道化師の蝶 の商品レビュー
めまいのする感じが好きだ。 時間と空間の交差する様々な点の集合が、表紙のデザインに象徴されるように、円環状に堕ちてゆき、いつか見知らぬ場所にたたずんでいる気がする。 旅の間にしか読めない本、誰も使用しない無活用ラテン語、着想としての架空の蝶。惑いの中で、それでもその羽の模様によっ...
めまいのする感じが好きだ。 時間と空間の交差する様々な点の集合が、表紙のデザインに象徴されるように、円環状に堕ちてゆき、いつか見知らぬ場所にたたずんでいる気がする。 旅の間にしか読めない本、誰も使用しない無活用ラテン語、着想としての架空の蝶。惑いの中で、それでもその羽の模様によってはっきりとその個体は識別されると言うのなら、それは言葉に対する、また小説に対する、信頼の一つの現われなのだと思う。
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むむむ…、私にとって円城作品は二種類あって、「わからないけど面白い」「とにかくわからない」に分かれるのだが、これは後者であった。装丁がとても素敵な本なんだけどな。いやあ残念。 芥川賞と直木賞受賞作品とはどうも相性が悪い。好きな作家の方でも「何でこれで受賞?もっといいのがあったじ...
むむむ…、私にとって円城作品は二種類あって、「わからないけど面白い」「とにかくわからない」に分かれるのだが、これは後者であった。装丁がとても素敵な本なんだけどな。いやあ残念。 芥川賞と直木賞受賞作品とはどうも相性が悪い。好きな作家の方でも「何でこれで受賞?もっといいのがあったじゃん!」と何度思ってきたことか。円城さんの受賞はまことに喜ばしいけれど、この路線は苦手…。
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表題作『道化師の蝶』と『松の枝の記』の2作からなる作品。普段は芥川賞といった文芸作品に手を出さないのだが、「誰も解さない無活用ラテン語で表現される世界」といった煽り文句にちょっと心をくすぐられた。 『道化師の蝶』の哲学的な世界。イメージは、既存の言語で表現された瞬間に殻の中に固...
表題作『道化師の蝶』と『松の枝の記』の2作からなる作品。普段は芥川賞といった文芸作品に手を出さないのだが、「誰も解さない無活用ラテン語で表現される世界」といった煽り文句にちょっと心をくすぐられた。 『道化師の蝶』の哲学的な世界。イメージは、既存の言語で表現された瞬間に殻の中に固定されてしまう。だが、既存の言語で、既存の単語で、既存の構文では表現しえない何かがあるとしたら。その表現は、誰が正しいと言ってくれるのだろう。時間軸も登場する人物も超越する物語の中で、著者の意を汲み取ることは私には難しかった。 『松の枝の記』は『道化師の蝶』に比べれば、少し物語は追いかけやすいかもしれない。でも、それは分かり易いということではない。いわゆる人類が誕生して20~30万年ほど。しかし現存する最古の絵画は3~4万年前、最古の文章は5000年前。文字や絵画が生まれる前の「人類」は、何を考え、何を伝え、何を目指していたのか。 両作品とも、自分の解釈を確立するには何度も読み込み思索する必要がありそうです。自分にはちょっとツラいかな(^^;
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訳わからんけど、表現力には感服した。設定も良かったから、終着点を明確にしてくれれば、私のような一般人にも楽しめる作品になったのではないかと思う。この作品はあまりに高尚だった。
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よくわからなかった。掴めない感じ。でもこのよくわかんない感じ嫌いじゃない。友幸友幸はいったい何者なんだ。
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読み解くのは難しいけど読みにくくはない、かな(「Boy's Surface」よりはよっぽど楽)。この章の「わたし」がこの人で、話している相手があの人で…と追っていくうちにこんがらがってくるのだが、その混乱を楽しむことにする。あるいは、きちっと分かって読む人もいるのかも...
読み解くのは難しいけど読みにくくはない、かな(「Boy's Surface」よりはよっぽど楽)。この章の「わたし」がこの人で、話している相手があの人で…と追っていくうちにこんがらがってくるのだが、その混乱を楽しむことにする。あるいは、きちっと分かって読む人もいるのかも知れないが。
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表題作は第146回芥川賞受賞。 言葉を紡いでゆくこと、物語ることが主題となって万華鏡のような不思議な世界を作っている。 二作とも途中からどんどん難解になり、実際理解できたとはとても言えないが、断片的な煌めきの美しさで読んでしまった。 「松ノ枝の記」の、お互いに未熟な語学力で相手の...
表題作は第146回芥川賞受賞。 言葉を紡いでゆくこと、物語ることが主題となって万華鏡のような不思議な世界を作っている。 二作とも途中からどんどん難解になり、実際理解できたとはとても言えないが、断片的な煌めきの美しさで読んでしまった。 「松ノ枝の記」の、お互いに未熟な語学力で相手の本を翻訳しあうという構造は面白い。
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第146回芥川賞受賞作~「道化師の蝶」旅の間にしか読むことができない本があるという着想,着想を捕らえる銀糸で出来た小さな虫取り網は架空の蝶を捕らえ,A.A.エイブラハム氏は友幸友幸氏が各地に残した原稿で富を築き,死後も財団を作って足跡を追っている。手芸を各地で習い憶え手芸本をだす...
第146回芥川賞受賞作~「道化師の蝶」旅の間にしか読むことができない本があるという着想,着想を捕らえる銀糸で出来た小さな虫取り網は架空の蝶を捕らえ,A.A.エイブラハム氏は友幸友幸氏が各地に残した原稿で富を築き,死後も財団を作って足跡を追っている。手芸を各地で習い憶え手芸本をだす。「松ノ枝の記」十分な語学力がなく,辞書を引かずに翻訳したものは原本とは異なり,著者がそれを読んで翻訳し直す。それを互いにやっているものだから儲かるはずもはく,悪戯心も起こってくる。10時間掛けて時差が1時間しかない著者の住まいを訪ねると姉という人物が迎え,彼女の手は何かに取り憑かれるように彼への主張を筆談始める~本当にこのような話だったのだろうか。まとめてはいけない気がするが,難解で途中読み飛ばしても飛ばしたことにも気が付かないから良いか。途中で寝てしまったら,夢の中で一つの数字,212,267,うん違うな,9で割り切れる数だったはずが浮かんでは消えて途中で目が覚めてしまった。精神衛生には害があるかも知れない
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友幸友幸の小説「猫の下で読むに限る」に登場するエイブラムス氏。 そのエイブラムス氏は友幸友幸を終生追い続け、その翻訳者である私は友幸友幸を追う財団から報酬を得る。 すべてが架空の世界、頭の中だけの想像の世界で構成された出口のない小説。 思考、感情、想像、思い、着想は言葉だけでなく...
友幸友幸の小説「猫の下で読むに限る」に登場するエイブラムス氏。 そのエイブラムス氏は友幸友幸を終生追い続け、その翻訳者である私は友幸友幸を追う財団から報酬を得る。 すべてが架空の世界、頭の中だけの想像の世界で構成された出口のない小説。 思考、感情、想像、思い、着想は言葉だけでなくその場所や置かれた状況、空気を通して伝わって行くのか。 言葉の無力さ、言葉だけで伝え切れないもどかしさを感じる。
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■芥川賞作品...だったんだけど、読了できず。どうやらこういう「文芸作品」は読みこなせないらしいことがよくわかった。(笑) ■初出が「群像」ってあたりで気付くべきだったのかも。(笑
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