感性の限界 の商品レビュー
限界シリーズ第三弾は不合理性、不自由性、不条理性について。愛・自由・死とは何か。哲学的な問題だが、科学的にそれらの問題についてせまる。
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前2作よりも話題が散漫でややもの足りなく感じるものの、読みやすさと話題の幅広さは健在でやっぱりこのシリーズはおもしろい。 人間の構造的限界を自分個人やこの社会特有の欠陥だと勘違いして、無駄に嘆いたり縮こまったりしてしまわないようにも、前向きに生きるためにも限界を知ることは大切。 ...
前2作よりも話題が散漫でややもの足りなく感じるものの、読みやすさと話題の幅広さは健在でやっぱりこのシリーズはおもしろい。 人間の構造的限界を自分個人やこの社会特有の欠陥だと勘違いして、無駄に嘆いたり縮こまったりしてしまわないようにも、前向きに生きるためにも限界を知ることは大切。 シリーズを通して様々な限界を知るにつれて、方法論的虚無主義者の言葉がどんどん魅力的に感じてくる。何も信じずになお苛烈!
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著者による限界シリーズもこれで3作目となる。映画などでは大抵3作目はズッコケる事が多いように感じるが、本書に関してはその心配は全くない。 今回は行為、意志、存在の限界について言及されている。哲学と科学の思想を行ったり来たりしながら話が進んでいくので、非常に難解かと思いがちだが、こ...
著者による限界シリーズもこれで3作目となる。映画などでは大抵3作目はズッコケる事が多いように感じるが、本書に関してはその心配は全くない。 今回は行為、意志、存在の限界について言及されている。哲学と科学の思想を行ったり来たりしながら話が進んでいくので、非常に難解かと思いがちだが、これまでのシリーズ同様に個性的な科学者や登場人物のディスカッション形式で進んでいくので非常に読みやすい。このパターンは他のややこしい学問分野でもかなり使えるように思う。 そして本書を含むこのシリーズにおいて非常に気に入っている点として、上記した「哲学と科学の思想を行ったり来たり」する事が挙げられる。現代科学の殆どは伝統的哲学を無視して語られる分野が殆どなくなってきている。言ってしまえば「何を言ってるか良く分からない哲学も科学的にアプローチすることで合理的に読み解ける」場面が増えてきているということだ。本書はそれをとても上手に表現していると感じている。 あまり内容に触れるとネタバレになってしまい、読む楽しみが減ってしまうので書かないでおきます。少しでも哲学に興味がある人が最初に手に取る本としても非常にオススメである。どうせなら過去作の「知性の限界」、「理性の限界」もまとめて読んでしまうと良い。こんなにさっくりと読めて哲学から科学につながるエッセンスを堪能できる本は中々見つからない。良書です。 著者のtwitterを見ていると現在ファイヤアーベント(このシリーズに出てくる方法論的虚無主義者の知性的依り代)について執筆中との事。私はシリーズを通して方法論的虚無主義者のファンなのだが、本作ではあまり出番が少なかったように感じる。次回作では主役のようなので是非、お得意の極端議論(私にはそう見える)をぶちまけることを楽しみにしている。
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意思と意志。必ずしも合理的でない、理屈でない選択をする、ヒトの思考・行動の背景を深く考えさせるガイドブックだった。 「限界」シリーズ残りの二冊も読んでみよう。 メモ〉 ヒトの認知活動→ 二重課程モデル(共存する) ・ヒューリスティック処理システム(直感的) ・分析系・系統系システム(分析的) 認知的不協和→負け惜しみ フレーミング効果→得をするフレームではリスクを避け、損をするフレームではリスクを冒そうとする。 意志と意思 ・理性的、知性的に思考する意思 ・感性的な自発性を主体とする意志(哲学的) 不条理から逃れる方法 自殺、盲信、反抗 小集団の論理 共感や排他など感情的な結合からなる、カルト教団の論理 愛と自由と死 感情が支配する幻想から逃れられない自己世界。 理屈じゃない事を理由付けしようと、考え、悩み、論理化に挑みつづけて来た、一つの形が哲学なのだろう。
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限界シリーズはこれで完結かな?シンポジウムでのテンポ良い雑談形式で,不合理で不自由な意志決定,そして「死」から逃れられない人間存在の制約を見事にまとめている。 前々作『理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性』では,選択の限界・科学の限界・知識の限界を,前作『知性の限界――...
限界シリーズはこれで完結かな?シンポジウムでのテンポ良い雑談形式で,不合理で不自由な意志決定,そして「死」から逃れられない人間存在の制約を見事にまとめている。 前々作『理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性』では,選択の限界・科学の限界・知識の限界を,前作『知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性』では,言語の限界・予測の限界・思考の限界を,全く同形式で噛み砕いて解説。知的好奇心を存分に満足させてくれる。 本書では行為の限界・意志の限界・存在の限界がテーマ。とっつきにくい哲学話がかるーく読めるから,ぜひ三冊セットで読みたい。よくこれほど綺麗にまとめられるものだなぁ。ただ,著者もあとがきで言っているように,議論に飛躍や漏れもあるので参考文献でより深く学んでほしいとのこと。
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「愛とは何か」「自由とは何か」「死とは何か」といったテーマについて、哲学や科学、生理学といった様々な学問の専門家が討論を繰り広げる本。 結論としては、「誰も本当のところは分からない」んだけど、分からないことを「真剣に理解しようと努力する姿勢」が大事ということを感じさせてくれる一冊。
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肯定するか,否定するか,許容するか,嫌悪するか,世の中には多様な人がいる. 社会科学,特に行動認知学や行動経済学,社会心理学が近現代において発達し,社会に大きく影響を及ぼしたか, 一方で,自然科学--物理学,数学や生理学,進化学の観点からみる人間の「自由意志」や「欲求」. それを踏まえて意志とは,認知とは,自分とは,愛とは,死とはなんなのだろうと,登場人物たちと共に思索し, 自分や人類の中にある,自立的なシステム,分析的なシステムの二項対立,そして「限界」を明らかにします. しかし,不条理や不確定性に満ちた世の中に対してネガティブな虚無感に陥るのか,はたまた「果敢に限界に挑戦し続けている」「信じられないほどポジティブな人間の姿」を見るのか. 最後の,近代科学の功罪,全体主義のなかにある人間の歪み,冷戦に対する言及,SF的未来社会説の部分が,読み応えがありました.なぜなら,この章がこの本のなかで最も,人類の未来に関わる部分だったからです. 読みやすいですので,お勧めいたします.
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理性•知性に続く3 部作。独特の形式は読みやすいが、多様な視点を詰め込むが故に寄せ集め的な感覚が拭えず、内容にも目新しさはない。若い人向けの入門書としては良いかも。
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限界シリーズ第三弾。基本的には心理学・とか形而上学的な話題が多かったと思う。特に面白かったのはアイヒマン実験の部分。人間の本質的な実験だと思う。何か三冊通して色々な学問の入門書的な感じになると思う。
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行為、意志、存在の限界をシンポジウム形式で語りあう著作です。哲学的テーマでありながら科学的考察が加えられとても知的好奇心を刺激されます。私という概念は幻想であるのでは?という問いかけに対し考え続けてみようと思います。
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