日本の路地を旅する の商品レビュー
路地(被差別部落)出身の作者が全国の路地を旅するノンフィクション。 小中と同和教育が盛んな学校に私は通っていて、ずっと何故盛んなのか不思議に思っていた。 積年の謎が少しだけ解けた。
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東京生まれ東京育ちの自分は、ほぼ同和問題とは無縁の生活を送ってきたが、何故か、惹かれる。不謹慎なのは承知してるが、怖いもの見たさや、知らない世界を教えてくれるような気がする。 人間の本質なのか、人より優位に立ちたいという思いが、差別を産み、より弱いものいじめに走る。なんともやり...
東京生まれ東京育ちの自分は、ほぼ同和問題とは無縁の生活を送ってきたが、何故か、惹かれる。不謹慎なのは承知してるが、怖いもの見たさや、知らない世界を教えてくれるような気がする。 人間の本質なのか、人より優位に立ちたいという思いが、差別を産み、より弱いものいじめに走る。なんともやりきれない。 作者は、何を求めて「路地」をさまようのか。本書を読んでも分かるような分からんような。仕事柄、「路地」に行くこともままあるが、そこでの対応には、やはり気を使うこともある。同和も人権も言葉としてはあまり好きではないが、要は、差別する人の心の有り様が問題なんだろう。今の国際情勢は差別がものすごく進んでいる気がするが、何れも、自分の正当性を声高に叫んでいるのだろう。 日本が、国内的に真の解放を成し得ることが出来れば、世界的にも今の情勢を変え得る処方箋を示せるかもしれない。
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被差別部落のことを「路地」と呼んだのは、作家の中上健次だそうです。 この本は、被差別部落出身の作者が、全国各地の被差別部落を訪ね歩いたルポルタージュです。 残念ながら私は中上作品は読んでいませんが、中上自身も和歌山の被差別部落の出身なのだとか。 恥ずかしながら、この本を読むまで作...
被差別部落のことを「路地」と呼んだのは、作家の中上健次だそうです。 この本は、被差別部落出身の作者が、全国各地の被差別部落を訪ね歩いたルポルタージュです。 残念ながら私は中上作品は読んでいませんが、中上自身も和歌山の被差別部落の出身なのだとか。 恥ずかしながら、この本を読むまで作者の上原善広氏のことを全く知りませんでしたが、「橋下徹研究」で結構有名人だったんですね(^_^;) さて、橋下氏のことも含め、被差別部落のことをいろいろ書いてきて賛否両論ある作者のようですが、このルポルタージュ自体はなかなか良いと思いました。 エピローグで作者自身が語っているように、この旅は、作者自身の生まれた「路地」を探して再発見するためのものなのは明らかです。 こと更に差別の現実を暴き出すのでもなく、それぞれの被差別部落の人々の現在に心を寄せ、共感し、そこで自らのアイデンティティをも見出していく、そんなルポです。 この本を読んで、自分は被差別部落のことをほとんど知らなかったんだなあ、と痛感。 中上健次氏の作品も、読んでみたくなりました。
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日本全国の被差別部落を歩く旅行記。 あくまでも現在を知るための本なので詳しい歴史に関しては塩見鮮一郎なんかの本と合わせて読むのがいいかも。
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被差別部落(穢多・非人)に関するルポルタージュ。 著者も部落出身だが、解放運動の闘士ということもなく、かと言って遠巻きに見る傍観者というでもない、適度な距離感の視点がよかった。 しかし、楽しく読める本では無い。
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被差別部落問題ってなんとなくずっと心に引っかかっている。ふつうに学校の授業を受けている時間だけではこの言葉に出会ってこなかったと思う(ってもちろん私が聞いてなかっただけかもしれないけど)。それでもこれを知っているのは、高校の学校行事で行った広島旅行で、被差別部落を訪問するというコ...
被差別部落問題ってなんとなくずっと心に引っかかっている。ふつうに学校の授業を受けている時間だけではこの言葉に出会ってこなかったと思う(ってもちろん私が聞いてなかっただけかもしれないけど)。それでもこれを知っているのは、高校の学校行事で行った広島旅行で、被差別部落を訪問するというコースを選択したからだ。今よりもっともっと世間知らずだった私、「どんな特殊な地域なんだろう?」という好奇心もあって選択したわけだが、行ってみると拍子抜けというか、とても普通だった。ますます、なにがどうしてなぜ差別をされているのかわからなかった。それから大学の研究旅行の中でも、三味線作りの見学に行ったとき、「皮を扱う職業は、アレなんで、デリケートな方もいらっしゃるんで、写真撮影はダメです」とだけ言われて、今思えばそこをアレで済ませて研究旅行としてよいのか疑問、という感じで帰って来た。結局なんなん?という気持ちがずっとある。 で、こういう本を読んでみて、全てが氷解!というわけではもちろんないのですが、「で、フラットに、当事者の人はいまどんなふうに過ごしているの?」という疑問に答えてくれる良書でした。全国の被差別部落(著者はそれを路地と呼んでいますが)を取材して歩く著者の原動力が、(どちらかに偏らざるを得ない)熱い正義感、とかではなく、ご自分のルーツ探しのようなところがあって、それゆえの謙虚さというか、時には立ち入り過ぎたことは聞けず収穫少なく帰ってくることもある、まんじり、みたいな余韻も、誠実でいいなあと思いました。ルポルタージュというものをそうそう読みつけていないので、取材する者の腕としての良し悪しはわかりませんが、自分は別次元の人間だーみたいに勘違いしてガツガツえぐり取っていくような悪いイメージが、ルポライターってあったので(ごめんなさい)、知りたいことは知れたけど自分も悪いことをしたような不快感ばかりが残るようだったらどうしよう、という不安は、杞憂に終わりました。 最近、美味しいなあと思っているかすうどんが、著者によると屠殺を生業にしていた路地の料理だそうで、びっくりした。屠殺、三味線作り、芸人さん、出産の時に出る胎盤の処理、、、などなどの職業が路地とは関わりが深いようだが、どれもこれも自分だってお世話になっている大事な仕事だというのに、なぜ人は差別するのでしょうね。かすうどんは美味しいし。やっぱり理解できないなー、そう思う反面、自分はそういう謎の差別をしていない/しないと言い切れるのか?胸に手を当てて考えてみる。そういう時間をくれる本でした。
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関東に長く住んでいるためほとんど馴染みの無い、部落問題について知る事が出来た。肉屋は元々エタの仕事なんだな。今、日本人が牛肉や豚肉を食べているのが不思議な位。 自身が非差別部落出身だったら、どんな気持ちなんだろう?
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FBで友人が読んでいるのを見て、ポチったのは半年前くらい。読むにはちょっと重そうだったので、今まで読まなかった。路地とは被差別エリアのこと。路地出身者の著者が日本中の路地を廻った記録。現地のことを語りながらも自分のことを語っている気がする。自分の地元でこんな路地があるのかないのか...
FBで友人が読んでいるのを見て、ポチったのは半年前くらい。読むにはちょっと重そうだったので、今まで読まなかった。路地とは被差別エリアのこと。路地出身者の著者が日本中の路地を廻った記録。現地のことを語りながらも自分のことを語っている気がする。自分の地元でこんな路地があるのかないのかも知らないが、こんなことがまだ語られていて驚くとともに、淡々と述べる著者の力量もなかなかのもの。解説が苦役列車の西村さんというのもおもしろい。
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路地=被差別部落、そして同和。エタ、非人など、タブー視されてきた問題に力む事なく、しかし力強く迫った渾身のルポ、か?
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先日読んだ、『橋下徹現象と部落差別』にて、著者が「被差別部落出身者が、自ら育った被差別部落で売文している」と批判されていたので手に取ってみた。 全国各地の「路地」に出向いて、それぞれのルーツを探る。 ときには、著者の過去も照らしに合わせる。 この本を読むだけでは、批判すべきよ...
先日読んだ、『橋下徹現象と部落差別』にて、著者が「被差別部落出身者が、自ら育った被差別部落で売文している」と批判されていたので手に取ってみた。 全国各地の「路地」に出向いて、それぞれのルーツを探る。 ときには、著者の過去も照らしに合わせる。 この本を読むだけでは、批判すべきようなものではなく、小林健治氏と被差別部落に関するスタンスが違うだけだと感じる。まあ、小林健治氏が批判したのは、雑誌に橋下徹に関して書いたことだけならばわかるが。 個人的に被差別部落=路地というのは、かなり違和感があるが、中上健次の本を読みたくなった。
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