きみはいい子 の商品レビュー
心に残る一言 「たとえ別れても、二度と会わなくても、一緒にいた場所がなくなってしまったとしても、幸せなひとときがあった記憶が、それからの一生を支えてくれる。どんなに不幸なことがあったとしても、その記憶が自分を救ってくれる。」
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学級崩壊や虐待など現代社会が抱えてる負の部分に焦点をあてた短編集で、何気なく一話目で出てきたおばあちゃんが実は四話目のメインという、ちょっとした発見もあったりしました。全部解決って訳じゃないけど、最後にほんの少し、希望が見えるような終わりかたなので終始暗い気分ではなくなるのが救いでした。作者の主人公たちに寄り添うようなやさしい感じの文章はすきです。「幸せな人でないと幸せは分けられない」「この記憶が将来子どもたち絶望を感じたときの救いになってほしい」など所々刺さった言葉もありました。
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虐待と言う一つの共通点を軸に進む、痛々しくてやり切れないお話がベースなれど、ほんの少しの誰かの優しさや思いやりがかすかな希望となってくれる、心揺さぶられる一冊。 ”どんなに不幸なことがあっても、このひとときの記憶が、いつか、この子達を救ってくれますように・・・”と祈る父親の心情が、あたたかくも切ない。
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厳しくて切ない現実を突きつけられる本。 同じ立場になったとき、わたしはどう動けるのかな。 「しあわせってなんだっけ。しあわせは?」
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親子や家族にも相性がある。 親の考え方や親の事情で辛い状況にある子どもたち。でもまだ生きている、生かされているということは、誰かからは認められているということなのだ、たとえそれがすぐ目の前にいる人からでなかったとしても。 五つのお話の最後はどれもそのように思わせてくれる。
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虐待をめぐる、1つの街の5つの話。愛されて満たされて、幸せな人にしか、幸せをわけてあげることはできない。叩く気持ちも、叩かれる気持ちも、叩き叩かれた記憶も、痛いほど伝わってくる。
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いい思い出も忘れたいような記憶も、記憶にふり回されるというどうしようも無い哀しみがそこかしこにあった。 自分が子どもを産む以前はそれは自身の問題として自分(おのれ)が悪いんだと思っていたけれど、今はそういうことも受け入れていいんだなと思える。誰にでも、憎しみもまたどうしようも無く...
いい思い出も忘れたいような記憶も、記憶にふり回されるというどうしようも無い哀しみがそこかしこにあった。 自分が子どもを産む以前はそれは自身の問題として自分(おのれ)が悪いんだと思っていたけれど、今はそういうことも受け入れていいんだなと思える。誰にでも、憎しみもまたどうしようも無くあるもの。 そしてそれは、悪いことではないのだということ。
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この本を原作にした映画(呉美保監督)を鑑賞。題材自体はそれほど目新しいものではないのだが、そこの描き方がやっぱりこの監督は違う。単に弱者に寄り添うとか、共感するとか、そういうきれいな、そして既製の枠組で捉えるのではないところも、そして主人公たちが「絵に描いた餅」のような成長を遂げ...
この本を原作にした映画(呉美保監督)を鑑賞。題材自体はそれほど目新しいものではないのだが、そこの描き方がやっぱりこの監督は違う。単に弱者に寄り添うとか、共感するとか、そういうきれいな、そして既製の枠組で捉えるのではないところも、そして主人公たちが「絵に描いた餅」のような成長を遂げるのではなく、ほんのちょっとだけ変わっていく、というところも自制が効いた描写になっている。ことにエンディングは「これ以外にないよな」という結び方。参りました。それにしても子役たちの演技がめちゃくちゃすごい。4歳の女の子もそうだし、自閉症児を演じていた子もそうだし、そして、学級崩壊寸前だった4年生のクラスメートたち! どれもが奇跡みたいな演技で、この監督はただものではない、とますます思いました。
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学校の新米先生の気持ちが手に取るようにわかる。作者は学校関係者?! それはさておき、静かな流れの中で少しずつ重なる物語。求めても与えられない愛情。親でなくても誰かから与えられたとき、人は救われるんだなと。ただし、一番欲しい人からはもらえないのが切ない。
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映画は見てないけれど、個人的には「うそつき」の最後のくだりが好きです。 もう2度と会えなくても、楽しかったひとときの記憶がその人を支えてくれるということ。 虐待がテーマだけど、重すぎす、ほのぼのとした描写も多く読みやすい。
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