ブレイズメス1990 の商品レビュー
この小説を彩るのは「チームバチスタ」などで見られた医療&サスペンスではなく、医師天城雪彦自信に満ちた饒舌。小説のメインディッシュとなるべき手術は終盤に配されているから、それまでずっと彼の饒舌を聞き続けることになる。何故に彼は語り続けるのか。彼が語りたかったことは次第に明らかになる...
この小説を彩るのは「チームバチスタ」などで見られた医療&サスペンスではなく、医師天城雪彦自信に満ちた饒舌。小説のメインディッシュとなるべき手術は終盤に配されているから、それまでずっと彼の饒舌を聞き続けることになる。何故に彼は語り続けるのか。彼が語りたかったことは次第に明らかになる。それは、20年前から見た日本の医療の未来、すなわち医療の現在である。 高齢化故に心臓病患者は多く、心臓外科病院は乱立する。平均術例数が年間100件を下回るという現状には厚労省も危機感を持っているようだが、施設が貧弱だろうと専門医がいなかろうと、増え続ける患者を待ち受けるにはまずは看板を掲げて・・・という心臓病医療の現実。 そんな未来をどこまで予想したのかは知らないが、地方医大に過ぎなかった東城医大の佐伯教授は身分不相応でも世界的第一人者を招聘し、招かれた天城は高度医療に耐えうるハートセンターの立ち上げを目指す。高度医療は経済原理に支えられる、とする天城に金持ち優遇と反発する医師たち。天城の技術とロジックの前に彼らの反発は押し潰されて、この小説は終わる。 東城医大がバチスタ術の第一人者を得たのは、先人たちが未来を真剣に考えていたから、ということなのだろうか。大きな流れの中の一冊なので、この小説単体では不満足感が残るかもしれない。少なくともちゃんと「バチスタ」を読んでからにすればよかった。
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海堂さんのシリーズ、やはり楽しく読めた。医療用語は分からないけど、いろんな展開があって、先を読みたいと思わせる構成になってます。
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医療をテーマにした小説を初めて読んだ。 多分、初めてだと思う。 思ったよりもずっと軽い感覚で読めた。 普段、触れることのないテーマだったから、サクサク読めるのはありがたい。 キャラが立っていて、大筋が分かりやすい。 初めての医療小説としては、正解だったと思う。 読んでいて、...
医療をテーマにした小説を初めて読んだ。 多分、初めてだと思う。 思ったよりもずっと軽い感覚で読めた。 普段、触れることのないテーマだったから、サクサク読めるのはありがたい。 キャラが立っていて、大筋が分かりやすい。 初めての医療小説としては、正解だったと思う。 読んでいて、「いろいろ伏線を張っているんだろうな」と思うところがちらほら。 他の作品を読んでみないと確認できないけど。
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待ちに待った久しぶりの海堂作品文庫化。 壮大な「桜宮サーガ」の一端がまたひとつ語られ、次はどこに繋がるのだろうと期待が高まる。 『ブラックペアン』でデビューし、『極北クレイマー』で再登場(文庫では)するまでに、世良は天城雪彦という重要な人物に出会い、影響を受ける。 このあと、...
待ちに待った久しぶりの海堂作品文庫化。 壮大な「桜宮サーガ」の一端がまたひとつ語られ、次はどこに繋がるのだろうと期待が高まる。 『ブラックペアン』でデビューし、『極北クレイマー』で再登場(文庫では)するまでに、世良は天城雪彦という重要な人物に出会い、影響を受ける。 このあと、世良がどのような経緯で、病院を再生させるのか(させないのか?)、早く『極北ラプソディ』を読みたい。
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相変わらずおもしろい&かっこいい!シリーズ屈指のエキセントリックな外科医・天城雪彦のはじけっぷりは圧巻。そして後半、「チーム・バチスタ」を暗示するエピソードに「そう繋げるか!」という驚きが。 公開手術のくだりについては、「外科医・須磨久善」を読んでおくと臨場感が上がること間違いな...
相変わらずおもしろい&かっこいい!シリーズ屈指のエキセントリックな外科医・天城雪彦のはじけっぷりは圧巻。そして後半、「チーム・バチスタ」を暗示するエピソードに「そう繋げるか!」という驚きが。 公開手術のくだりについては、「外科医・須磨久善」を読んでおくと臨場感が上がること間違いなし。
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前作より登場人物が濃い。 相変わらず作者の主張は明確だが、その象徴としての主人公はどんどん濃いキャラクターになっていく。 初期から登場しているキャラクターは、そのうち普通の人になってしまうのでは!? まあ、期待通り面白かったんで、シリーズの次作を楽しみに待ちます。
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超面白い。海堂作品ではひかりの剣、ジェネラルルージュ、あたりがすごい好きだったけどこれも負けじと面白い。 高階がちょっと小さくまとまってるのと、それと対照的な天城の存在が今後どうなっていくのか気になる。 高階ほどの人物も、こういう時期があるのねと。 あと、公開手術後(術中に...
超面白い。海堂作品ではひかりの剣、ジェネラルルージュ、あたりがすごい好きだったけどこれも負けじと面白い。 高階がちょっと小さくまとまってるのと、それと対照的な天城の存在が今後どうなっていくのか気になる。 高階ほどの人物も、こういう時期があるのねと。 あと、公開手術後(術中にバチスタ手術についての言及があった上で)に桐生が出てくるシーンはこれファンにとってはたまらなすぎる! なんとまあみんな意思が強くて口の上手いキャラの多いこと多いこと。
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作者のしかけの巧みさには舌をまく。 よくもまあ,こんなにも広く展開できるものだ・・・。 とは言っても 一人一人の人生すべてにドラマがあることを思えば そうしたものを丁寧に描いているに過ぎないのかもしれないが。 それにしても,さすがだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
それで、結局ハートセンターはどうなっちゃったの? 話がブツっと切れているから消化不良を起こしそうだ。91年が舞台の『ジェネラルルージュの伝説』では世良医師は普通に東城大病院に勤務していて、その後を扱ったシリーズのいずも《スリジエハートセンター》など出てこないことから、実現化しなかったのだろうと思われる。 本書で登場する天城雪彦は、モロッコのカジノで豪遊し、VIPクラスの患者ばかりを相手にする天才外科医。その上金の亡者というわかりやすい負のキャラクター。ドラマ化したら似合いそうなのが、若い頃の田村正和。ちょっと有り得ないキャラだけに面白い。 若い頃の桐生恭一や桜宮院長と三姉妹などが顔を覗かせるのもシリーズならではの楽しさの1つ。シロサキという日系のモナコの王族が出てくるが、『ナイチンゲール』に出てくる城崎となにのか関係があるのか非常に気になる。 世良は『ブラックペアン』では高階と渡海という二人の優秀な医師からそれぞれ目にかけられるが、本書でも天才・天城に気に入られたことから物語が展開する。どうもこの人は世渡りの達人といえそうだ。それが証拠にここでも《ラッキー・ボーイ》と呼ばれている。 ここに出てくる世良はブラックペアンの世良とは重なるが、『極北クレイマー』の《救世主》と重ねるのはむずかし。天城からかなりの影響を受けたと思われるが、その後世良の身に何が起こったのか知りたい。 もっとイメージ異なるのが高階医師。『バチスタ』の院長とも『ブラックペアン』の小天狗とも重ならない。この辺りの辻褄が合うような繋ぎの物語が是非読みたい。そして本書で世良と恩師である高階の関係がぎくしゃくしてきたが、その後どうなったのかも興味をそそる。
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特に事件とか、謎解きがある訳やないのに読み出したら止まれへんのは 出て来るキャラクターが魅力的なんやろな。 天城先生って他の話しに出て来たんやとか?全然覚えてない…ww
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