小川洋子の偏愛短篇箱 の商品レビュー
いきなり序文が名作です。必死で隠すわけではないけれど、できれば人には見せたくない、時折取り出してはこっそり楽しむコレクション。それを表に出すのはさぞかし勇気と勢いが必要だったことでしょう。 正直なところ、収められた短編のうち理解できたのは2作品だけ。「件」の悲しみもいまいちピンと...
いきなり序文が名作です。必死で隠すわけではないけれど、できれば人には見せたくない、時折取り出してはこっそり楽しむコレクション。それを表に出すのはさぞかし勇気と勢いが必要だったことでしょう。 正直なところ、収められた短編のうち理解できたのは2作品だけ。「件」の悲しみもいまいちピンとこなくて、目の前に小川氏がいたとしたら微妙な空気が流れていたでしょう。けれどどの作品も、この人にとって大切なコレクションで、それを打ち明けてくれたのだと思うと無碍に突き放す気になれない。信頼されたようでちょっと嬉しくて、少しは理解できないかと努力したくなる。人間同士の距離の詰め方というのは、こういうものではないかと思います。 各短編に寄せられた解説は、自分とは異なる視点の面白さを感じられました。解説を読んでから短編を読み返すと、全く新しい景色が見えてくるかもしれません。
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今まで読んだことのない不思議な話ばかりで感動しました。現実でも夢でもない別の世界に迷い込んでしまったような読書体験でした。
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好きなミュージシャンが「影響を受けた」と公言している音楽を、なるほどわかるような気がする、といいながら聴く時の感覚に近い。小川洋子が好む作品を小川洋子の解説付きで読めるという贅沢な短編集。個人的には江戸川乱歩と田辺聖子のやつが好き。
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小川洋子さんへのリスペクトが高まった。単行本で読んだので、名久井直子の装丁もとても素敵。 金井美恵子さんの作品を読んだことがなかったので、これを機にとても興味を持った。
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動物というか獣もの(?)が印象的。獣の方が神聖みある気がするんだが。件、兎、へビ。他もいろいろ面白く読めた。怪奇な話の押絵と旅する男、幻惑的な花ある写真、シュールな耳、物語というよりなんだかドキュメンタリーのようなみのむし、とか。小川先生より上世代の作家たちの作品がほとんどで、普...
動物というか獣もの(?)が印象的。獣の方が神聖みある気がするんだが。件、兎、へビ。他もいろいろ面白く読めた。怪奇な話の押絵と旅する男、幻惑的な花ある写真、シュールな耳、物語というよりなんだかドキュメンタリーのようなみのむし、とか。小川先生より上世代の作家たちの作品がほとんどで、普段読まないものが読めて面白かった。
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小川洋子さんを構成する物語の数々の一端を垣間見ました。 面白かったです。 「押絵と旅する男」「雪の降るまで」のみ再読だったのですが、どちらも大好きです。特に、雪の~の以和子さんは不思議な魅力があります。 その他は、「兎」「お供え」の狂気が好きで、それぞれの作者の金井美恵子さんと吉...
小川洋子さんを構成する物語の数々の一端を垣間見ました。 面白かったです。 「押絵と旅する男」「雪の降るまで」のみ再読だったのですが、どちらも大好きです。特に、雪の~の以和子さんは不思議な魅力があります。 その他は、「兎」「お供え」の狂気が好きで、それぞれの作者の金井美恵子さんと吉田知子さんは文庫を買いました。 「みのむし」を外で読んだので、たけさんの絶望とその後の行動に泣いてしまいました。 それぞれのお話の後についている、小川洋子さんの小さなエッセイも好きです。小川洋子さんはこのような読み方をされるのだな、と。 もうひとつの小川洋子さん編集の本も持っているので、読むのが楽しみです。
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お気に入りの短編の後に書いているレビューが面白く、 「陶酔短編箱」も借りたが、短編はすべて読んでない。
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自分から進んでは読まない作品がほとんだった。読了後、こんなのもう二度と読むことはないだろうな、と思ったが、一週間ほど経って、その気持ちに変化が。。畏るべし「偏愛」小説!
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その名の通り小川洋子さんが偏愛している短編の詰め合わせ。小川洋子さんの短編大好きだから、中になに入ってるか確認しないで購入したんだけど、やはり大当たり。ていうか私も偏愛している作品がほとんどで、いわば、すごく便利な短編集だ。一冊にしてまとめて持ち歩きたいなーって作品が8割。島尾敏...
その名の通り小川洋子さんが偏愛している短編の詰め合わせ。小川洋子さんの短編大好きだから、中になに入ってるか確認しないで購入したんだけど、やはり大当たり。ていうか私も偏愛している作品がほとんどで、いわば、すごく便利な短編集だ。一冊にしてまとめて持ち歩きたいなーって作品が8割。島尾敏雄の息子さんの作品は初めて読んだ。 殊に「奇」の章がお気に入り。 また、こういう短編集作ってくれないかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
薄暗がりな短篇集。表舞台で脚光をあびるようなことはけっしてなく、焦点が合わずぼんやりして中途半端、そのかわり作者の心に正直な話が多い。 読んでる間に面白いとは感じなかったけれど、やたら尾崎翠の話が記憶に残った。
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