冥土めぐり の商品レビュー
傲慢と浪費の茨の蔦
主人公の心の動きが堂々めぐりで、ストレートな人間からすると読んでいてちょっとイライラします…。
このような人間関係を家族と呼んでいいのか、腹が立ちますが、そんな「蔦」に絡まれないパートナーが知らぬまに主人公救っている、というのが面白いです。
もうちょっ...
主人公の心の動きが堂々めぐりで、ストレートな人間からすると読んでいてちょっとイライラします…。
このような人間関係を家族と呼んでいいのか、腹が立ちますが、そんな「蔦」に絡まれないパートナーが知らぬまに主人公救っている、というのが面白いです。
もうちょっと読んでいたかったな…と思わせる作品でした。
崩撃雲身双虎掌
宮沢賢治の言う『本当のさいはひ』について考えた。 斜陽も思い出した。 直治は上原さんの奥さんに惹かれたが、冥土めぐりの弟は太一には惹かれなかった。 斜陽では上原さんの奥さんの内面は描かれなかった。 太一の事を細かに描いてくれて、嬉しかった。 太一は、犬みたいだ。虔十みたいだ...
宮沢賢治の言う『本当のさいはひ』について考えた。 斜陽も思い出した。 直治は上原さんの奥さんに惹かれたが、冥土めぐりの弟は太一には惹かれなかった。 斜陽では上原さんの奥さんの内面は描かれなかった。 太一の事を細かに描いてくれて、嬉しかった。 太一は、犬みたいだ。虔十みたいだ。 光るその『本当のさいはひ』に私は惹かれるのだ。
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かつては裕福だったことが作中の表現から窺うことのできる主人公の家族。弟の借金により裕福からはかけ離れた生活となるが、主人公やその夫を家族である母親と弟はあてにするようになる。その後、夫が脳の病気により身体が不自由になり、家族とは距離が少し離れる。読んでいて終始、なんて計画性のない...
かつては裕福だったことが作中の表現から窺うことのできる主人公の家族。弟の借金により裕福からはかけ離れた生活となるが、主人公やその夫を家族である母親と弟はあてにするようになる。その後、夫が脳の病気により身体が不自由になり、家族とは距離が少し離れる。読んでいて終始、なんて計画性のない、迷惑をかけ続ける家族なのかと思った。 夫の太一はこんな家族のもとでも純粋というか表向きはなにも変わらず、ただ鈍感なのか、もともとの性格によるものなのか定かではないが、旅行の中でこの夫の姿を見ることで主人公は家族からの呪縛ともいえるものから解き放たれたことへの喜びを感じたのだろうか。 『99の接吻』は4姉妹の独特な関係性を浮き彫りにさせ、一人の他所からきた男をめぐる物語であるが、『冥土めぐり』ほどの気持ち悪さはない印象。谷根千が舞台ではあるが、周りの人が思うほどの下町ではないという部分が読了後に印象に残った。肝心のストーリーはあまり自分には刺さらなかった、女性視点で例の男以外全員女性しか出てこないからだろうか。
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2話載っている本です。 1話目の冥土めぐりは芥川賞受賞作のようですが、私には何が言いたいのか、良さがさっぱり分かりませんでした。 2話目は少し面白いと思いました。
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『冥土めぐり』 第147回芥川賞受賞作。 強欲で陰湿な母親と弟に、金をたかられ食い物にされる主人公とその夫。母親と弟が本当に嫌な人物で読んでいて気分が悪くなった。実家に対しての主人公の主体性の無さが目立ち、読んでいてもどかしかった。そういう気持ちが沸き起こるのだから、著者の狙いは...
『冥土めぐり』 第147回芥川賞受賞作。 強欲で陰湿な母親と弟に、金をたかられ食い物にされる主人公とその夫。母親と弟が本当に嫌な人物で読んでいて気分が悪くなった。実家に対しての主人公の主体性の無さが目立ち、読んでいてもどかしかった。そういう気持ちが沸き起こるのだから、著者の狙いは成功してるのかもしれない。脳の病気を患い杖をつき、車椅子生活の夫。主人公は無職の夫を支え、かいがいしく世話をする。タイトルの冥土めぐりとはどういう意味なのか最後まで言及されなかったが、主人公たちが訪れる母の過去の思い出のホテルを、死者が訪れる冥土になぞらえているのかもしれない。 『99の接吻』 冥土めぐりよりも面白かった。3人の姉を愛する末っ子の菜菜子が主人公。少女趣味的ではあるが、無垢な愛が描かれている。
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最近、純文学を受け付けなくなってしまった…。心が、耕されることを全く望んでなくて、他人の過剰な表現意欲についていけなくなってしまっている。もっとサービスしてほしい。俺を楽しませてくれ!と仕事の反動で感じるようになってしまった。こちらから本や作者に寄り添うような読み方が、いつの間に...
最近、純文学を受け付けなくなってしまった…。心が、耕されることを全く望んでなくて、他人の過剰な表現意欲についていけなくなってしまっている。もっとサービスしてほしい。俺を楽しませてくれ!と仕事の反動で感じるようになってしまった。こちらから本や作者に寄り添うような読み方が、いつの間にか出来なくなってしまった。これはこれで、受け入れないとな。心が荒んでいるのか、それとも満たされているのか。いずれにせよ、純文学は食傷気味です。多分、本の評価も、純粋な評価とはほど遠い、日記のような評価になっています。参考にしないこと。
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母と娘。何となく不思議な関係。母からの束縛から逃れようとするが、無垢な子供のようになった病気の夫がそれを手助けしてくれる。
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レビューに足すことがあるとも思えないのだけれど。母親が白黒の8ミリをカラーにしたい(たぶんデジタル化)というがやっていない、これは結構応えた。カラーにしたいという、でもしてない。お金が入ると美食する。なんかその感覚がとても実感が持てる。 99の接吻のラストのグロスの質感。口紅ではなく。この人ならではの切り取り方。
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鹿島田真希さんが芥川賞を授賞した作品を収めた「冥土めぐり」を読了。受賞作「冥土めぐり」と「99の接吻」の2編が収められている短編集で、両作品ともに共通するのが心理描写がとても素晴らしいと言う点だ。 「冥土めぐり」は過去の自分の境遇の華美な部分から落ちぶれた今でもそのイメージにしがみつき離れられない母と弟との切っても切れない息苦しい関係と地方公務員で結婚した後病気になり身障者になった夫との暮らしでのなかで生まれる不思議な救いの時間を描いた作品だが、この決して幸せとは言えない境遇下で主人公が密かに見つける幸せな時間にひたる主人公の心の動きの描写が素晴らしい。 「99の接吻」では父親が不倫の結果家を出ていった家庭に残った4人姉妹と天然な感じの母親との微妙なバランズの上に成り立っている日々を描いた作品だが、末娘が捉える長女、次女、三女の姉達の描き分けが巧妙で、僕ら男性ではたぶん理解できない女性同士の不思議なコミュニケーションが見事に描き出されていて、それを読むときに感じるわかりそうでわからないむずむずした感じが決して不快ではなかった。 二つの作品とも読んでいて共感をもってのめり込める世界は決して描かれていないのだがが、「冥土めぐり」では過去の出来事、記憶の中を旅しながらいまの自分を不思議にほっとさせる環境を語る主人公の姿に小さな救いを感じる事が出来たし「99の接吻」では今日、今の出来事に振り回される女性5人の暮らしの中で成長して行くの大人になりかけの少女の二人の主人公から感じた永遠にわかり得ないだろう存在である女性への畏れというものを今一度思い出させてくれるので、読書の楽しみは得られないが人の幸せとはということを考えさせてくれるので読んで損のない作品ではあると思った。 そんな短いページ数の中で過去、現在、未来へ短時間でワープする感じを持たせてくれる作品を読むBGNに選んだのが Arnie Rossの ”Arnie Ross sings with Mulligan"だ。 マリガンのバッキングが渋い。 https://www.youtube.com/watch?v=wpuWMzdgjI4
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表題作は奈津子が母と弟の愚痴をもろに受けてそれを耐える話だが,夫の太一とのコンビネーションが絶妙だ.太一は障碍者ではあるが天然の大らかさで奈津子を間接的に守っている感じだ.落ちぶれたホテルの旅は前向きであり,後ろ向きでもあるようだ.「99の接吻」は芽衣子,萌子,葉子の行動を私・菜...
表題作は奈津子が母と弟の愚痴をもろに受けてそれを耐える話だが,夫の太一とのコンビネーションが絶妙だ.太一は障碍者ではあるが天然の大らかさで奈津子を間接的に守っている感じだ.落ちぶれたホテルの旅は前向きであり,後ろ向きでもあるようだ.「99の接吻」は芽衣子,萌子,葉子の行動を私・菜菜子が描写する話だが,Sという男に3姉妹が絡み,母の行動も絡んでくる.女ばかりの家族のやるせなさを書いているように思うが,男の私には良く意図のつかめない内容だ.
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