道化師の蝶 の商品レビュー
二作収録。どちらも、普通では無い。幻想小説の一種、変形かなあ。まともな筋は追えないけど、追えるのかなあ、そもそも。活字表現の最先端を行ってるのは分かる。
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作者は誰の影響を受けていますかというインタビューに対して「安部公房です」と答えたが、確かにその香りのする奇妙なSF調の物語である。 ただし作品の質は本家に遠く及ばず、ほとんど言葉遊びに近くて人間の真に迫る凄みなどというものがまったく感じられない。 石原都知事がこの作品を嫌っていた...
作者は誰の影響を受けていますかというインタビューに対して「安部公房です」と答えたが、確かにその香りのする奇妙なSF調の物語である。 ただし作品の質は本家に遠く及ばず、ほとんど言葉遊びに近くて人間の真に迫る凄みなどというものがまったく感じられない。 石原都知事がこの作品を嫌っていたそうだが(まあ彼は大概舌鋒鋭く非難するが)それもやむなしか。
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ほんっとにわけがわからない! 「わたし」が誰なのか、今はいつなのか・・・そういったことがつかみきれないまま進み、内容も非現実的で、とにかく疲れる。 (途中つかめそうになって、一瞬ゾクゾクというかワクワクしたけど) 独特の世界観があるのはわかる。そしてそのファンがいるのも確か。 ...
ほんっとにわけがわからない! 「わたし」が誰なのか、今はいつなのか・・・そういったことがつかみきれないまま進み、内容も非現実的で、とにかく疲れる。 (途中つかめそうになって、一瞬ゾクゾクというかワクワクしたけど) 独特の世界観があるのはわかる。そしてそのファンがいるのも確か。 でも個人的には好きになれなかった。…というか理解できなくて読んでいて疲れてしまった。 とはいえ★1にしなかったのは、そもそもこの小説の読み方・味わい方・楽しみ方を私がわかっていないだけかもしれない・・・と思う部分もあるから。 芥川賞の選評を読むと、どうやら受賞に難色を示す委員も多かった様子。その中で、受賞に推した川上弘美氏の意見(を紹介する宮本輝氏の話)が参考になったのでそのまま引用しておく。 「宇宙論の三次元、四次元、五次元、六次元という世界を譬えに引き、粒子が各次元によって、螺旋状に、波形状にと変化するように、人間が作った言語というものも、使い方や受け方がいかようにも変化し、多様化、あるいは無意味化していくことを小説として表現しようとしたのだ」 この意見にはなるほど~と思う部分もあった。 でももう一度読み直してみよう・・・とは思えない。 (ちなみに宮本氏は川上氏の意見に「だとすれば、円成さんの「道化師の蝶」は、作者の「眼は高い」が「手は低すぎる」と述べていて、私はこの意見に大いに賛成だった!!)
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『なにごとにも適した時と場所があるはずであり、どこでも通用するものなどは結局中途半端な紛い物であるにすぎない。』 『わたしは彼の翻訳者であり、彼はわたしの翻訳者である。』 『彼にはまだ未来というあやふやな言葉はないし、過去という得体の知れない言葉も持たない。』 『それは悲鳴...
『なにごとにも適した時と場所があるはずであり、どこでも通用するものなどは結局中途半端な紛い物であるにすぎない。』 『わたしは彼の翻訳者であり、彼はわたしの翻訳者である。』 『彼にはまだ未来というあやふやな言葉はないし、過去という得体の知れない言葉も持たない。』 『それは悲鳴で歓声で、産声であり断末魔だ。』 『わたしの声は届いているかね。』
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他の作品に比べると、芥川賞を取っただけあって、なんとなくその雰囲気になっている気がする。でも、ほかの円城作品の方が好き。
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第146回芥川賞受賞作。 他の作品に比べて読み易かった。 夢のように、登場人物の性別や役割、物語の語り手が変化していく。 矛盾があるのに、当たり前のようにすっとイメージが入ってくる感覚が気持ちいい。 物語を通して不思議な蝶がひらひらと舞い、最後美しい幻想の高みへ連れて行ってくれる...
第146回芥川賞受賞作。 他の作品に比べて読み易かった。 夢のように、登場人物の性別や役割、物語の語り手が変化していく。 矛盾があるのに、当たり前のようにすっとイメージが入ってくる感覚が気持ちいい。 物語を通して不思議な蝶がひらひらと舞い、最後美しい幻想の高みへ連れて行ってくれる感じ。 誰か絵に描いてくれないかなぁ。
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静かだけど、サイコー。 最初一気に入り込んで、途中混乱。 理解できないという声が多いと思うけど、 昔から彼はそうだし、 理解なんてしなくていいのでは? 文芸は芸術。 岡本太郎は理解できない。でもなんかいい。 ということ。 でも今までの円城ワークスのなかでは、与しやすい作品。
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読んでいて、誰が主人公なのかわからない。時間軸が予告無しに突然変わって、未来なのか過去のことなのかわからなくなる。本の話なのかと思えば手芸の話?。謎の人物の真実が明らかになりそうな気配をただよわせながら、もう次の話に変わってしまっている。その話も、登場人物が書いた物語なのか、それ...
読んでいて、誰が主人公なのかわからない。時間軸が予告無しに突然変わって、未来なのか過去のことなのかわからなくなる。本の話なのかと思えば手芸の話?。謎の人物の真実が明らかになりそうな気配をただよわせながら、もう次の話に変わってしまっている。その話も、登場人物が書いた物語なのか、それともその人物自身を描いたものなのか。混沌の物語。でもここちよい。
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曖昧になりばらばらにほどけていく「わたし」が心地よい。天才と書いてまじきちと読むよな作家さんだとしみじみ思う。不思議ときゅんとした。
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