池上彰と考える、仏教って何ですか? の商品レビュー
推薦理由: 現代、日本の大多数の人々は日常生活で宗教を意識することはあまりなく、厚い信仰を持っている人は少ないだろう。しかし、ここシンガポールでは、多民族が色々な信仰をもって暮らしており、宗教が身近なものになっている。そんな中で「あなたの宗教は何ですか」と問われた時、ふと心をよぎ...
推薦理由: 現代、日本の大多数の人々は日常生活で宗教を意識することはあまりなく、厚い信仰を持っている人は少ないだろう。しかし、ここシンガポールでは、多民族が色々な信仰をもって暮らしており、宗教が身近なものになっている。そんな中で「あなたの宗教は何ですか」と問われた時、ふと心をよぎるのは仏教かもしれない。多くの日本人は、自分は仏教徒だと、もしくは自分の家の宗教は仏教だと思っていなくても、身内の葬儀では僧侶に経をあげてもらうし、戒名をつけたり法事を行ったりすることに特に疑問を持つこともない。 このような形で日本の人々の心に深く根ざしている仏教とはいったいどんな宗教なのか、日本人にとって仏教は何なのかを知ってもらいたい。 内容の紹介、感想など: 第1章では、インドで仏教が誕生した背景、仏教が日本に伝来するときに中国を経由したために受けた影響、日本で仏教が広がり、様々な宗派が誕生した経緯などが解説されている。説明の分かりやすさでは定評のある池上彰らしく、簡単明瞭な解説になっている。 第2章には、池上彰自身が仏教発祥の地インドを訪れた際の、チベット仏教の高層タクトム・リンポチェとダライ・ラマ14世へのインタビューの様子が書かれている。 仏教の理念、輪廻転生という考え方、心に満足感を持てる生き方などを易しく説き、「大切なのはこれからの人世をどう生きるかということ」と諭しているタクトム・リンポチェの言葉は心に沁みる。 そして常に世界情勢を把握する努力を怠らないというダライ・ラマ法王は、東日本大震災後の日本のエネルギー問題ついても述べ、日本人は復興に向けて固い決意と強い意志と自信をもって臨むべきだと諭している。中国の侵攻により祖国を失った法王は、長年、多くの人々が犠牲になり、現在でも信仰の自由や人権が脅かされているチベットの問題を世界中に訴えるという非暴力の戦いを続けている。希望を捨てずに努力せよという法王の言葉には説得力がある。 第3章では、現在の日本で仏教が人々の心にどのように関わっているかを考える。 無意識だとしても仏教的な世界観で生きて死んでいく日本人にとって、その世界観を知っておくことは、より良く生きるために必要だと語っている。 本書を読んで、仏教では「進んで布教はしない。大切なのは日々の行いであり、仏教徒になることではない」と考え、「何事にも原因があり、結果がある」という科学的な理解をすることに驚かされた。仏教国と言われる日本の国民として、仏教の教えとはどのようなものかを知っておくことは必要なことかもしれない。
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力を発揮するためには、堅い決意と強い意志、そして自信をもたなければなりません。 希望と決意を失ったことはない。 情熱と自信 2013-4-7
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仏教の歴史をざくっとわかりやすく解説、チベットのダライラマとの対談 裏ですごく勉強していて、わかりやすく書けたということがうかがえる一冊。
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私は無宗教だと思っていたけど、この本を読む限り、仏教徒なんだなと思った(勉強は俄然足りてないが)。 納得する部分も多いが、腑に落ちない箇所もあった。自分の中でもっと詰めて、仏教との関わりを考えたい。 ちなみに本自体は分かり易かった。さすが池上先生。
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これまで読んだ著者の本は世の中の「難しい」とされている出来事を、具体的で分かりやすい例をあげながら、紐解いて、すとんと理解できるものが多かったのですが、今回は少し毛色が違う感じがしました。 著者は仏教基礎講座として本書を執筆したとあとがきに書いていますが、詳しい解説をして「仏教...
これまで読んだ著者の本は世の中の「難しい」とされている出来事を、具体的で分かりやすい例をあげながら、紐解いて、すとんと理解できるものが多かったのですが、今回は少し毛色が違う感じがしました。 著者は仏教基礎講座として本書を執筆したとあとがきに書いていますが、詳しい解説をして「仏教ってこういうこと!」と痛快なくらい分かりやすく教えているのではなく、なんといくか、深く考えさせられる感じがしました。 私は自分の「死」を今は怖いものとしてとらえていませ。 周りの大切な人の「死」の方が怖いかな。 でも年をとって、死がもっと身近な物になったら恐れを抱くようになるのでしょうか。 その時、心安らかでいられるよう、仏教の世界観とか仏教の心理学をもうすこし学びたいと思いました。 特に印象に残ったのは、「生前に戒名を考えることで今やるべきことが浮き彫りになる」ということ。 著者は解説の「解」とか「説」を入れてもらえた嬉しいそうです。 通訳者を志す私は、「伝」とか「渡」という戒名がしっくりくるような会議通訳者になれるよう精進して行きたいです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
寺院めぐり、仏教式での葬儀…私たちは宗教施設を観光地として見学し、宗教の教義に基づく儀式を経験する機会も多くありながら、宗教を信仰の対象としてとらえている人は少ないように感じる。 本書は池上氏による仏教とは何かについての解説と、ダライラマ14世との対談の2部構成である。 前半部分では、まずブッダの生涯を紹介することから始まって仏教の誕生に触れ、その後の各国での発展、日本への伝来経路、日本国内での各宗派の広がりなどについて、非常にわかりやすく解説されている。ともすれば専門用語ばかりが並びがちな分野であるが、「話す」ことを専門とする池上氏らしい、講義を聴いているかのような親しみやすい文章で綴られている。 そして、ダライラマ14世との対談では信仰を持つかどうかによらない、もっと大きな意味で「これから私たちはいかに生きるか」が語られている。 科学技術といかに共存していくかの考えについてはたいへん興味深かった。仏教を心の動きを知るための心理学としてとらえ学んでほしいという考え方は最初飲み込みにくかったが、対談を読み進めるうちに腑に落ちた。 それはダライラマ14世の、場の雰囲気を温かくするようなユーモアのセンスがきっかけである。人と人が心を開いて語り合うためにラポールを形成することがいかに大切かということを、心理学の用語を持ち出さなくても、その語りと姿勢から学び取ることができたのだ。 巻末で池上氏も述べているように、自国の文化に深く関わりを持つ宗教に目を向けることは、他国や他者への理解を深めるために大切だろう。とはいえデリケートな問題をはらむ分野なだけに、公教育への組み込みはこれからもおそらく難しいと思われる。だからこそ個々人が、自ら積極的に宗教について学ぶ姿勢を持たなければならないだろう。
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正月休みに「聖☆お兄さん」てマンガを読んでキリストのセリフは何となく判るのにブッダのセリフに不可解な事がいっぱいあって…で、この本。まさに仏教国なのに仏教を知らない日本人の私にすごく判りやすい解説となぜか心に平穏をもたらすダライ・ラマの言葉。一日一日を丁寧に周りの幸せを考えて過ご...
正月休みに「聖☆お兄さん」てマンガを読んでキリストのセリフは何となく判るのにブッダのセリフに不可解な事がいっぱいあって…で、この本。まさに仏教国なのに仏教を知らない日本人の私にすごく判りやすい解説となぜか心に平穏をもたらすダライ・ラマの言葉。一日一日を丁寧に周りの幸せを考えて過ごす事の大事さ。怖いけど死と向き合う事の必要性。時間が出来たら意味を調べながら久々に写経しようと思いました。
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ヨーロッパ旅行中に読みました。 宗教が、こんなにも意識されないのは日本だけなんでしょうね。その歴史も書いてあって、なるほど、と。 行きたい街が増えた。ダラムサラのマクロードガンジへ行きたい。
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アラブ人にアッラーの話を1時間されたのち、じゃぁ仏教は?と聞かれ何も答えられなかった私。今ならもう少し語れそうです。
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聖☆お兄さんを読んでいて、仏教徒なのに仏教のことってろくすっぽ知らないなあと反省していたので、これならわかりやすいかと思い、ふと手に取った。 前半は日本史の授業で習ったような話をちょっと詳しく、かつわかりやすく筋道だてて解説した内容。後半は、チベット仏教の高僧および法王ダライ・ラ...
聖☆お兄さんを読んでいて、仏教徒なのに仏教のことってろくすっぽ知らないなあと反省していたので、これならわかりやすいかと思い、ふと手に取った。 前半は日本史の授業で習ったような話をちょっと詳しく、かつわかりやすく筋道だてて解説した内容。後半は、チベット仏教の高僧および法王ダライ・ラマ14世との対談が収録されている。 宗教=怪しげなものというイメージが定着してしまった現代日本だけど、仏教は信仰というよりも、むしろ人生哲学というか、生き方や心がけの話なんだよなあ……としみじみ。
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