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日本の路地を旅する の商品レビュー

3.8

40件のお客様レビュー

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2023/06/23

被差別部落を路地とも言うとのことで、日本各地の路地をその地の歴史や成り立ちを振り返りながら巡るルポ。

Posted byブクログ

2021/12/03

差別はとてもデリケートな問題で、そっとこのまま消え去っているのが一番いいと思っているのですが、実際にそこで生まれ育った人たちにとっては故郷でもあるわけで、なかなか一遍通りには行かない問題だと思います。 関東に居ると全然感じませんが、関西の人は結構カジュアルに差別用語口に出したりす...

差別はとてもデリケートな問題で、そっとこのまま消え去っているのが一番いいと思っているのですが、実際にそこで生まれ育った人たちにとっては故郷でもあるわけで、なかなか一遍通りには行かない問題だと思います。 関東に居ると全然感じませんが、関西の人は結構カジュアルに差別用語口に出したりするので、差別的な事と非常に距離が近いんだろうと思います。 興味を持ったのは「路地の子」という自身の父親を主題にした被差別部落のノンフィクションを読んでの話なのですが、この本が後日誤認多数ありという事で、社会的に問題を巻き起こしている本で、ノンフィクションとしては眉唾ものとして扱われています。フィクションとして読めばリアル「血と骨」のような本でぐいぐい読ませるのですが、なんとも言い難いケチが付いてしまったものです。 何冊か読みましたが、アウトローな雰囲気が多大に感じられる人なので、読んでいても反感を覚える事も有り、純粋に感覚を共有する事は難しいです。この本もわざわざ掘り返す必要があるのかと何度も突っ込みを入れて読みましたが、何しろ自身が被差別者であるという強みがあるので皆何も言えない部分が有ります。 本書は日本各地に残る被差別部落の名残(路地と表現)を訪ね歩く内容で、やるせない気持ちになります。人間の暗部というか、どこか自分よりも下を作って安心したいという薄暗い本能のような物を感じます。 どう考えても同じ人間なのに、地域地域で差別される人々がいて、綿々と受け継がれているという事が本当に不思議です。 多分僕らの孫世代が大人になった頃には痕跡しか残らない愚行になると思っています。

Posted byブクログ

2021/05/16

上原善広の別の本『断薬記 私がうつ病の薬をやめた理由』を読んで、その後にこの本を読みました。 被差別部落の内容を書いた内容ですが、真実かどうか?ともかくとして、内容が大変面白かったです。 父親の一生を描いている内容ですが、すべてが真実である必要はないのかな、と思いながら楽しんで読...

上原善広の別の本『断薬記 私がうつ病の薬をやめた理由』を読んで、その後にこの本を読みました。 被差別部落の内容を書いた内容ですが、真実かどうか?ともかくとして、内容が大変面白かったです。 父親の一生を描いている内容ですが、すべてが真実である必要はないのかな、と思いながら楽しんで読めました。 親のことを、フィクション部分があったとはいえ、時代背景も含めてここまで描けるって、すごいなーって思いました。

Posted byブクログ

2021/01/02

当事者である著者でないとできない紀行。そして、いまだに残っているところもあることに純粋に驚く。東京だと、あの辺りが昔そうだった、くらいで今の住人はそんなに関係なく(たぶん)、本人が言わない限り分からない(と思う)。けど、この本を読むと、この地区は何戸、とかあって。戸数が分かるって...

当事者である著者でないとできない紀行。そして、いまだに残っているところもあることに純粋に驚く。東京だと、あの辺りが昔そうだった、くらいで今の住人はそんなに関係なく(たぶん)、本人が言わない限り分からない(と思う)。けど、この本を読むと、この地区は何戸、とかあって。戸数が分かるって‥消えてないんだな、と。居住地と名字で地元の人はわかる、と西日本の人から聞いたことはあるけれど、本当にそうなんだ、、息苦しいな、、 ルポとしては、前半は普通に読んでいけるんだけど、後半になるにつれて事件やヤクザ、著者の前科者の兄の話が出てきて重苦しい。その辺は私小説的。

Posted byブクログ

2020/07/05

身近にあった路地。よく知っているつもりだったけど、知らないこともたくさんあった。素朴な疑問。屠場で働く人は差別されるが、肉は高級品。何故だ?屠殺が汚らわしいてか?命を射るもの、命を食すもの、同じやん。

Posted byブクログ

2020/04/09

路地とは、かつて中上健次がそう呼んだ被差別部落のこと。筆者は自らのルーツである大阪更池を皮切りに、全国の路地を訪ねていく。私も大阪の下町で育ち、作者とほぼ同年代であるから、その雰囲気くらいはわかる。友人にも路地の子がいた。全国には6000を超える路地があるという。おそらく気がつい...

路地とは、かつて中上健次がそう呼んだ被差別部落のこと。筆者は自らのルーツである大阪更池を皮切りに、全国の路地を訪ねていく。私も大阪の下町で育ち、作者とほぼ同年代であるから、その雰囲気くらいはわかる。友人にも路地の子がいた。全国には6000を超える路地があるという。おそらく気がついていないだけで、身近な地域に路地はある。 筆者自らスケッチと語るように、まとまりのいい体裁とはなっていない。学術書ではないため出典も明白ではなく、成否を論ずることは難しい。しかし、路地のウチとソト、その境界を行き来できる著者だからこそ書けたルポと言える。

Posted byブクログ

2019/05/26

丸善のフェアで中上健次の『紀州』と並んでいたので、こちらも購入。 『紀州』では中上健次が自身のルーツである和歌山の被差別部落を回っていたが、本書は著者の出身地である大阪を皮切りに、全国を巡っている。 この2冊の共通点は、どちらもルポルタージュの体裁を取りながら、実際は自身の内面へ...

丸善のフェアで中上健次の『紀州』と並んでいたので、こちらも購入。 『紀州』では中上健次が自身のルーツである和歌山の被差別部落を回っていたが、本書は著者の出身地である大阪を皮切りに、全国を巡っている。 この2冊の共通点は、どちらもルポルタージュの体裁を取りながら、実際は自身の内面への旅ではないのか、というところ。解説で西村賢太が『私小説』と表現しているが、ルポルタージュと私小説のあわいにあるものだと感じる。 最終章で著者が兄と再会する時のいたたまれなさが、一時期の私小説にあった独特の雰囲気と通じるものがあると思う。

Posted byブクログ

2019/02/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

幕末に孝明天皇は何故、「開国」を断固として拒んだのか?歴史と食文化の現状に無知な公家たちは「肉食」が穢らわしい、異人自体も穢らわしいとしか思えなかったのだろう(伊沢元彦『逆説の日本史』)。新鮮な食肉を求める外国船の要求に松前藩は箱館に穢多の者を呼びよせ対処することにした。第2章、最北の路地。皮が太鼓作りに使用される。ねぶたの太鼓は馬が良い。(そういえばゲーム『花と蛇』の主人公は川田といった)。肉を扱う者が差別されるのは日本だけ。著者のルーツ大阪は第1章。自らの出自を誇るというスタンスで日本各地の人と交流

Posted byブクログ

2019/02/18

地方を含め様々な同和地区を探索したエッセイ。 同和地区の成立ちや文化等無知な部分多かったため、非常に興味深く面白く読めた。

Posted byブクログ

2018/05/14

(01) 現代の日本の風景を考える上で,本書に現わされた内容は興味深い. 歩いていると,不思議な風景に出会うことがある.不思議さとして直観されるその風景には事情がある.その事情の一脈を「路地」として解きほぐしている. 文庫版解説の西村氏が氏らしく「知らなかった」と告白しているよう...

(01) 現代の日本の風景を考える上で,本書に現わされた内容は興味深い. 歩いていると,不思議な風景に出会うことがある.不思議さとして直観されるその風景には事情がある.その事情の一脈を「路地」として解きほぐしている. 文庫版解説の西村氏が氏らしく「知らなかった」と告白しているように,私も路地という呼称のこのような用法を知らなかった.中世都市に起源があるとされる狭い街路を指示する路地を考える上でも,この命名が再考を促す問題の範囲は,ことのほか広い. 「部落」という用語は,今でも地方に残るが,それは国土にある人の住む場所場所のおおよそ全てを含んでいた.「路地」についても同じことがいえ,それは近代日本になされた都市的な集住地のほぼすべてを網羅していたともいえる.その意味で,「日本の路地」は,ほとんど「日本の都市」(*02)と言い換えて,本書を読んでもよいだろう. (02) 本書には,差別がその内部で階層化されている様子も描いている.エタと非人の関係もそうであるし,上下という路地内路地であるとか,職業間や路地間での競合的対立的な構造は,階層化される傾向にある. この問題を敷衍し,帰納したときに得られる仮説は,すべての日本人や日本人が住む地域は,程度の強弱はあれ,何者かによって差別されていた/いるということである.逆にいえば,この階層化を駆け上ろうという欲望や衝動が近代の都市化に具体的な関わりをもっている. 本書では,具体的な字名クラスの地名を避けているが,それでも本書に現われる地名の多くは,列島的な広がりで派生されるほどの重要な要素を含んでる. その点でも,本書には,路地だけでなく,路地外をも囲いこむ示唆が盛り込まれている.

Posted byブクログ