オリーヴ・キタリッジの生活 の商品レビュー
人生ってきっとこんなふう。 いくつもの短篇が寄り集まって分厚い長編になるのだ。 人は必要とされる事で生きていられる生き物だと思った。
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アメリカ メイン州の架空の港町クロズビーで暮らす人々が、平凡な日常の中、どうしようもない衝動から起こす小さな事件。 この本のタイトルであるオリーブ・キタリッジは、それぞれの短編では主役であったり、ほんの少しでてくるだけであったりするが、全体を通すと、オリーブ・キタリッジの衝動...
アメリカ メイン州の架空の港町クロズビーで暮らす人々が、平凡な日常の中、どうしようもない衝動から起こす小さな事件。 この本のタイトルであるオリーブ・キタリッジは、それぞれの短編では主役であったり、ほんの少しでてくるだけであったりするが、全体を通すと、オリーブ・キタリッジの衝動にまかせた行動に裏にある、胸の内が徐々に明らかになる。 彼女が高齢になるにつれ、孤独が深まる中、かすかに明かりを見つけるところで終わる。 静かで落ち着いた雰囲気の町の人々のなかに、突然沸き上がる衝動のせつなさ。余韻の残る本でした。
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「停電の夜」で好印象だった小川高義さんの訳だし、表紙に一目ぼれして購入。 最後の『川』は、70を過ぎてなお新たな自分を発見するオリーヴに、なんとなく好感がもてた。ヘンリーは気の毒だけど、それが余計にオリーヴの孤独を際立たせる。人間は所詮一人で生まれ、一人で死ぬ。そんな現実を見せつ...
「停電の夜」で好印象だった小川高義さんの訳だし、表紙に一目ぼれして購入。 最後の『川』は、70を過ぎてなお新たな自分を発見するオリーヴに、なんとなく好感がもてた。ヘンリーは気の毒だけど、それが余計にオリーヴの孤独を際立たせる。人間は所詮一人で生まれ、一人で死ぬ。そんな現実を見せつけられた気がしてつらかった。
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なんだかしみじみとすごくよかった。 最初、ふんふん、小さな町の普通の人々の暮らしを描いた静かで淡々としたお話なんだ、海外小説の短編によくある感じだな、描写が淡々としていてすてき、いいね、という感じで読んでいたらば、真ん中あたりでいきなり大きな事件が起きて、そこからはもう、わーっと...
なんだかしみじみとすごくよかった。 最初、ふんふん、小さな町の普通の人々の暮らしを描いた静かで淡々としたお話なんだ、海外小説の短編によくある感じだな、描写が淡々としていてすてき、いいね、という感じで読んでいたらば、真ん中あたりでいきなり大きな事件が起きて、そこからはもう、わーっと一気に加速して夢中で読んだ感じ。 どの話もせつなさにあふれていて、せつないばっかりかもっていうくらいでかなり身につまされて、途中すごく暗い気分にもなって、しかも主人公のオリーブはかなり変な中年(最後は老年)女性で、こんなふうになったら嫌かも、とか思っていたのに、読み終わったらば、オリーブのたくましさを尊敬するような気持ちになっていて、この小説大好きだ!と思っていて、なんだか、小説の魔法、とでもいうものににかけられたような、不思議とさえ思えるような気分になった。 解説で井上荒野さんが「おためごかしがない」と書いているけれども、そのとおり。いかにも小説らしい?奇跡とかハッピーなこととかは起きなくて、だれもかれもにせつないことばかりあって、だれもかれもものすごく孤独。時間はどこにいったのかっていうくらい速くすぎさって。希望があるんだかないんだかって感じで。 でも、人生ってそういうものだとかしみじみ思ったり。これも井上さんの言葉を借りれば、人生にはそういうことがただ「起きる」ものだから。
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アメリカのクロスビーという小さな町で暮らしている人々の様子が連作式短編になっている作品。 主役であったり脇役であったりするのだが、前作品にオリーヴ・キタリッジが登場する。オリーヴが中年から高齢になる様子が作品を読むにつれてよくわかるようになっている。 オリーヴのくせのある人柄や、...
アメリカのクロスビーという小さな町で暮らしている人々の様子が連作式短編になっている作品。 主役であったり脇役であったりするのだが、前作品にオリーヴ・キタリッジが登場する。オリーヴが中年から高齢になる様子が作品を読むにつれてよくわかるようになっている。 オリーヴのくせのある人柄や、いろんなタイプの町の人々や、子供たちの成長していく様子などが穏やかに書かれていて、たいした盛り上がりも意外な展開もないのだが、読んで良かったなぁと思える作品である。
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