二重生活 の商品レビュー
タイトルから言ったら、家庭の主婦が、婚外恋愛と思ったら、全然違った。いい意味で裏切られた作品。 ストーカーが社会問題になっている現代、こんなことやっていたら警察沙汰だろう。主人公は大学院卒業したら興信所とか、探偵なんかやったらええと思う。
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大学院でフランス文学を学ぶ白石珠は、教授の授業で聞いた「文学的・哲学的尾行」について興味をもち、通りをはさんで向かいに住む幸せそうな家族の旦那・石坂史郎を軽い気持ちで尾行してみる。するとすぐ、、石坂が奥さんではない女性と会っている姿に遭遇してしまう。 ちょっとした出来心から...
大学院でフランス文学を学ぶ白石珠は、教授の授業で聞いた「文学的・哲学的尾行」について興味をもち、通りをはさんで向かいに住む幸せそうな家族の旦那・石坂史郎を軽い気持ちで尾行してみる。するとすぐ、、石坂が奥さんではない女性と会っている姿に遭遇してしまう。 ちょっとした出来心から始めた“文学的尾行”。次第にそれにのめりこんでいくものの、決してストーカーに成り果てるホラー話ではない。他人の生活を覗き、対象者やその周りの人物を見ているうちに、いつのまにか自分の境遇と重ね合わせてしまい、自分の感情まで揺さぶられ、心乱されてしまう主人公。心理描写がうまいんだろうなぁ。特に大きな事件があるわけでもないのに、次々読み進む不思議な魅力のある話だった。しかし、対象者にバレてその展開は驚き。
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文学的哲学的な尾行から 向かいのご主人の不倫をしってしまった珠だけど、どんどん俗っぽい好奇心で尾行を続けてしまっているような感じだった。小池真理子が書くから、なんとなく一つのストーリーになってる。でも、普通の話
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何の目的を持たず、ただ記録する行為って…ようわからん。 他者の秘密を知ることにより、猜疑心にとらわれる主人公やそれぞれの男女のエピソードもあるあると思った。 【2015.03】
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こういう題材でも、小池真理子の手にかかると一つの世界ができあがる作者の才能と技量に脱帽する。現実にはあり得ない話しが上質な表現で、現実間直に昇華されてた。
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「文学・哲学的な尾行」を実践。 そういう観点の尾行は疚しさや仄暗さがなく斬新に感じたのだけど、ヒマじゃなきゃできない。 ラストまで読むとやはりこれは病だと思う。
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白石珠が実践した文学的・哲学的尾行。 それは或る人物の実存を記録する行為に他ならないはずだったのだが。 珠の思惑を外れて物語は転がり始める。 珠が力説するようにその尾行に意味はなかったのか。 たまたま後を追った男の秘密を追っているようで 実は自分の心の奥深くに眠る物を追い求めて...
白石珠が実践した文学的・哲学的尾行。 それは或る人物の実存を記録する行為に他ならないはずだったのだが。 珠の思惑を外れて物語は転がり始める。 珠が力説するようにその尾行に意味はなかったのか。 たまたま後を追った男の秘密を追っているようで 実は自分の心の奥深くに眠る物を追い求めているように思えた。 父親との確執・同棲する恋人への疑い…etc 人の心の闇は深い。 単なる恋愛小説に留まらない展開に途中で読みやめることができずに一気読み。 極めて興味深い1冊でした。
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★4に近い ★3.7 感受性が強くて頭の良い女性ならあり得るかもしれないと思った。 珠(たま)は家庭の団欒を知らなかったからこそ、尾行のターゲットを彼にしたんだと思う。 珠の『本気で恋がれる相手ではなく、心が安定してて一緒に過ごして落ち着く相手』をキープしたがるという自覚。そし...
★4に近い ★3.7 感受性が強くて頭の良い女性ならあり得るかもしれないと思った。 珠(たま)は家庭の団欒を知らなかったからこそ、尾行のターゲットを彼にしたんだと思う。 珠の『本気で恋がれる相手ではなく、心が安定してて一緒に過ごして落ち着く相手』をキープしたがるという自覚。そして、相手のそうだと知っている。 内容(「BOOK」データベースより) 大学院生の白石珠は、ある日ふと、近所に住む既婚男性、石坂史郎を尾行してしまう。大学の講義で知ったアーティスト、ソフィ・カルによる「文学的・哲学的尾行」が心に残っていたからだ。そして珠は、石坂の不倫現場を目撃する。他人の秘密を知ることに、ぞくぞくとした興奮を覚えた珠は、石坂の観察を繰り返す。だが徐々に、秘密は珠と恋人との関係にも影響を及ぼしてゆく―。大学教授への想い、今は亡き恋人への追慕。スリリングな展開、乱れ合う感情。ページを繰る手が止まらない、傑作長編。
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大学院の授業で強く興味を惹かれたのが、 「文学的・哲学的尾行」であった。 私も、知の快楽とか高尚な目的でなく 単純に好奇心をそそられた他人を尾行したくなった。 ただ、根気と勇気と、時間が要りそうなので 実際行動にはうつせそうにない。 元々人間観察は好きな方で カフェで隣にカ...
大学院の授業で強く興味を惹かれたのが、 「文学的・哲学的尾行」であった。 私も、知の快楽とか高尚な目的でなく 単純に好奇心をそそられた他人を尾行したくなった。 ただ、根気と勇気と、時間が要りそうなので 実際行動にはうつせそうにない。 元々人間観察は好きな方で カフェで隣にカップルなんかが居合わせたら 会話に全神経を集中させてしまう。 主人公珠の男性感に大きく共感するところがあった。 いつも同じトーンで話し、決して感情をむき出して怒ったりしない、 大海原の様な、常におだやかな人。 私が大好きな人も、ざっというとこういった性格だ。 そして、とてつもなく賢い。 私はその人を心の友と思っている。 心穏やかな毎日、それが私の望む生活だ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
変わった切り口で面白い!と思ったのだけど、厳しめのレビューが多いのが意外。ちょっと癖があるから、好みは分かれるかな?設定は非現実的?なのに、対象者と自分を重ね合わせて勝手にあれこれ心配してしまうあたりは結構リアルな感じがしたけど。尾行がバレた後の展開は、現実にはそうはならないだろうけど、割と好きだった。男性よりは女性が好きそうな本。
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