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赤頭巾ちゃん気をつけて の商品レビュー

3.7

69件のお客様レビュー

  1. 5つ

    18

  2. 4つ

    15

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    3

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2022/03/28

金曜日の本屋さんからの寄り道 庄司さん初読なんです。 日比谷高校三年生の薫くんの、なんともついていない(薫くん曰く)始まりから、幸せに喜び溢れ立ちすくんだ後、好きな女の子と手を繋ぎながら、これからの人生に思いを馳せてしまう、一日のお話。(1969年2月9日 日曜日) 東大紛争によ...

金曜日の本屋さんからの寄り道 庄司さん初読なんです。 日比谷高校三年生の薫くんの、なんともついていない(薫くん曰く)始まりから、幸せに喜び溢れ立ちすくんだ後、好きな女の子と手を繋ぎながら、これからの人生に思いを馳せてしまう、一日のお話。(1969年2月9日 日曜日) 東大紛争により東大入試の中止。大学進学やガールフレンドとの喧嘩に悩みつつ、薫くんは、その深い思慮を饒舌に語る。文章は軽快・軽妙。ちょっとくどめの表現も流れは良いです。散りばめる知識の豊富さにため息。本当に若い頃書いたのかと思っていたら、そうでもなさそう。 1969年だと、村上龍の「69」の高校生達と、同学年なのかな。同世代でも、薫くんは学生運動に参加している学生を本人の思想なのかななんて考える。 龍さん達は、紛争パフォーマンスに傾倒する。 ピュアでハイソな青春物語でした。 薫くんシリーズ読みまーす。

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2023/12/03

頭の片隅に居座る一節 百分の九十九まではしゃくにさわる女の子なのだが、ただ、なんていうんだろう、どうしようもないおかしな魅力を見せる残りの一回があるので困ってしまうのだ。 わたしは百分の一にかける

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2022/01/30

そう言えば、忘れていたなーと思い、今さらながらではあるけれど読んでみた。 時は60年代の高度経済成長真っ只中。 日本には程度の差こそあれ、常に何か暮らしが良くなっていくだろうという希望があった。 この明るさはこの時代でないと表現出来なかったものだろう。 もちろん主人公は葛藤してい...

そう言えば、忘れていたなーと思い、今さらながらではあるけれど読んでみた。 時は60年代の高度経済成長真っ只中。 日本には程度の差こそあれ、常に何か暮らしが良くなっていくだろうという希望があった。 この明るさはこの時代でないと表現出来なかったものだろう。 もちろん主人公は葛藤していたり、暗い欲望を吐露したりもするのだけど、どこか健康的。 今の若者はこれ読んでどう思うだろうね。

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2021/05/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大学の講義の課題図書。先に映画版を観てしまったから、イメージを楽にしながら読み進める事が出来たが、これに関しては失敗したなと思う。この新鮮味は文字から得たかった。 読み易かった印象。カギ括弧多し。 友人・小林の語りがとても好み。 僕の憧れる知的な人々ってのは、いつもこんなに考え事をしているのか…?

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2021/04/30

男子高校生の長い1日の煩悶の様子が自分語りで綴られる。何十年も前の作品で時代を反映しつつも、テンポの良い語りと薫くんのキュートさ、登場する女性たちもそれぞれに魅力があるので味わって読めた。爽やか。

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2020/12/22

『赤頭巾ちゃん気をつけて』は、庄司薫の作品で、第61回芥川賞を受賞しベストセラーにもなっている。東大入試が中止になるという災難に見舞われた薫くんのツイてない一日が綴られた小説だ。『ライ麦畑でつかまえて』を彷彿とさせるような、口語体の斬新な文体が用いられている。主人公の薫くんの視点...

『赤頭巾ちゃん気をつけて』は、庄司薫の作品で、第61回芥川賞を受賞しベストセラーにもなっている。東大入試が中止になるという災難に見舞われた薫くんのツイてない一日が綴られた小説だ。『ライ麦畑でつかまえて』を彷彿とさせるような、口語体の斬新な文体が用いられている。主人公の薫くんの視点から描かれているのは、知性の危機と大衆消費社会の興隆、そして「優しさ」が失われてしまうことへの危惧だ。 東大入試の中止によって、エリート(知識人)の正統なキャリアパスが崩れてしまう。また、学校群制により、日比谷高校は知識人養成高校ではなくなり、他の高校と均一化してしまう運命にある。これらの出来事に、知識人の危機と大衆の誕生が象徴されているように思う。『知識人の危機の時代において、どう生きるか』、これが『赤頭巾ちゃん気をつけて』のテーマの一つだ。そして、知識人の危機の時代においては、知性も暴力に脅かされている。学生運動は暴力的になり、狂気が蔓延っている。そんな中で薫くんは、大学にいかず、知性を伸ばしていくことを決心する。

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2020/05/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

30年以上前、大学の学園祭に、講師として来られることになって、それをきっかけに読んだ本。確か東京から九州の丘の上の大学まで自家用車で来られたような話・・。 本の中身よりも、お話しされたことの方が割と記憶に残っているという、稀有な体験。

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2019/01/26

薫くんは、頭脳明晰で、家柄もよく、そして恐らく見た目もそこそこのイケメンで、素敵なガールフレンドがいて、友人からの信頼も厚い男の子。東京に住んで、もはや大概のことにはコンプレックスなど抱かぬようなプロフィールでありながら、薫くんは悩む。とても高校生とは思えぬ高尚な次元で。 途中、...

薫くんは、頭脳明晰で、家柄もよく、そして恐らく見た目もそこそこのイケメンで、素敵なガールフレンドがいて、友人からの信頼も厚い男の子。東京に住んで、もはや大概のことにはコンプレックスなど抱かぬようなプロフィールでありながら、薫くんは悩む。とても高校生とは思えぬ高尚な次元で。 途中、自分は30になるというのに薫くんが考えていることの半分も理解できず、我が身の浅はかさを見せつけられているような気がして辛くなったけど、終盤、幼い女の子とのやり取りで薫くんが悩みの答えを見つけたあたりで、諦めずに読んで良かったと思えた。薫くんが求める「しなやかな知性」を身につけることは確かに尊いけれど、大切なものに気づくきっかけは、意外なところからやってくるのかもしれない。

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2020/09/01

山田詠美の「ぼくは勉強ができない」つながりでこの本を知った。面白かったぁ。「ライム畑でつかまえて」のホールデン・コールフィールドは気持ちが壊れてたのと対照的に薫はカラダもココロも健全だ。若いときのどんちゃん騒ぎを「若気の至り」なんて言葉で済ませない薫は冷めているというより、真面目...

山田詠美の「ぼくは勉強ができない」つながりでこの本を知った。面白かったぁ。「ライム畑でつかまえて」のホールデン・コールフィールドは気持ちが壊れてたのと対照的に薫はカラダもココロも健全だ。若いときのどんちゃん騒ぎを「若気の至り」なんて言葉で済ませない薫は冷めているというより、真面目に真剣に生きているんだと思う。薫のおふくろさんの「自分のことは自分でしなさい」と「ひとに迷惑かけちゃだめよ」のふたつの教えはしっかり浸透している。大学に進学しないことを決意してどんな薫になっていくのかが楽しみだ。オイラの友だちにも、尾崎豊にやられて直前になって大学進学を止めた奴がいたっけな。そんな薫が爪が剥がれている左足親指を踏んずけた女の子との出会いで大切なことに気がつくわけだけど、このシーンがとても好きだ。とても五つくらいとは思えない。女の子の言葉や笑窪の微笑みとかで薫はノックアウトされるんだけど、オイラもやられた。何気ない言葉や表情や仕草で、男はやられちゃうんだ、しかもどうやら女の子は年齢に関係なくそんな秘密の力をもっているらしい。ほんと男と女というのはよくできているとつくづく思う。薫が気になって仕方ないので4部作読み切ろうっと。

Posted byブクログ

2019/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分のことは自分でする、ひとに迷惑をかけない  高校生の頃、父親の本棚で見つけて読んでみたら見事にはまってしまった一冊。何度も読んでいる。大学の講義で「ライ麦ばたけでつかまえて」の類似作品として紹介されていたときには違和感を覚えた。ライ麦のホールデンくんの求めていたイノセンスを薫くんは求めてはおらず、どちらかというとパターナルな考え方をもっているように思ったからだ。青春小説の皮をかぶった政治小説というと聞こえは悪いかもしれないが、表面だけでも十分おもしろい。電話をするとお母さんが必ず出るとか、足けがしているのに自転車に乗ってみたりだとか、クスクス笑ってしまうところもあれば、感動するような決意をする場面もある。  海のような男ってなんだろう?

Posted byブクログ