いま集合的無意識を、 の商品レビュー
戦闘妖精・雪風のパイロット、零の少年時代のスピンオフ「ぼくの、マシン」 バラバラ死体を奇妙な形に設置した殺人事件。謀殺課とDJ探偵との攻防「切り落とし」 精神感応力を失いつつある少年が、母親の部屋で見つけたモノ「ウィスカー」 猫とマハとの類似についてのドゥウェル氏の心の声。...
戦闘妖精・雪風のパイロット、零の少年時代のスピンオフ「ぼくの、マシン」 バラバラ死体を奇妙な形に設置した殺人事件。謀殺課とDJ探偵との攻防「切り落とし」 精神感応力を失いつつある少年が、母親の部屋で見つけたモノ「ウィスカー」 猫とマハとの類似についてのドゥウェル氏の心の声。マシンの自我とは「自・我・像」 多世界解釈を巡るスペースオペラ「かくも無数の悲鳴」 伊藤計劃『ハーモニー』と3・11後のフィクションの可能性を考察する「いま集合的無意識を」 以上の6編の短編集。 「自・我・像」は既読。 雪風シリーズのファンとしては、「ぼくの、マシン」収録がうれしいところ。 他の作品も併せて読んでみて、パーソナルであることについて、じっくり考えさせられました。
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『ぼくの、マシン』、改めてパーソナルなコンピュータについて考えてしまう。零が可愛くてエディスが嫌いだ。『切り落とし』、ミステリー珍しい。『ウィスカー』、ナイーヴさが堪らない。『自・我・像』、混乱する、それが楽しい。『かくも無数の悲鳴』、くそくらえだ!好きだ!『いま集合的無意識を、』、心配ないのか、そうか。ありがとう。胸熱。言葉使い師に乾杯。
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伊藤計劃の「ハーモニー」に対しての書評を「フィクション」でするってのが面白くて。あ〜分かるみたいなね。雪風番外が好きです(笑)続き書いてください!(切実)
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かなり今風のSF小説。IT好きの人ならたまらないんじゃなかろ〜か。世界観がとても新鮮でした。他の作品も読んでみよ〜っと!
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神林長平さんの著書。 彼の作品は初めて読んだ。元々、この作品を手に取ったのは、伊藤計劃の名を見たからだった。 全体的なテーマである集合的無意識は神林さんの10年の作品集でもある、集大成な内容である。その帰結が、そのタイトルの作品であり、故、伊藤計劃と著者が対話するというなんともワクワクする展開である。 目次 ぼくの、マシン 切り落とし ウィスカー 自・我・像 かくも無数の悲鳴 いま集合的無意識を、 あのDan Kogaiも本書を絶賛している。 http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51778236.html 主なテーマで集合的無意識とパーソナルとネットワークについての2つがあるように思える。 集合的無意識による没個性の怖さなども感じられるし、ドゥエル氏の話も色々と考えさせられる。 集合的無意識的な話題を見ると、攻殻機動隊の傀儡回しや名もなき11人やPlutoの60億人シミュレートを想起する。 前者は、広大なネットが1つの個を作り出すし、後者は60億の個をシミュレートし、目覚めさせるにはある種の極端な方向付けが必要とされた。 しかし、何より最後の作品である。 3.11の大震災を経た後に、圧倒的なリアルに対抗するために優れたフィクションが必要であると考え、現代の作家へのエールも兼ねている内容に、伊藤計劃との対話を持ってきたのだ。 すごく感じることが多かったのだが、今浮かんでくる言葉で記述するとすごく陳腐なものになってしまうような気がする。 計劃のファンであれば是非とも読んでほしい作品だ。 星5つ!
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神林長平の久々の新作なんで、期待しすぎた。 個人的にネットはSFの題材として、目新しさが薄い。現実が近すぎる。 楽しめたが、少し物足りない。
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意識と無意識の狭間とは何か。中陰空間。仮想空間。精神感応が刺激される。色即是空、空即是色。自我量子論、自我唯識論、唯我独尊論。そして、伊藤計劃。「ヒトが〈意識〉を喪失するということは、〈わたし〉を失うことだ。《中略》でも、すべての〈わたし〉が消えるというのは、人類がフィクションを...
意識と無意識の狭間とは何か。中陰空間。仮想空間。精神感応が刺激される。色即是空、空即是色。自我量子論、自我唯識論、唯我独尊論。そして、伊藤計劃。「ヒトが〈意識〉を喪失するということは、〈わたし〉を失うことだ。《中略》でも、すべての〈わたし〉が消えるというのは、人類がフィクションを失うということでもあるんだ。」いま、我々は意識革新を問われている。雪風シリーズ、スピンオフ!
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とりあえず読了。 意識と無意識に絡んだ短編で編まれた短編集。いつもの神林節が随所に発揮されて安定した面白さ。 ただ、やはりこの文庫本の中心となるのは表題作「いま集合的無意識を、」だろう。 とあるSF小説家である「ぼく」と、夭逝した若き作家「伊藤計劃」との対話を通して、3.11震災...
とりあえず読了。 意識と無意識に絡んだ短編で編まれた短編集。いつもの神林節が随所に発揮されて安定した面白さ。 ただ、やはりこの文庫本の中心となるのは表題作「いま集合的無意識を、」だろう。 とあるSF小説家である「ぼく」と、夭逝した若き作家「伊藤計劃」との対話を通して、3.11震災以降の「物語ること」についての考えを戦わせるストーリーだ。 3.11以降の圧倒的なノンフィクションの前に、フィクションは打ちのめされたままなのか。かなり興味深い話。これはもうちょっと考えて再度読もうと思う。
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5つの短編+エッセイテイストの短編。神林長平という作家が現在書いているものを知るには丁度良い本。神林長平の力強いSFが堪能できる。 表題作『いま集合的無意識を、』では、伊藤計劃とその作品(とりわけハーモニー)に触れながら<意識>についての問答がある。 <意識>と<知能>、<リアル...
5つの短編+エッセイテイストの短編。神林長平という作家が現在書いているものを知るには丁度良い本。神林長平の力強いSFが堪能できる。 表題作『いま集合的無意識を、』では、伊藤計劃とその作品(とりわけハーモニー)に触れながら<意識>についての問答がある。 <意識>と<知能>、<リアル>と<フィクション>というテーマは著者の代表作『戦闘妖精・雪風』シリーズにも精通するもので、とても興味深い考察だった。 それは伊藤計劃への批評でありネットに依存しつつある私たちへの問い掛けでもあり、また、クラウドコンピューティングやSNSがもて囃され気味の最近の世の中への警鐘ともとれる。
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ここ十年くらいの神林長平が分かる短編集。 神林長平といえば、乾いた硬質な手触りの作品を書く作家とだというイメージだったが、この『いま集合的無意識を、』は少し違うようだ。(最近出版された『アンブロークンアロー 戦闘妖精雪風』もここ十年間に書かれた作品であり、この短編集の系統に属する...
ここ十年くらいの神林長平が分かる短編集。 神林長平といえば、乾いた硬質な手触りの作品を書く作家とだというイメージだったが、この『いま集合的無意識を、』は少し違うようだ。(最近出版された『アンブロークンアロー 戦闘妖精雪風』もここ十年間に書かれた作品であり、この短編集の系統に属する作品である) 語り手が錯綜し、その中にはメタな視点も混入している為、注意していないと混乱するかもしれない。その上、得体の知れない不定形なものが考察の対象になっている為、大分作品から受けるイメージが変わったと思う。 私は以前の神林長平もこの神林長平も好きだ。だから彼の作品を読み続けると思う。 表題作『いま集合的無意識を、』を読む為に伊藤計劃の『ハーモニー』を買った。
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