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凍原 の商品レビュー

3.2

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2024/07/25

この作者の作品をはじめて読みました。 シリーズもののミステリーかと思いましたが、続編は無いのかな? 一人の青年の死が、絡み合った人生の糸を浮き彫りにしていく。

Posted byブクログ

2024/06/05

シリーズかと思ったけれど、これは刑事ものにかたちを借りた、やはり桜木紫乃独自の小説だった。 これで完結しているから、シリーズにはならないのだろうな。 私は推理小説をあまり読まないので、犯人を当てたりするの苦手なのだけど、犯人が誰かということよりも、殺された被害者を巡る人々と、彼ら...

シリーズかと思ったけれど、これは刑事ものにかたちを借りた、やはり桜木紫乃独自の小説だった。 これで完結しているから、シリーズにはならないのだろうな。 私は推理小説をあまり読まないので、犯人を当てたりするの苦手なのだけど、犯人が誰かということよりも、殺された被害者を巡る人々と、彼らの歴史が印象に残る作品。 人が抱える罪は、いろいろ。

Posted byブクログ

2024/09/14

冒頭 、釧路署に小学校4年生男児の捜索願が届くところから始まります。大掛かりな捜査をするも自転車が発見されたのみで、見つからないまま捜査は 打ち切りになります。 そして 場面は1945年、樺太の地へと遡ります。ソ連軍が大挙して侵攻し焼夷弾と機銃掃射で街が破壊される中、必死に逃げ...

冒頭 、釧路署に小学校4年生男児の捜索願が届くところから始まります。大掛かりな捜査をするも自転車が発見されたのみで、見つからないまま捜査は 打ち切りになります。 そして 場面は1945年、樺太の地へと遡ります。ソ連軍が大挙して侵攻し焼夷弾と機銃掃射で街が破壊される中、必死に逃げるキクという女性の過酷な樺太引き揚げの道のりを描写していきます。 さらに 場面は映り 2009年、釧路川合流地点の湿原で成人男性の遺体が発見されます。その遺体は日本人の骨格でありながら 目だけ青いのです。捜査に当たったのはベテラン刑事 片桐と、行方不明の弟の姉、松崎比呂。 時代も人物も脈絡も全く異なるこれらの事象が1つの線に繋がっていきます。点と線がつながっていく過程で深い悲しみが浮かび上がってきます。 犯人が明かされた時、この人が犯人であって欲しくない!と 読み手である私は祈りました。 そう思う読者は多かったのではないでしょうか‥。 ベテラン 刑事の片桐も『ずっと まさかと思ってた。勘が外れることを祈りながら 足使ったのは初めてだ』こう つぶやきます。 湿原には谷地眼(やちまなこ)という現象があって、足を取られると沈んで命をも奪われるそうです。それは人の心の中にもあって、隠したい過去を埋め込んだまま凍らせていくのでしょう。 このタイトルのように‥。 過酷な樺太 引き揚げをミステリーの根幹としたのは北海道出身の作者ならではでしょう。南の沖縄だけではなく、 最北の樺太でも太平洋戦争時代 、ソ連軍によるむごい日々があったことを見つめ直さなければいけない、とあらためて思いました。 時代を行きつ戻りつして登場人物が多いことが読みづらいという評価もありましたが、メモしながら読み進めると良いかもしれません。

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2023/12/25

読み進めるのが辛い作品でした。 北方領土に関する描写は常に日本人として知らなければならないものと感じた。 現実と比較して読み進めると世界では同じようなことが続いて、作品と同じようになる方もいらっしゃるのかと考えさせられる。 辛い作品でした。 少女は、刑事にならねばならなかった...

読み進めるのが辛い作品でした。 北方領土に関する描写は常に日本人として知らなければならないものと感じた。 現実と比較して読み進めると世界では同じようなことが続いて、作品と同じようになる方もいらっしゃるのかと考えさせられる。 辛い作品でした。 少女は、刑事にならねばならなかった。 1992年7月、北海道釧路市内の小学校に通う水谷貢という少年が行方不明になった。両親、警察関係者、地元住民の捜索も実らず少年は帰ってこなかった。最後に姿を目撃した同級生の杉村純少年によると、貢少年は湿原のほうへ向かっていったという。 それから17年、貢の姉・松崎比呂は刑事となって札幌から釧路の街に帰ってきた。その直後、釧路湿原で他殺死体が発見される。被害者は、会社員・鈴木洋介34歳。彼は自身の青い目を隠すため、常にカラーコンタクトをしていた。比呂は先輩刑事である片桐周平と鈴木洋介のルーツを辿るように捜査を進めてゆく。 事件には、混乱の時代を樺太、留萌、札幌で生き抜いた女の一生が、大きく関係していた。 『起終点駅(ターミナル)』で大ブレイク! いま最注目の著者唯一の長編ミステリーを完全改稿。待望の文庫化! 【編集担当からのおすすめ情報】 最新作『起終点駅(ターミナル)が、大増刷につぐ大増刷!!! 「王様のブランチ」で特集され大ブレイク! いまもっとも書店員・書評家・編集者の注目を集める作家・桜木紫乃がおくる、唯一の長編ミステリー!

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2023/05/18

初めての桜木紫乃さん。 何て言えば良いんだろう、話は面白いし、時代が行ったり来たりする構成も無理なく分かりやすくて読み易いんだけど、ちょっと荒削り? キクの系列と比呂の系列の、2つの系列があるけど、この関連性がよく分からなくて。で、どこでどう関係してこういう事件が起きたのかがどう...

初めての桜木紫乃さん。 何て言えば良いんだろう、話は面白いし、時代が行ったり来たりする構成も無理なく分かりやすくて読み易いんだけど、ちょっと荒削り? キクの系列と比呂の系列の、2つの系列があるけど、この関連性がよく分からなくて。で、どこでどう関係してこういう事件が起きたのかがどうも腑に落ちない。そのあたりが薄くて残念だった。

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2022/11/09

会社の先輩にお借りした一冊。 この本もなかなか本の世界に入り込めず難儀してしまった。 樺太の描写になるとページを捲る速度が上がるのだが、メインの刑事側の描写、現代の事件捜査の方になると気もそぞろになって、文章が物語として頭に入ってこない(^^;; 1992年、小学校に通う...

会社の先輩にお借りした一冊。 この本もなかなか本の世界に入り込めず難儀してしまった。 樺太の描写になるとページを捲る速度が上がるのだが、メインの刑事側の描写、現代の事件捜査の方になると気もそぞろになって、文章が物語として頭に入ってこない(^^;; 1992年、小学校に通う水谷貢が釧路にある湿原にキタサンショウウオを採りに行くと友達に言い残して、帰ってこなかった。 それから17年、貢の姉、松崎比呂は刑事となり、湿原で発見された他殺死体の現場に臨場する。 被害者の会社員は、青い目をしていた。 この時間には、樺太から逃れ、激動の時代を生き抜いた女性の一生が大きく関係していた。 樺太から逃れた女性の物語をもっとメインに書いてくれたら夢中になって読めたかもしれないが?何故か刑事さんたちの方には全然感情移入出来なかった(^_^;) そして、あれ??湿原で亡くなった男性は何で殺されたの!?大事なところを流し読みしてしまったらしい(^_^;) アホや、私(^_^;) でももう一回読む気にもならず、、、このままお返ししよう。。。

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2022/01/29

この本はミステリーのようで、ミステリーではない。いつもの桜木さんの小説、強い女性の小説。 樺太のこと、何も知らないことを知りました。

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2021/11/02

新聞広告で「釧路」の文字に惹かれて第一作を読む。桜木紫乃は初めてだけど、丁寧で美しい文章を書くのだね。 よくある女性刑事物語とは一線を画す格調高い文章、(女性作家ならではの)主人公である刑事 松崎比呂のリアルな感情、脇役にも個性を持たせるキャラクター設定、などなど面白小節の要素が...

新聞広告で「釧路」の文字に惹かれて第一作を読む。桜木紫乃は初めてだけど、丁寧で美しい文章を書くのだね。 よくある女性刑事物語とは一線を画す格調高い文章、(女性作家ならではの)主人公である刑事 松崎比呂のリアルな感情、脇役にも個性を持たせるキャラクター設定、などなど面白小節の要素がすべて揃っている。 にも関わらず、本筋の事件に至るストーリーや動機がやや凝りすぎててわかりにくくなってしまったのは残念。 今度の北海道旅行では、釧路湿原ツアーを必ず盛り込もうと思った。

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2020/09/26

題名にある女性刑事松崎比呂が、『氷の轍』の大門真由同様、彼女自身が事件に深く関わりを持っている。 一方、捜査の主役は『氷の轍』と同じく片桐周平が担当する。後読みになったが、本書が先行刊行作品のようだ。 1992年7月の出来事で幕が開け、次は1945年8月の終戦前夜の話になり、そし...

題名にある女性刑事松崎比呂が、『氷の轍』の大門真由同様、彼女自身が事件に深く関わりを持っている。 一方、捜査の主役は『氷の轍』と同じく片桐周平が担当する。後読みになったが、本書が先行刊行作品のようだ。 1992年7月の出来事で幕が開け、次は1945年8月の終戦前夜の話になり、そして2009年に事件が起きる。 過去の出来事が現在の事件を引き起こす要因となるミステリーではよくある展開のパターン。 しかし、『氷の轍』同様、ミステリーというより、直木賞受賞の著者らしい文芸作品の色合いが濃い。 ソ連侵攻の樺太から逃れ、戦後の激動期を生き抜いた女性の一代記の感があり、濃霧に覆われた釧路の情景が作品に香華を添える。 捜査の過程で、片桐が比呂に告げる。 ある人物の「霧が晴れれば、今度は違うだれかの視界が曇るんだよ。水になったり水蒸気になったり、いつもどこかで曇り続けるんだ。見えない度胸も、ときには必要なんだ」 一般に、北海道には梅雨がないと言われているが、蝦夷梅雨という言葉があるのをこの書で知った。

Posted byブクログ

2020/09/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私の父は、樺太引揚者である。 今でも図書館に通い、自身のルーツが記載されているような資料を探していると思われる。(たまに大発見を見せてくれる) 元々推理小説も好きなので、この本を父にプレゼントしようかと思いながら読んだので、どうも作品に集中できなかった。 1992年、釧路での少年行方不明事件は、単純にミステリとして読んだ。 しかし、1945年8月の樺太パート。 ソ連の侵攻から逃れようとする人々の描写を、父はどう読むのだろう。 引揚者はまず函館に上陸するという記述を読み、第二の故郷として函館で成長した父は、何を思うだろう。 ミステリとしての作品以前に、樺太引揚者の気持を忖度してしまって、集中できなかった。 けれど、生きのびることだけを考えて樺太から引き揚げてきた長部キクの生き様と、釧路で殺された札幌の会社員・鈴木洋介の事件が徐々に重なりはじめた頃から、この物語の落としどころを考え考え、樺太は遠のいていった。 誰が悪いのだろうと言えば、彼も彼女も悪い。 自分の思いだけを優先した結果、人を傷つける連鎖が生まれてしまった。 特に、鈴木洋介の殺害については、何一つ悪いことをしていない彼がなぜ殺されなければならなかったのか。 青い目で生まれたことは彼の罪ではないし(彼の親の罪でもない)、自分のルーツを探すことは、自分を認める第一歩になるはずだったのに、それがなされることなく終わってしまった彼の人生は、生まれてきた意味は…。 考えるだに辛い。 彼こそは、殺される必要なく殺されてしまったから。 最初の過ちが償われていたら、彼が殺される必要は、または、別の彼が殺人犯になる必要は全然なかったのだ。 重苦しい読後感。 果たしてこれを、父に手渡していいものかどうか、今でも迷っている。 *:春採湖のそばの大型書店って、コーチャンフォーのことですね。にこにこ。

Posted byブクログ