氷点(上) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
現実的な話かと言われたら違うと思う。 ただ、愛するが故の憎悪、復讐心 不倫したであろう妻・夏枝に、自分たちの娘を殺した犯人の子供を出生を隠し養子に迎え育てさせる。 その行為に自分も苦しむ辻口 余りにも自己主義に怖さを感じるが、だからと言って夏枝に同情できるかと言ったら、その感情も湧かない。なんなら夏枝に対しても嫌悪感すら抱く。 上巻は辻口が休止に一生を得て、夏枝や子供達に、夏枝の不倫相手と思っている村井へ愛をもって接していこうと改心したところで終わった。 この家族の行く末がどうなっていくのか、下巻を読むのが楽しみです
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三浦綾子さんの代表作。オーディブルで聴く。まるで昼メロのような展開だが、話の続きが気になって、家事が疎かになった。同じ女性として、夏枝のバカさ加減に腹が立つ。 続編は、もういいかな。
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辻口病院の院長夫人夏枝と青年医師村井の不倫中に娘のルリ子が殺される。それを知った夫の辻口啓造は夏枝に復讐するために、犯人の娘を養子として引き取る。犯人の娘とは知らずに、陽子と名付けたその女の子を亡くなったルリ子の代わりに大切に育てる夏枝。だがとあるきっかけで事実を知ってしまった夏...
辻口病院の院長夫人夏枝と青年医師村井の不倫中に娘のルリ子が殺される。それを知った夫の辻口啓造は夏枝に復讐するために、犯人の娘を養子として引き取る。犯人の娘とは知らずに、陽子と名付けたその女の子を亡くなったルリ子の代わりに大切に育てる夏枝。だがとあるきっかけで事実を知ってしまった夏枝は、夫の啓造と犯人の娘である陽子を激しく憎むようになる… まさに愛憎渦巻く人間ドラマ。登場人物の心理描写が巧みで、読みごたえがある。 夏枝と村井は実際は啓造の疑っているほどの不倫関係ではなかったことが悲劇だ。啓造はこじらせまくってるし、夏枝は夏枝でお嬢様気質でいけすかないところがあり、どっちもどっち。 本当のことを知った夏枝は陽子に陰湿ないじめを始めるし、陽子の出生の秘密を知った兄の徹は陽子のことを女性として愛するようになるしで家族が崩壊していく中、何も知らない陽子はとても真っすぐな良い子に育っているのが救いでもあり、より悲しくもあった。 学会に出かけた際、海難事故で九死に一生を得た啓造が、気持ちを新たにして、夏枝や徹や陽子を愛して生きていこうと誓って家に帰ってくるところで上巻終了。 下巻に続く。
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娘を殺した犯人の子供を養子に迎えるなんて、どう考えても現実的ではない。ありえないし、やってはいけない事だ。 しかしこの小説ではそれを見ることができる。終始、陽子が可哀想でならない。途中から夏枝が憎くなった。下巻を早く読みたい。
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作者の出身地の旭川に住んでいながら読んだ事無かったので代表作である本作を読み始めた。 旭川には"三浦綾子記念文学館"があり、そこに向かう途中の橋は"氷点橋"と名付けられている。 作中に登場する"ちろる"という喫茶店は今も...
作者の出身地の旭川に住んでいながら読んだ事無かったので代表作である本作を読み始めた。 旭川には"三浦綾子記念文学館"があり、そこに向かう途中の橋は"氷点橋"と名付けられている。 作中に登場する"ちろる"という喫茶店は今も人気で、私もよく利用している。 前置きが長くなったが、読み始めてあまりの面白さに読む手が止まらない。 「汝の敵を愛せよ」というのが一つのテーマとして考えさせるものであり、人間はそこまで寛容になれるのかはたまた無理なのかという所に迫って行く様がリアルに描写されていて引き込まれた。 ここで素人めいた意見ですが、上下巻分けるならある人物の命運を謎のまま下巻に行った方が絶対下巻の売り上げあがるだろうな等と邪知してしまった。
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どーだった?!って、女友達と語らいたい内容でもあり、ひとり深々と考えさせる部分もあり。 内容が昼メロ並みにどろっどろで読みやすいんだけど、作品に深みがあるのは心理描写が秀逸で、人間のアホさについても真摯に掘り下げてまっすぐな視点で分析されているからなのではと思う。 登場人物の中で...
どーだった?!って、女友達と語らいたい内容でもあり、ひとり深々と考えさせる部分もあり。 内容が昼メロ並みにどろっどろで読みやすいんだけど、作品に深みがあるのは心理描写が秀逸で、人間のアホさについても真摯に掘り下げてまっすぐな視点で分析されているからなのではと思う。 登場人物の中で誰が一番愚かだと思うかも、読む人によって評が割れそうである。
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北海道の旭川を舞台にした医師の家族の愛憎劇。 敬虔なキリスト教徒であった著者の思想が深淵として低調に流れていました。 人間は本当に不完全なもので、社会的地位が高い医師の家庭でも人間の底は醜く自己中心的なものなのか…と大人たちの世界を見ながら思いつつも子供たちの純粋無垢な言動に心...
北海道の旭川を舞台にした医師の家族の愛憎劇。 敬虔なキリスト教徒であった著者の思想が深淵として低調に流れていました。 人間は本当に不完全なもので、社会的地位が高い医師の家庭でも人間の底は醜く自己中心的なものなのか…と大人たちの世界を見ながら思いつつも子供たちの純粋無垢な言動に心がむしろ痛みました。 場面展開もムダがなく、心苦しいシーンばかり続くのだけれどユルユルと話の流れに乗って読み進めてしまう。 心が傷ついて自分がイヤな人間かもしれない…と感じている人には人間大人になれば誰だって闇を背負っているのだと思える作品だと思いました。 一方、やはり絶対的に神の世界を信じている著者とそうでない自分との間に大人とこどものような心理的ズレを感じることも付記しておきます。
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出張で旭川市に行ったので、ゆかりの作家さんとして初めて読んでみた。 主人公の辻口は娘を殺した犯人の子どもを引き取るほどの嫉妬心を隠しもち、妻の夏枝は自分の美貌への自信からか目の前の人を大切にできてないところとか、どちらもなかなか性格が悪くて人間臭くておもしろい。 今の夫妻観だとも...
出張で旭川市に行ったので、ゆかりの作家さんとして初めて読んでみた。 主人公の辻口は娘を殺した犯人の子どもを引き取るほどの嫉妬心を隠しもち、妻の夏枝は自分の美貌への自信からか目の前の人を大切にできてないところとか、どちらもなかなか性格が悪くて人間臭くておもしろい。 今の夫妻観だともっと話し合いましょう、とアドバイスされちゃうような関係性だけど、当時の結婚、特に肩書のある人たちはそんなもんじゃなかったんやろうな。
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※このレビューにはネタバレを含みます
現実世界ではまず起こり得ないであろう重い設定の作品。愛と罪と赦しをテーマに書かれたということで、各登場人物がどのように考え、どのように生きていくのか興味深く読んだ。 徹と陽子の親世代、特に夏枝は最初から最後まで自分勝手な印象が拭えなかった。引き取った子が誰だったかという原因は辻口にあり、その点は情状酌量の余地があるが、そもそもルリ子の死の一端を作ったのは夏枝であり、ルリ子の代わりに子供を引き取りたいという行為自体が理解出来なかった。私に子供がいないからなのか、時代背景のせいなのか…。 ラストは、最初はここで終わり?と感じたが、読了から数日経つとあの終わり方で良かったのだと思えるようになった。陽子と、陽子の出自を知りながら陽子を愛してくれた徹の人生が明るいものであることを願う。 続氷点があるので読んでみたい。 印象に残った一文 ねむるだけ、ねむったら早く起きるのよ。全く違った人生が待っているんだもの。
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もっと早く読めば私の頭の中、思考が変わっていたかも、と後悔しつつ、三浦綾子さんが43歳の時に書かれた氷点を同じ年齢で読むこの奇跡も不思議に感じた。 人の感情で1番不要な『嫉妬』『妬み』からの歪んだ心持ち。 誰もが自己中心で親の愛情を受けるべき子どもたちの苦悩。 啓三が上巻最後で命...
もっと早く読めば私の頭の中、思考が変わっていたかも、と後悔しつつ、三浦綾子さんが43歳の時に書かれた氷点を同じ年齢で読むこの奇跡も不思議に感じた。 人の感情で1番不要な『嫉妬』『妬み』からの歪んだ心持ち。 誰もが自己中心で親の愛情を受けるべき子どもたちの苦悩。 啓三が上巻最後で命拾いし心改める、あぁ大人こそ日々成長していかなければ子どもたちに教育は出来ない。
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