生きるぼくら の商品レビュー
引きこもりから米作り。それまで色々な事があり人生、山あり谷あり。みんな生きている!を感じさせる本でした。
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認知症のばあちゃん、引きこもりだった24歳の孫人生、対人恐怖症のもうひとりの孫つほみ。 田舎でばあちゃんと暮らすうちに、人生とつぼみは成長し、無くした何かを取り戻していく。 素直に読めて、すーっと自分の中に入ってきて、感動できる素晴らしい作品。
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ひきこもり生活から母の家出によって突然外の世界に放り出された人生。 年賀状を頼りに、かつて通った大好きなおばあちゃんに会いに行く。 会いに行ったおばあちゃんは認知症を患い人生が分からなくなっていた。 認知症のおばあちゃんと同じ境遇のつぼみとともに周囲の温かい応援に支えられながら...
ひきこもり生活から母の家出によって突然外の世界に放り出された人生。 年賀状を頼りに、かつて通った大好きなおばあちゃんに会いに行く。 会いに行ったおばあちゃんは認知症を患い人生が分からなくなっていた。 認知症のおばあちゃんと同じ境遇のつぼみとともに周囲の温かい応援に支えられながらも、おばあちゃんの愛した「自然な田んぼ」での米作りに没頭する。 引きこもっていた理由は辛い。人生はとても優しく、限界まで頑張っていたから。彼は一度たりとも貧乏であることで母や父を詰らなかった。 そんな優しい人生が米作りを通し、米の生きる力を目の当たりにして、自分自身の「生きる力」を取り戻していく姿が嬉しく清々しい。 その力を取り戻す事で、周りには支えてくれる友人・同僚・近所衆がいることに気がつける。自分は決して一人ではないし、相手も一人では無いということ。 また、おばあちゃんの柔らかくも人間として一本筋の通った教えが、更に彼らを強くしてくれる。 だからこそ認知症の祖母を抱えても、慣れない仕事と米作りに対し手を抜かない人生は、きっとこれからもみんなに頼りにされ力強く生きていけると思う。
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引きこもりだった主人公の人生(じんせい)24歳、対人恐怖症のつぼみ21歳、就職活動がうまくいかない大学生の純平、若い三人が米作りを通して成長してゆく。 人生のおばあちゃんのこだわる、「常識的ではない米作り」。機械も農薬も使わず、肥料さえも施さない。さらには田んぼを耕すことさえし...
引きこもりだった主人公の人生(じんせい)24歳、対人恐怖症のつぼみ21歳、就職活動がうまくいかない大学生の純平、若い三人が米作りを通して成長してゆく。 人生のおばあちゃんのこだわる、「常識的ではない米作り」。機械も農薬も使わず、肥料さえも施さない。さらには田んぼを耕すことさえしない。何もしなくても自然にふかふかの土になる。 「冬のあいだも生き物たち、がんばってくれてたんだ」「がんばってないよ。自然のまんま、そのまんまなだけ。がんばらなくても、みんな一緒に生きてるのよ。私たち、繋がり合って生きているのよ」 米の一生は人間の一生に似ている、と話すおばあちゃん。お米が、悩みを抱えた三人の若者たちの姿とも重なって、立派に実りますように‥‥と祈らずにはいられませんでした。 おばあちゃんのこと、そして三人の若者たちのことを見守る近所の大人たちがみんなあったかい人たちばかりで本当に良いお話でした。
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私にも田舎があります。 年老いたおばあちゃんがいて、稲作をしています。 幼い頃には泥まみれになりながら田植えをして、畦道を探検し、キンと冷えた小川で水遊びをしました。おばあちゃんのご飯はやっぱり美味しかった。 次第にそんな田舎での生活から自然と離れてしまった。高校では部活漬けの...
私にも田舎があります。 年老いたおばあちゃんがいて、稲作をしています。 幼い頃には泥まみれになりながら田植えをして、畦道を探検し、キンと冷えた小川で水遊びをしました。おばあちゃんのご飯はやっぱり美味しかった。 次第にそんな田舎での生活から自然と離れてしまった。高校では部活漬けの生活になり、県外の大学に進学して家を出た。都会に就職してどこにでもいるOLになった。結婚もして子供も授かった。 気が付けば田舎のおばあちゃんは痩せ細り、背中を丸めて、こたつに1日中座っている。会えば微笑んでくれるが、私が誰だかわかっていないようだ。 変わらないと思っていた私の田舎。 眩しい思い出にいつでも戻ってこれると思っていた。 田舎へ帰ろう。 お米をしっかり味わおう。 娘にも自慢のおばあちゃんの話をしよう。 そうなことを考えさせてくれる作品でした。
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書店の夏の文庫コーナーでみつけました。原田マハといえば美術という うす~い知識しかなかった自分がタイトルにひかれて一気に読んだ一冊。 両親の離婚、母子家庭、いじめ、高校中退、ひきこもり。 そして母の蒸発から人生激変。生きているぼくではなくて「生きるぼくら」というタイトルの意味をか...
書店の夏の文庫コーナーでみつけました。原田マハといえば美術という うす~い知識しかなかった自分がタイトルにひかれて一気に読んだ一冊。 両親の離婚、母子家庭、いじめ、高校中退、ひきこもり。 そして母の蒸発から人生激変。生きているぼくではなくて「生きるぼくら」というタイトルの意味をかみしめて励まされ、涙ぐみ、誰かに読んでもらいたいと思っているのです。
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本当に素敵なお話。 最初の人生と、最後の人生では、驚くほど別人で、その成長がすごく嬉しかった。また、おばあちゃんを見捨てずにずっと信じ続ける2人がいいなあと思った。 人生のような人生もあるのかと思ったと同時に、こんな人生を送りたいとも思った。 ずっと自分に重ねて読んでいた気がする...
本当に素敵なお話。 最初の人生と、最後の人生では、驚くほど別人で、その成長がすごく嬉しかった。また、おばあちゃんを見捨てずにずっと信じ続ける2人がいいなあと思った。 人生のような人生もあるのかと思ったと同時に、こんな人生を送りたいとも思った。 ずっと自分に重ねて読んでいた気がする。お母さんに、家族に、恩返しをするというのは、本当に難しいし、さらにありがとうときちんと言葉にするのはまたさらに難しい。私も将来、いや近いうちに、しっかりと親にありがとうと言いたい。
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こちらの原田マハさんの作品で、初めて原田マハさんを知りました! 生きるとは?引きこもりだった主人公の、ひたむきで、前を向いて頑張ってる姿がとても印象的でした!
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原田マハ。人の優しさと温かさを描く天才。繋がりが人を傷つけ、また癒す。巡り巡る稲と、季節と、人生と、絆。主人公の定義とは、その物語の中で最も変容する人物のことである、と聞いたことがあるが、「人生」の変容ぶりはすごい。人は多分、本当は変わりたくって一歩を踏み出したくってしょうがない生き物なんだと思う。でも、文明が発達して、すごく複雑なしがらみの中で雁字搦めになって、泥濘に足がはまって、身動き取れなくって。でも、自然は何も要求してこない。自然は頑張らない。ただそこで生きているだけで、それだけで尊いんだってことを、炊きたてのご飯の湯気のように温かく描いた一冊でした。ちょっと最近涙脆い私。
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この本の読了後の感想を述べよと言われたら、「とても感動した!」という言葉となるが、その中身は一言では語りつくせないものがある。目じりに涙をにじませながら、最後のページを閉じたが、そういう感動も、読む人それぞれの立場で異なる種類の感動があるのではないかと思う。 「引きこもり」の青年の話。名前は「麻生人生」。 このツカミの部分で、ひょっとして「モサイ小説では?引きこもりの主人公に『人生』なんて名前をつけるような小説、なんか安っぽいんじゃないの?マハさん、たくさん本出されているから、あまりの忙しさに手抜きした小説なんじゃないの?」って最初は疑いの気持ち半分で読み始めた。 「中には、引きこもり歴二十五年なんていう筋金入りの引きこもり職人みたいなのもいる」とか、「人生がろう城する四畳半」なんて表現にも正直すこし反発感じた。 好き好んで引きこもっているわけでなく、病気だとか、どうしようもなく25年生きづらさに耐え続けているという人だっているだろうに、「馬鹿にしてない?」と思ったのも事実。 しかしそこを越えて、だんだん著者のシチュエーション設定を読み進めていくうちに、話の展開にどんどん飲み込まれていってしまった。引きこもり生活、その原因となったいじめのシーン、母親の突然の失踪をきっかけに部屋を出るシーン、蓼科へ向かう中央線、、、とマハさんの文章は、次々と映像をくっきりと浮かび上がらせていく。 この物語には、たくさんのテーマが込められている。 いじめのこと、引きこもりのこと、親の離婚や母子家庭、父子家庭のこと、経済苦のこと、独居高齢者のこと、過疎地の農業事情のこと、老後のこと、介護のこと、認知症のこと、闘病のこと、就活のことなど、著者は昨今の社会問題として扱われるようなテーマをこの物語に盛り込んでいる。 誰もが幾つかは身近に感じるようなテーマを取り上げて、一つ間違えば悲惨に陥りがちなこれらのテーマを、なんと心温まる気持ちの良いドラマに仕上げたのだろうと、著者の発想力、創造力にとても感動した。 そしてまたそれらの問題を社会問題としての客観的な見方で描くのではなく、問題に直面する一人ひとりの視点に立って、それらに立ち向かっていく姿の表現、心理描写の一つ一つに、すごい感性の作家さんだなと感心もした。 「自然と、米と、人間とーぼくらは、みんな、一緒に生きているんだ。そんな思いを胸に、人生は、一束一束、心をこめて稲を刈った」 人生、つぼみ、マーサばあちゃん、志乃さん、純平、登場するメンバー全員が、自然の中での米作りを通じて、人間性を取り戻し、疲れた心を晴々とした心に蘇生させていく。心が通い合っていく。 みんな一緒に生きている、、、「生きるぼくら」。 雑草も害虫も全てを生かすマーサばあちゃんの稲作、苦労を乗り越えた末に収穫した暁にのみ得られる、他の方法では決して得られない最高の味。 現代社会の縮図のようにも感じられる。失いかけている何か、忘れかけている何かを思い出させてくれるような。 この本を読んだ後、様々な社会問題について、意見交換をしてみるというような、教材としても活用できそうだ。「純平の生き方についてどう思う?」とか、「人生は何に気づいたのだろう?」とか。「介護の在り方はどうあるべきだろう」とか。 最後に、人生の母ちゃん、イキイキとした息子・人生の姿を見て、どんなに嬉しかっただろうと、人生の母ちゃんの立場で、また感涙してしまったのである。
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