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夢より短い旅の果て の商品レビュー

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47件のお客様レビュー

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2016/05/11

(収録作品)夢より短い旅に出るー横浜高速鉄道こどもの国線/夜を走るー急行能登/非行少女の時をゆくー北陸鉄道浅野川線/絶景へと走りこむー氷見線/いつか終わる旅ーJR日光線/長い、長い、長い想いー飯田線/新しい路ー沖縄都市モノレールゆいレール/旅の果て、空のかなたーJR常磐線

Posted byブクログ

2014/04/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

40代を超えて生きていることに途方にくれている今日このごろ...以前なら「やべ、今のよっちん、夢と希望と若さしかねぇ」と言えたけどそんなセリフ嘘でも言えなくなった。 そんな折、この本に出会えた。 正直旅に出たいと思った。よっちんはいわゆる「鉄ちゃん」ではないし、そういうところからは縁遠いと思うのですが純粋に「電車に乗りたい」そして「遠くに行きたい」と思わせてくれた一冊でした。 「遠くに行きたい」という現実逃避を後押ししてくれているだけかもしれませんが….。 ストーリーは失踪した初恋の人を探して、その人が所属して失踪する前まで関わっていたであろう「鉄道旅同好会」に主人公が所属してあちこち旅するというもの。 「こどもの国線」「北陸鉄道浅野川線」「急行能登」「常磐線」「JR日光線」「飯田線」「沖縄都市モノレール」が登場します。 「旅」とか「鉄道」に憧れを呼び起こすような名文で綴られています。 「鉄道というのは人を乗せる為に走っている。貨物列車だって、誰かの為に物を運ぶ為に走っているんだ。ただ機械が走っているから面白いんじゃなくてね、走ることが人の生活といつも結びついているから面白い、僕はそう思う」 「電車には人が乗る。人が乗れば乗った人の数だけ、出来事があるもんです」 「あの頃僕は、たまにその線路に来ては、走る特急列車を眺めていたんです。いつかそれに乗って遠くに行く。どこか、自分が今とはまったく違う人生へと歩める世界へと旅に出る。いつまでも、どこまでも、この線路の尽きるところまで。」 この文章におのれの小学生の頃のことを思い出しました。 小学生の頃海援隊の「思えば遠くへ来たもんだ」の歌詞 「十四の頃の僕はいつも 冷たいレールに耳をあて レールの響き聞きながら 遥かな旅路を夢見てた」というフレーズに 文字通りわけもなく共感していた。 実家の近所に鉄道なんて全然なかったのにね。 同じ気持だったんだろうな….。 「自分は歩いても走ってもいないのに、自分のからだは遠くの町に運ばれて行く。それは理屈ではなく、とても不思議なことに思われた。こうして大人になっても後ろへ飛び去る景色を眺めていると、魔法にかけられたような不思議な気持ちになる。自分の足で歩いたわけでもない長い距離を座っているだけで移動してしまうなんて。もしかするとこれは夢なのかもしれない。列車に乗って旅することそのものが、夢なのだ。出かけて戻って来る旅の間の出来事は本当は起こっていないこと。列車で遠くに運ばれているのはからだではなく、夢の世界にさまよいこんだ、心だけ」 「どんな列車にも路線にも、そこに人が介在している限りは必ず歴史が、物語がある」 とはいえ、よっちんは金沢に生まれたにもかかわらず「内灘闘争」ということがあったことも知りませんでした。 金沢って温泉があって2時間の枠のなかでやたら殺人事件の起こる、気候の悪い、道の狭い、そして百万石ってことに異常なくらい意味不明なプライドのある町くらいの認識しかなかった。 「鉄道の旅は心の旅でもある….ひとり旅だと時間がとてもゆっくり流れるから、考える暇は充分あると思う」 「旅、ってのはほんとに贅沢なものなんです、昔から。贅沢だから楽しい。時間とかお金とか、いろんなものと引き換えにするから、すべての目に入るもの、耳に入るものが心に残る」 「戻ってくるから旅なんです」 「自分の人生はそこで終わらない。その先ずっと続いていく。生きる動機、理由は、その先の人生にも必要なのに」 「駅を出た列車は必ず駅に着く。駅に着く為に、列車は駅を出るのだ。いつかは駅に着くと知っているから、人は列車に乗るのだから」 「鉄道で旅をするということは、他の誰かの人生と乗り合わせるということ。ひと時、同じ方向に向かって同じ速度で進んでみる、ということ」 ひとりで日帰りの旅にでてお酒を飲みながら本を読みながらただただ遠くまでいってみたいです。 自分の今の「生活」が追いついてこれないくらい遠くに、そして列車で早く「生活」を振りきってしまいたいです。 そして自分の世界とまったく違う世界にからだを投げ込んで、それでいて心だけは自分の中に埋没して深くもの思いに耽りたいです。 なにか見つかるかもしれないし、なにかに出会えるかもしれないし、何もおこらず何も手にできないかもしれないけど、帰宅することでまた旅に出る前の”生活”をコンティニューできるわけだし….。 「旅の果てに何があるかなんて、ほんとうはどうでもいい。空が続くかぎり、旅も続ければいいんだ」 そうだ、どこかへ行こう...そう思わせてくれたとても素敵な一冊です。 三回も読み返しました。

Posted byブクログ

2013/12/27

電車での長旅は苦手だけど、電車の窓から広がる景色を楽しみに旅行に行きたいなぁ。 東北の鉄道の復興を願って。

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2013/11/10

でも楽なんだよね、丁寧に喋った方が。世の中の全てに対して距離を置く。 何かに夢中になっている人を軽蔑するのは昔からある。そんなもんですよ、世間は。 戻るから旅、戻らないのは放浪。 旅は休息でもある。 駅を出た列車は必ず駅に到着する。

Posted byブクログ

2013/10/27

この線路の向こうには、きっとあの人がいる――。四十九院香澄は"その道では有名な"鉄道旅同好会に入会した。鉄道に興味はなかったが、彼女には同好会に絶対に入らなければいけない理由があったのだ……。 amazon より タイトルがステキ.このタイトルの元になる短い...

この線路の向こうには、きっとあの人がいる――。四十九院香澄は"その道では有名な"鉄道旅同好会に入会した。鉄道に興味はなかったが、彼女には同好会に絶対に入らなければいけない理由があったのだ……。 amazon より タイトルがステキ.このタイトルの元になる短い鉄道旅から始まって、香澄はいろんな線に乗る.特に鉄道が好きな”鉄子”ではなかったけれど、いつしか立派な鉄子に...で終わりの話ではない. いろんな出来事がこんなに重なるはずがない.というのは、そこは小説だからということで置いておくにしても、旅というのは偶然の(または必然の)出会いや出来事があるものだ. 鉄道の旅を通して、香澄が成長していく姿が見える.ある”想い”が目的の人生、それでよいのかと悩みながら、いろんな人との出会いを通じて、それもまたよいのではないか、とこの1冊の中では結論づく.続編があるようなので、ぜひ旅の続きを読みたいと思う. 鉄子でなくても無性に鉄道に乗りたくなる.一人旅をするということは、自分と向き合うこと.こんなに小さな国に奇跡のように網の目のように張り巡らされた鉄道.そこにはいろんなドラマがあって、たくさんの夢や希望、ときに絶望を運ぶ.

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2021/08/02

◆鉄道の旅は、他の誰かの人生と乗り合わせるということ◆ 四十九院香澄は鉄道に興味がないのにN大学の鉄道旅同好会に入会するために手段を選ばなかった。 理由は徐々に明らかになっていくが、謎解きだけでなく純粋に鉄道旅レポートとして読んでも面白い作品である。特に「長い、長い、長い想い」【...

◆鉄道の旅は、他の誰かの人生と乗り合わせるということ◆ 四十九院香澄は鉄道に興味がないのにN大学の鉄道旅同好会に入会するために手段を選ばなかった。 理由は徐々に明らかになっていくが、謎解きだけでなく純粋に鉄道旅レポートとして読んでも面白い作品である。特に「長い、長い、長い想い」【飯田線】にはにやり。そう、いろんな理由から学生のうちでなければ制覇が大変な路線だと言える。 ぜひ夏休みに挑戦して欲しい。

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2013/07/26

たか兄ちゃんの事が解決せずにおわったところが残念。 鉄子と呼ばれるには程遠いけど、すこし鉄道好きなので鉄道に興味がわいた。 鉄道にのりたいなと思った。

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2013/07/10

ミステリ要素は少ないが、著者の鉄道への愛情が伺えて安心して読める。特に乗車経験のある路線はなんだか過去の旅行を思い出して懐かしい気分になる。旅行したいなあ。

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2013/06/03

 慶子さんの手紙は、西村京太郎サスペンスだな。  完結しないのは、あとがきを読めば分かること。作品の評価には持ち出す必要はないもの。

Posted byブクログ

2013/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

失踪した叔父の手がかりをつかむため、鉄道旅研究会に入る主人公、香澄。 四十九院、がつるしいん、と読む初めて見る名字。 結局叔父は見つからないまま物語は終わっているものの、鉄道と、それに乗る人々のそれぞれのドラマが深く味わえる。 ネット主流の現代だからこそ、自ら足を運んでしか見れない景色や旅情がなんともじんわりする。 日本には、まだまだ私の知らない場所がたくさんある、それを少しでも知りたいなあと感じた。 観光が目的ではない、ただ鉄道に乗るのが楽しい。その気持ち、わかる! 読みながら自分もどこか遠くへ行った気分になれる。でも、本当に足を運びたくなる、そんな作品。 作者の柴田よしきさんは、すごく綿密に色々調べたんだろうなあ。作者の愛も伝わる。

Posted byブクログ