね。見かけも、そもそも一般家庭に突然転がり込む、ということからも)意外としっかりした家庭人で、兄妹に温かい家庭料理を作ってくれる。しかも、ちゃんと幼い二人に役割も与えてくれて、うん、この人いいんじゃないの、と読者に安心感をもたらすところが嬉しかった。 でも、チキさんはもちろんワケありの男性で、そのまま幸せに暮らしましたとさ、とはいかない。 軽くネタバレ入ります。 なんと、彼は私たち世代にはまだ記憶に新しいスプーン曲げ少年(関口くんって言わなかったっけ?)の成人した姿だったという…。あの当時、似たような能力を持つ少年は何人かいたと思うけど、説明される状況がほぼ一人を特定させるもので、途中から、いいの??彼に失礼じゃないの?と思いながら読んでました。 もっとネタばれ入ります。 だって、チキさんはなんと、オウム真理教の人たちから追われる身、だったんだもの。 なんかちょっとやりすぎじゃないの?と思いつつ、でも、面白かったのは、兄妹との温かいやり取りや、(彼らのお母さんは悪い人じゃないんだけど、幼い子どもを育てている自覚があまりないみたい。独立心を養う、という考え方とも言えるし、そもそも、女一人で子どもを育てているんだから、オールマイティとはいかないよ、というところはわかるんだけど)、二人にチキさんの超能力を分けてあげられるという発想、また、そのオウム信者たちの善良さと愚かさがストンと納得いくものだったということ。 信者たちは、自分に誇れるものがなくて、強い自分になりたい、人に自慢できるものがほしい、というある意味、向上心を持って日々修行に励んでいたんだね。 その真面目さが大きな流れに飲み込まれて、また自分たちの想像力のなさから、あのとんでもない犯罪に結びつくわけだけど。 チキさんと連れてきたのもお母さんなら、別れを告げさせたのもお母さん。 あまりに兄妹にとっては迷惑な話んじゃないかと思うのだけど、それも、なくはない話だろうなぁ、と。 オウムの話はもちろんだけど、スプーン曲げの話も、森達也さんの著書が背景としてある気がする。だってとても見つめ方が似てるんだもの。朱川さんは森達也ファンなのかな、と、これはちょっと嬉しかったりするのだけど。
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