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百年法(下) の商品レビュー

4.1

309件のお客様レビュー

  1. 5つ

    100

  2. 4つ

    131

  3. 3つ

    44

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2012/10/27

人間の心は弱いものです。しかし、死を恐れるその弱さこそが、人類の文明をここまで発展させてきた原動力でもあると、私は考えます。人間の人間たる所以は、その弱さにある。 完成形は常にシンプルであり、そして美しい。 装飾をいっさい排除した言葉の塊は、鍛え上げられた裸体を思わせた。

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2020/10/26

不老不死が実現しているが、法律により百年後には死ななければならない世界が設定されている。上巻での人間関係が複雑に絡み合って、ストーリーはテンポよく進んでいくが、政局が動き始めてからの急展開には引き込まれてしまった。

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2012/10/22

 上、下巻のボリュームなど関係ない。素晴らしい作品だった。さすがに、構想に10年かけただけの作品のことはある。  上巻を読んでいるあたりは、若者ばかりで永遠に歳をとらないという、作品の世界に入り込むのに苦労したけれど、下巻に至っては、もうページをめくる手が止まらなかった。  ...

 上、下巻のボリュームなど関係ない。素晴らしい作品だった。さすがに、構想に10年かけただけの作品のことはある。  上巻を読んでいるあたりは、若者ばかりで永遠に歳をとらないという、作品の世界に入り込むのに苦労したけれど、下巻に至っては、もうページをめくる手が止まらなかった。  ラストの仁科ケン独裁官が、独裁官制度を終了し、民主制移行を告げるあのスピーチ、本当に素晴らしかった。山田さんは、これを描きたくて、この最後の思いを私たちに伝えたくて、この作品を構想したんだろう。  日本人として生まれてきてよかったって思った。理性と誇りを失わず、秩序を愛する民族の一員であることを、私自身が誇りに思う。  もちろん、この作品中で、皆が皆、こんなに理性的なわけではなかった。富と権力に執着し、目先の利益ばかりを追求した者がいた。自分の持つ肩書きに酔いしれて、正しい判断を下せなくなった者もいた。  けれど、日本人の大半は、過去の自らの過ちを認め、次の世代のためにすべてを捧げた。これを愛さずに、何を愛するというのだろう。この行為を賞賛せずして、何を賞賛するというのだろう。  私は、ケンのようには強く生きられないと思う。私は何の疑問も持たずに、みんなが受けているからという理由でHAVIを受けてしまうだろうし、拒否者を積極的に助けたりしないだろう。  ケンは最後にこう言っている。 「あなたにもできることは見つけられるはず」と。  「私は、あなたのようになれない。私は、強くないから」なんて言い訳していてはダメなのか。何もしないことが罪なのか。  だとすると、わたしにできること。  まず、自分を大切にしよう。そして、その次に、私の周りにいる大切な人を大切にしよう。  周りに感謝をして、困っている人がいたら、手を差し出して生きてみよう。  そして、このバトンを、次世代に確実に渡そう。  そうしていくことは、きっと、いつか、誰かを救うことにつながる。そう信じよう。

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2012/10/20

読み終わった。下巻は人間ドラマよりも政治的な駆け引きの記述が多く、途中少し中弛みした印象もあるけどもやっぱり面白かった。上巻で張られた伏線を回収しつつ、二転三転しながらラストに向かう。 絶望の淵に立たされたあとのラストは、なんだかとても美しい終わり方で希望が持てた。

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2012/10/20

SF・近未来系は少々苦手ですが、これは面白く読みました。 ・・・人間、自然に逆らってはいけない。って事なんでしょうね。

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2012/10/17

上巻を読み終えて、全く着地点が見えず、さて如何展開するかの下巻。なんと時は一気に進んで21世紀も終わろうかと言う頃から始まります。 上巻では色々と下巻への布石がおかれていました。気になるのは同時多発性癌SMOCと永遠とも思える牛島大統領政権の牛島と遊佐首相。 自然の摂理と政治的人...

上巻を読み終えて、全く着地点が見えず、さて如何展開するかの下巻。なんと時は一気に進んで21世紀も終わろうかと言う頃から始まります。 上巻では色々と下巻への布石がおかれていました。気になるのは同時多発性癌SMOCと永遠とも思える牛島大統領政権の牛島と遊佐首相。 自然の摂理と政治的人間ドラマに如何いう結末が待っているのか。。。 ちょっと最後急ぎ足で終わった感があるのですが、ナカナカの結末でした。

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2012/10/08

現代の日本はこの小説の中の「不老不死」には至らないものの、既に「不死社会」に勝手に変貌していると、私には思われる。死なないことだけを目的とするかのような、病院医療があいかわらずまかり通っている中で、社会から「死生観」が失われている。

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2012/09/25

面白い!連綿とした人類の世代間での襷リレーの重要性及びその世代内で次世代を見据えた想い。この世代が歴史に残せるものは何なのか、それを改めて問題提起している良書。

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2012/09/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不老化を一部の人にだけ行なっている国やその期間を40年程度と短くしている国に比べ、100年という日本の設定はあまりに長く、国力は衰退の一途をたどる。しかも期限の100年を前にその凍結が国民投票で決められたり、施行後も大統領の特命があれば期限を延長できるなどの例外が設けられ、議会は大統領に私物化されてしまう。 レトロウイルスによる不老化、という設定からも読めるように、最後は腫瘍発生によって不老化技術自体を放棄せざるをえなくなってしまい予想通りの結末ではある。ちょっと政治的な駆け引きなどの描写に偏りすぎた印象で、生死観などにもう少し焦点を当ててほしかったと個人的には思うけれど、小説としては面白かった。

Posted byブクログ

2012/09/23

不老化技術が導入された日本で、世代交代を促すため不老処置を受けた者は百年後に死ななければならないという法律・百年法が成立。百年目の“死の強制”を受け入れる者、抗う者で混乱する国を、立て直そうとする話。 設定がおもしろい。登場人物も多く、視点も変わっていくのでグイグイ読める。ただ政...

不老化技術が導入された日本で、世代交代を促すため不老処置を受けた者は百年後に死ななければならないという法律・百年法が成立。百年目の“死の強制”を受け入れる者、抗う者で混乱する国を、立て直そうとする話。 設定がおもしろい。登場人物も多く、視点も変わっていくのでグイグイ読める。ただ政治的駆け引きに重点を置いていて、心理描写が 少なく、ちと感情移入しにくかった。

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