おそろし の商品レビュー
心に傷をおった主人公が、同じように心に傷を抱えた人たちの話を聞くことを通して、立ち直っていくストーリー。短いストーリーの積み重ねで読みやすい。宮部みゆきは法律関係の仕事をしていたみたいで、男女や親子の愛憎の機微を描くのが上手く、時代物の描写の優れていて一つ一つの物語にとても共感で...
心に傷をおった主人公が、同じように心に傷を抱えた人たちの話を聞くことを通して、立ち直っていくストーリー。短いストーリーの積み重ねで読みやすい。宮部みゆきは法律関係の仕事をしていたみたいで、男女や親子の愛憎の機微を描くのが上手く、時代物の描写の優れていて一つ一つの物語にとても共感でき、とてもおもしろい。人情物、ミステリ、時代物、語り物などの要素をもったこの作品はオリジナリティがあり、画期的で素晴らしい。 ただ、最後の結末になるとRPGゲームのエンディングのようなストーリーで終わらせることを急いでいるようなに感じるのが残念だった。「日暮らし」、「ぼんくら」、「おまえさん」のように全体的なストーリーに安心できる落ちがあれば、もっと納得される作品になると感じた。
Posted by
宮部みゆきの書く時代物がけっこう好き。 この作品はほどよい長さで、しかも連作短編のような形式なので、読みやすかった。 内容も重過ぎず軽過ぎず、怖くて面白くて、それでいて読後感は意外なさわやかさ。 17歳のおちかは、自身が関わるある事件のために心を閉ざし、叔父夫婦の営む袋物屋で奉...
宮部みゆきの書く時代物がけっこう好き。 この作品はほどよい長さで、しかも連作短編のような形式なので、読みやすかった。 内容も重過ぎず軽過ぎず、怖くて面白くて、それでいて読後感は意外なさわやかさ。 17歳のおちかは、自身が関わるある事件のために心を閉ざし、叔父夫婦の営む袋物屋で奉公人のようにして働くことで、どうにか気を紛らわして生きていた。 未来への希望もなく、罪の意識にとらわれたままのおちかだったが、ある日、店を訪れた客の不思議な話を聞いたことをきっかけにして、その気持ちに変化が現れ――というお話。 おちか自身の身の上話を含め、よく練られた話が次々と展開し、「物語を読んでいる」という醍醐味を味わえる。 人間というものの欲望やあさましさ、愛おしさを織り込みながら、ただの怪談話にしないところが、宮部みゆきらしい。 限りなく星5つに近い星4つ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
それぞれの因縁が切なく悲しかった。 そのエピソードが良かっただけに最後のRPG風な流れが合わなかった気がする。 良助さん、せっかく更正したのにあんな殺され方で、挙句におちかさんに思い出されもせず気の毒に。 でも、面白くて一気に読んでしまった。
Posted by
第二話「凶宅」は鳥肌が立つほどぞっとしたけど、結局最後はICOみたいというか、いつものRPG的な描写になってしまったのがちょっと残念。
Posted by
良い意味で、NHKの朝の連続ドラマ小説を見ているような、 人情と文化とちょっとした不思議と、 そういうバランスが非常に良く取れた大衆小説だった。 江戸の大きな商店や旅籠の様子も目に浮かぶようで、 そこで働く人々の姿も温かく描かれていて引き込まれる。 一緒に商売して、掃除して、ご飯...
良い意味で、NHKの朝の連続ドラマ小説を見ているような、 人情と文化とちょっとした不思議と、 そういうバランスが非常に良く取れた大衆小説だった。 江戸の大きな商店や旅籠の様子も目に浮かぶようで、 そこで働く人々の姿も温かく描かれていて引き込まれる。 一緒に商売して、掃除して、ご飯食べて、感動して…と、 気がつくと喜怒哀楽を共にしている感じ。 楽しかった。 この取っ付きやすさは、 作品全体にどこか漫画的な要素が漂っていることも関係していると思う。 シンプルな伏線と分かりやすい展開、 花や鏡の中に垣間見える亡き人の顔、 いかにもな感じのあの世とこの世の仲介人の存在など、 漫画だったら十八番な種があちこちに埋め込まれ、 また、その種が見事に花開いている。 あまり読み手を選ばない作品というか、 怪異や江戸といったキーワードが目に付きやすいものの、 その本質は人情の織り成すヒューマンドラマになっているので、 老若男女問わず純粋に楽しめるのだと思う。 むしろ逆に、 その漫画的なところに物足りなさを感じる人もいるかもしれない。 個人的には、 テーマもストーリー展開もいつの間にかその世界に引き込まれて どっぷりその世界にはまっていたので、 これといった不満はないのだが、 唯一挙げるなら、 人を殺めるに至ったいくつかの事件のその「きっかけ」の部分が、 たまたまカッときて、とか、 魔が差して理性を失って、とか、 そういう「その場の勢い」的なもので ほとんど片づけられてしまっていた点が少々合点がいかなかった。 それでは、事件の発端は全て人の一瞬の狂気が原因、 ということで全て片づけられてしまう。 (まぁ、敢えてそうしたのかもしれないか。) 計画的なものや、本来の意図は違うところにあるとか、 実はその行為の裏に別の黒幕がいた、など、 多少のバリエーションはあっても良かったのではないか。 その方がむしろリアリティが出るというか、 納得もできるし話に深みも出るような気がする。 その点以外は、一気に江戸の町にワープして、 不思議な話をあれやこれやと見聞きした気分になれて、 楽しかった、としか言いようがない。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ちょっと浮いてる感じ。なんつーか、話が入ってこない。あとどうにも丁寧なのか伏線、言葉使いがわかりやすく先の展開がドンピシャで分かってしまうのがマイナス。
Posted by
あからさまな妖怪が登場する話ではなく、様々な人の色々な生き方によって生まれたものを怪異として、主人公のおちかを聞き手として進む物語。それぞれの怪談も面白いが、徐々に自分の心と立ち会おうとするおちかの思考や年相応のふるまいなどもいい。最後はどっぷりファンタジーの夢世界に突入して、意...
あからさまな妖怪が登場する話ではなく、様々な人の色々な生き方によって生まれたものを怪異として、主人公のおちかを聞き手として進む物語。それぞれの怪談も面白いが、徐々に自分の心と立ち会おうとするおちかの思考や年相応のふるまいなどもいい。最後はどっぷりファンタジーの夢世界に突入して、意外に思ったけれど総じて楽しかった。次文庫版が出たらまた読もう。
Posted by
少し変わった百物語。 読み進めていくうちに、自分も主人公と同じように話を聞いているような気分になって、先が気になってしょうがなかったです。 最後は様々な伏線もきちんと回収されてすっきり。 おもしろかったです。
Posted by
【おそろし 三島屋変調百物語事始】宮部みゆき/ 怖いというより物悲しく、ストーリーは面白く、引き込まれます。宮部さんらしい人情味も感じられて良かったです。
Posted by
主人公のお嬢さんが立ち直るの、というか強くなるの早すぎないか?ラスト付近の冒険っぷりに少々強引さを感じながらもあっという間に読み終えたのは宮部みゆきの腕なんでしょうね。こういうの嫌いじゃないから続きも読みますけどね。
Posted by