冥土めぐり の商品レビュー
傲慢と浪費の茨の蔦
主人公の心の動きが堂々めぐりで、ストレートな人間からすると読んでいてちょっとイライラします…。
このような人間関係を家族と呼んでいいのか、腹が立ちますが、そんな「蔦」に絡まれないパートナーが知らぬまに主人公救っている、というのが面白いです。
もうちょっ...
主人公の心の動きが堂々めぐりで、ストレートな人間からすると読んでいてちょっとイライラします…。
このような人間関係を家族と呼んでいいのか、腹が立ちますが、そんな「蔦」に絡まれないパートナーが知らぬまに主人公救っている、というのが面白いです。
もうちょっと読んでいたかったな…と思わせる作品でした。
崩撃雲身双虎掌
第147回芥川賞受賞作 短編二作を収録。 表題作では、過去の栄華に縛られる母と弟、そしてそんな二人に翻弄される夫の姿が描かれる。夫が病に倒れ、闘病生活を経ることで家族との距離が変化していく過程は、過去に囚われる者と、それに翻弄されながらも自らの人生を歩む者との対比として重く胸に残...
第147回芥川賞受賞作 短編二作を収録。 表題作では、過去の栄華に縛られる母と弟、そしてそんな二人に翻弄される夫の姿が描かれる。夫が病に倒れ、闘病生活を経ることで家族との距離が変化していく過程は、過去に囚われる者と、それに翻弄されながらも自らの人生を歩む者との対比として重く胸に残る。 もう一作では、男を誘惑する性質を持つ姉妹と母に似てくることに悩む女性が描かれ、最終的にはその運命を受け入れる姿が印象的である。いずれの作品も、家族関係における心理的揺れや距離感を丁寧に描き、短編ながら重みのある物語となっている。家族の在り方や人間関係の複雑さを静かに見つめ直す契機となる作品である。
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なったぜ、ドカ鬱ってやつによ… なんだこの陰鬱とした物語… 人生を諦めすぎ、夫に降りかかった病を母や弟への背反に心で利用すると言うその浅ましさ… 存在を認められずに育ったために、人の愛し方を知らない人間に見事育ってしまった? (主人公が好きでない) 産後のメンタル安定してない...
なったぜ、ドカ鬱ってやつによ… なんだこの陰鬱とした物語… 人生を諦めすぎ、夫に降りかかった病を母や弟への背反に心で利用すると言うその浅ましさ… 存在を認められずに育ったために、人の愛し方を知らない人間に見事育ってしまった? (主人公が好きでない) 産後のメンタル安定してない時に読むもんじゃなかった。私の人生はこんな泥水の中に光る水銀を見つけて何かも分からずありがたがって啜るようなクソみたいなものじゃない、って言い聞かせないと精神が蝕まれそう。 でもひとつだけ、「娘が美人だと言われることで本当は自分が美人と言われたいのだ。母親は自分で自分が何を考えているのかさえわかっていないのだ」と言うのは、母娘の呪いだ、と思った。 同性の子供を通して、自分の価値を再確認する、というのはやったらいけないことなんだろうがなかなかどうして難しいのだろうか… 私の祖母は、30を過ぎた私に「弁護士になって欲しい、主婦でもなった人がいるらしい」と盛んに言ってくる。これはきっと兄弟で一番賢いと言われたのに女だから大学に行かせてもらえなかった祖母の「価値の再確認」なのだろうな。
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昭和を感じさせる話だった。題名から怖い話と思っていたら全然違ってしんみりした内容と懐かしく感じる文章。 母親と弟から逃れるため結婚したが夫が脳に障害をもち働けない状態に。母親らは夫のお金を期待することが出来ず家族から逃れる事に成功。お金があった時代に来たホテルが保養所に変わり格安...
昭和を感じさせる話だった。題名から怖い話と思っていたら全然違ってしんみりした内容と懐かしく感じる文章。 母親と弟から逃れるため結婚したが夫が脳に障害をもち働けない状態に。母親らは夫のお金を期待することが出来ず家族から逃れる事に成功。お金があった時代に来たホテルが保養所に変わり格安で泊まる事ができ昔を思い出しながら夫と旅をする。高級ホテルの面影だけが残り没落し、時代の変化を感じながらも何も考えていないかのようなのんびりした、そして障害さえ気にしていない夫に救われていた。けど、どっちにしても不幸なのに家族と離れて夫の介護を取る主人公に幸せに対する考え方や生き方を学んだ。
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搾取される人生を受け入れていた奈津子に、平凡な男の発作を契機に周りの景色の見え方が変わる話 【フレーズメモ帳】 ・母親は、北京ダックを、海老のチリソースを、おこげを、次々に注文しては、実に旨そうに食べた。弟は紹興酒を注文する。家族は無言だった。夢中で食べたのだ。音だけが響いた。...
搾取される人生を受け入れていた奈津子に、平凡な男の発作を契機に周りの景色の見え方が変わる話 【フレーズメモ帳】 ・母親は、北京ダックを、海老のチリソースを、おこげを、次々に注文しては、実に旨そうに食べた。弟は紹興酒を注文する。家族は無言だった。夢中で食べたのだ。音だけが響いた。それが性的嫌がらせへのパーティーであり、記念日になったということも気づかずに。どのぐらい嫌悪をかきたてる音であったか、ただ、この卑しい音だけが奈津子の頭の中で繰り返され、奈津子の聴覚や神経、精神を刺激したので、このまま意識を失って倒れてしまいたかった。男に性的嫌がらせを受けただけでなく、家族にも再び痛めつけられたのだ。 ・奈津子は不思議に思う。自分はあんなに嫌悪していた母親の思い出話を今、こんなふうに、他人のことのように思い描ける。興奮した母の、よく動いている舌が見えてきそうなあの語りが不愉快ではあるが、ただの一枚の肖像、一幅の絵に収まっている。可哀想な母親を、奈津子はただ鑑賞する。よくある裕福な家庭の一つとして。母親の無意識にある、特別だった頃に対する未練に触れることもなく。すると、案外平凡な、恵まれた家庭の旅行の思い出話だったことに気づく。
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家族に絶望する奈津子はあらゆることに鈍感な夫、太一と結婚して本当に良かったと思う。 母親の憧れだったホテルに泊まり、じっくりと過去を振り返った奈津子。 きっとこの先も鈍感で朗らかな太一が暗闇から奈津子を導いてくれると思う。
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奈津子のなんとも言えないモダモダした感じや母親と弟の横柄な態度がとてもリアルで鳥肌が立った。私はこんな横柄な人に出会ったことないのにね。そう思わせるだけの説得力がすごい 冥土めぐりも、もう1つ掲載されてる99の接吻も、どちらも終わり方が好き。生きづらさの中にも幸はあるのだろうか
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冥土めぐり:家族に金づるにされる娘。夫の病気が,肉親の束縛から逃れる転機になる。電動車椅子に喜ぶ夫。絶望的状況なのに明るい余韻。 99の接吻:4人姉妹
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宮沢賢治の言う『本当のさいはひ』について考えた。 斜陽も思い出した。 直治は上原さんの奥さんに惹かれたが、冥土めぐりの弟は太一には惹かれなかった。 斜陽では上原さんの奥さんの内面は描かれなかった。 太一の事を細かに描いてくれて、嬉しかった。 太一は、犬みたいだ。虔十みたいだ...
宮沢賢治の言う『本当のさいはひ』について考えた。 斜陽も思い出した。 直治は上原さんの奥さんに惹かれたが、冥土めぐりの弟は太一には惹かれなかった。 斜陽では上原さんの奥さんの内面は描かれなかった。 太一の事を細かに描いてくれて、嬉しかった。 太一は、犬みたいだ。虔十みたいだ。 光るその『本当のさいはひ』に私は惹かれるのだ。
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かつては裕福だったことが作中の表現から窺うことのできる主人公の家族。弟の借金により裕福からはかけ離れた生活となるが、主人公やその夫を家族である母親と弟はあてにするようになる。その後、夫が脳の病気により身体が不自由になり、家族とは距離が少し離れる。読んでいて終始、なんて計画性のない...
かつては裕福だったことが作中の表現から窺うことのできる主人公の家族。弟の借金により裕福からはかけ離れた生活となるが、主人公やその夫を家族である母親と弟はあてにするようになる。その後、夫が脳の病気により身体が不自由になり、家族とは距離が少し離れる。読んでいて終始、なんて計画性のない、迷惑をかけ続ける家族なのかと思った。 夫の太一はこんな家族のもとでも純粋というか表向きはなにも変わらず、ただ鈍感なのか、もともとの性格によるものなのか定かではないが、旅行の中でこの夫の姿を見ることで主人公は家族からの呪縛ともいえるものから解き放たれたことへの喜びを感じたのだろうか。 『99の接吻』は4姉妹の独特な関係性を浮き彫りにさせ、一人の他所からきた男をめぐる物語であるが、『冥土めぐり』ほどの気持ち悪さはない印象。谷根千が舞台ではあるが、周りの人が思うほどの下町ではないという部分が読了後に印象に残った。肝心のストーリーはあまり自分には刺さらなかった、女性視点で例の男以外全員女性しか出てこないからだろうか。
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