皇帝のかぎ煙草入れ 新訳版 の商品レビュー
アメリカ人作家カーのミステリーを初めて読んだ。クラシックな、シャーロックホームズ系の犯人捜しである。なかなかよくできている。 設定はフランスの片田舎でリゾート地区に住むイギリス人家族とその隣人の話である。主人公の女性(離婚したばかり)はその美しさ故に、男性たちから嫉妬されて疑惑に...
アメリカ人作家カーのミステリーを初めて読んだ。クラシックな、シャーロックホームズ系の犯人捜しである。なかなかよくできている。 設定はフランスの片田舎でリゾート地区に住むイギリス人家族とその隣人の話である。主人公の女性(離婚したばかり)はその美しさ故に、男性たちから嫉妬されて疑惑に巻き込まれる。 向かいの家のおじいさんが何者かに殺害された。その晩は、彼以外の家族は出かけていて家には鍵もかかっていた。 こういう小説にありがちな、警察はイマイチ頭が良くなくて、代わりに探偵(本書の場合は心理学者)が謎を解いていく。登場人物全員が怪しげなのも、よくある設定だ。 ちょうどいい長さで気軽に読める。
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海外古典キャンペーン中につき初ディクスン・カー、東西ミステリーベスト100から海外版37位の本作です。 意外な犯人と言う事で、一緒に犯行現場を見ていた(風の)人が犯人、と言うこのパターンは斬新です。それでもキチンとしたフェアプレーです。 古典のこの時期に色々やり尽くされていたのかなと推察。ミステリの可能性を試す感じがちょっとアガサ・クリスティっぽいですね。翻訳本苦手だったけれど、新訳を中心に訓めば良いと気づいたので漁ってみます。☆×3.7。
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この本が書かれた1942年にすでに、トビイの考えが時代遅れの古くさい道徳観念だったということが驚きである。ミステリーとしても、小説としても面白い一冊。
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最初からかなりスリリングで引き込まれる。叙述トリックの亜流とも捉えられる種明かしは鮮やかで傑作の所以あり。
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カーのノンシリーズもの。 ゴロン警察署長は短編にも出てくるらしい。 若い美貌の女性イヴは、向かいに住んでいる婚約者の父が殺されていることを窓から発見する。数々の状況証拠により犯人とされるが、釈明しようにも、殺された夜、前夫が寝室に忍び込んでいたため証言できない。 色々な人が述べているように、凄い作品。遅ればせながら読了。カーの中でも指折りの名作だと思う。トリック、雰囲気、ストーリー全て良し。タイトルも本当に秀逸。 カーらしからぬというか、結構珍しい手法だと思うので、他のシリーズ作品を読んでからだとなお良いかも。
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正統派の犯人探しでありながら、登場人物のあの人この人がそれぞれの思惑で暗躍するあたりは、ノワール小説の手触りもあり。 灯台や動物園に象徴的な意味を持たせる、といった小技も利いてるし、各章末の「引き」も上手くて引き込まれました。これほど盛り沢山に、技巧をこらし(それなりに)複雑な...
正統派の犯人探しでありながら、登場人物のあの人この人がそれぞれの思惑で暗躍するあたりは、ノワール小説の手触りもあり。 灯台や動物園に象徴的な意味を持たせる、といった小技も利いてるし、各章末の「引き」も上手くて引き込まれました。これほど盛り沢山に、技巧をこらし(それなりに)複雑なプロットを組み立てていながらも、どこか風通しが良くて詰め込み感がないのは、作者の筆力の為せる技ではないか、と思います。 あと、やっぱり駒月雅子訳は読みやすくて良いな、と。
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☆4.5 カーは『死者はよみがえる』しか読んだことなかったが、個人的にはこっちの方が面白かった。 トリックや結末、どちらも良かった。探偵役が真相を告げるのは最後、というミステリあるあるにリアリティが付されているところも好きだ。 難事件に巻き込まれた一家のヒューマンドラマのような側...
☆4.5 カーは『死者はよみがえる』しか読んだことなかったが、個人的にはこっちの方が面白かった。 トリックや結末、どちらも良かった。探偵役が真相を告げるのは最後、というミステリあるあるにリアリティが付されているところも好きだ。 難事件に巻き込まれた一家のヒューマンドラマのような側面もあり、ミステリと上手く融け合っている。
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カー作品を初めて読んだ。古典と言われるだけあって、素直に面白かった。犯人当ての点でいうと、この人だけは違うよな、と無意識に除外してしまっていた。宝石の破片がイブのパジャマに付いていた、という一点だけからでも犯人に迫れたはずなのに、綺麗にしてやられた。 他の作品も読んでみようかな。...
カー作品を初めて読んだ。古典と言われるだけあって、素直に面白かった。犯人当ての点でいうと、この人だけは違うよな、と無意識に除外してしまっていた。宝石の破片がイブのパジャマに付いていた、という一点だけからでも犯人に迫れたはずなのに、綺麗にしてやられた。 他の作品も読んでみようかな。
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アメリカの作家ジョン・ディクスン・カーの長篇ミステリ作品『皇帝のかぎ煙草入れ(原題:The Emperor's Snuff-Box)』を読みました。 『蝋人形館の殺人』、『帽子収集狂事件』に続きジョン・ディクスン・カーの長篇作品です。 -----story------...
アメリカの作家ジョン・ディクスン・カーの長篇ミステリ作品『皇帝のかぎ煙草入れ(原題:The Emperor's Snuff-Box)』を読みました。 『蝋人形館の殺人』、『帽子収集狂事件』に続きジョン・ディクスン・カーの長篇作品です。 -----story------------- フランスの避暑地ラ・バンドレットに暮らす若い女性イヴは、婚約者トビイの父サー・モーリス殺害の容疑をかけられる。 夜更けの犯行時には現場に面した自宅の寝室にいた彼女だが、部屋に忍びこんだ前夫ネッドのせいでアリバイを主張できない。 完璧な状況証拠も加わって、イヴは絶体絶命の窮地に追いこまれる──。 「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」とアガサ・クリスティをして驚嘆せしめた、巨匠カー不朽の本格長編。 解説=戸川安宣 ----------------------- 1942年(昭和17年)に刊行されたノン・シリーズものの長篇作品でカーの中期の代表作… 『東西ミステリーベスト100』では、海外篇の37位にランクインしている作品です。 北フランスの避暑地ラ・バンドレットで、英国人サー・モーリス・ローズが深夜、秘蔵の煙草入れもろとも頭を打ち砕かれて殺されるという陰惨な事件が起った… いくつかの状況証拠から、殺人容疑は、ローズ家の向いに住みサー・モーリスの息子トビイと婚約中のイヴ・ニールにかかった、、、 ところが、事件当夜、彼女は前夫ネッド・アトウッドと窓越しに惨殺現場を見ていたのだ… その夜、ネッドがイヴの家の寝室に忍びこみ復縁を迫り、ネッドに部屋から出て行くよう訴えている最中、イヴは向かいの家で殺害されたサー・モーリスと、茶色の手袋をはめた犯人と思しき人物が部屋から出て行くところを目撃していたのだ。 婚約者の手前、無実の証に前夫を持ち出す訳にもいかないイヴは、抗弁できぬままにいよいよ追い詰められてゆく……。 綿密な筋書の下に演出された完璧とも思える殺人劇の全貌とは? アリバイ崩しを扱った本格ミステリの名篇として名高い著者の代表作! 序盤からぐいぐいと物語の中に惹き込まれて、その後も緊張感が途切れない展開で愉しめましたー 心地良く騙されましたね… これまでに読んだジョン・ディクスン・カーの作品の中では本作品が断トツ1位の面白さ、、、 解説もとても親切で、知らず知らずにミスリードさせられていた記述も振り返ることができ、トータルで愉しめる一冊でした。 かぎ煙草入れ って、どんな形状のものか全く想像がつかなかったのですが… これは登場人物にとっても似たような状態だったんですねー 「拡大鏡を手に、かぎ煙草入れみたいなものを熱心にご鑑賞中だからね」という言葉にどれだけの重みがあるかなんて考えないですよね… 伏線もしっかり回収してあるようなので、結果を知ってから読み返すのも面白いかも。 イヴとキンロス博士には幸せになって欲しいですね。 以下、主な登場人物です。 イヴ・ニール 美貌で裕福な女主人公 ネッド・アトウッド イヴ・ニールの前夫 トビイ(ホレイショー)・ローズ イヴ・ニールの婚約者 サー・モーリス・ローズ トビイの父。骨董品収集家 ヘレナ・ローズ トビイの母 ジャニス・ローズ トビイの妹 ベンジャミン・フィリップス ヘレナの兄 アリスティード・ゴロン ラ・バンドレットの警察署長 ダーモット・キンロス博士 ゴロン署長の友人。精神科医 イヴェット・ラトゥール イヴ・ニールの女中 プルー・ラトゥール イヴェットの妹。トビー・ローズの愛人 ヴォトゥール 予審判事
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初カー。面白かったです。探偵役がしっかり立ち回り、最後暴露されながら回収されて行ったのがミステリーらしい終幕。 少し火村さんかよぎりつつ勝手に親近感。少し読んでからなんとなく入り込めなくて積読のまま1年経ち、やっと読みましたが読みやすいしわかりやすいし、行動範囲も簡潔で王道感あり...
初カー。面白かったです。探偵役がしっかり立ち回り、最後暴露されながら回収されて行ったのがミステリーらしい終幕。 少し火村さんかよぎりつつ勝手に親近感。少し読んでからなんとなく入り込めなくて積読のまま1年経ち、やっと読みましたが読みやすいしわかりやすいし、行動範囲も簡潔で王道感ありました。
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