道化師の蝶 の商品レビュー
芥川賞受賞作。私には難しかった。文字の上を滑ってしまう。目につくところへ置いておいて、また読みたいと思った時に読み直すことに。
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おもしろさ(ユーモア)で言えば「これペン」のほうがうえだと思ったけれど、美しすぎてびっくりした。すばらしかった。 併録の「松ヶ枝の記」(だっけ?)はまだ途中まで。
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2012 1/30読了。筑波西武のLIBROで購入。 表題作「道化師の蝶」と「松ノ枝ノ記」の2編収録。 ・「道化師の蝶」 航空機の中、銀の網で「着想」を捕まえるという資産家A.A.エイブラムス氏と、彼が追う多言語作家、友幸友幸。エイブラムス氏のエージェントとが織り成す、不思議な物語。 なんだかわからないことを生業にする人たちがたくさん出てきて、よくわからないながらとても魅力的に見える。友幸友幸、エイブラムス氏、エージェント、どの生き方も面白そうで、そんな風に暮らせたらいいなとか思う。 ・「松ノ枝ノ記」 互いの著作を翻訳しあう2人の作家から始まる、書くことと読むことの断絶と、書かれたものの中にだけ存在する記憶の話。 よくわからないままに読むこと/読めることについてとか。 とりわけ「道化師の蝶」は、とんでもなく面白かった。こんな風に暮らしたい! 「これはペンです」もそうだけど、よくわからない文筆業めいたものを生業とする人を書くと円城塔はとても面白い。
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円城塔の作品は、読む者を、言葉の盲信から解き放ってくれる。 「分かる」という不確かな現象について、それが単なる思い上がりかもしれないことをユーモラスに提示し、崩壊させる。それはときに爆笑を伴う。 難解だと言って腹を立てる人の気持ちも分からなくはないが、それはまず作品にではなく...
円城塔の作品は、読む者を、言葉の盲信から解き放ってくれる。 「分かる」という不確かな現象について、それが単なる思い上がりかもしれないことをユーモラスに提示し、崩壊させる。それはときに爆笑を伴う。 難解だと言って腹を立てる人の気持ちも分からなくはないが、それはまず作品にではなく、自身の「読む」という行為に矛先を向けてみるべきか。 なぜなら、丸や三角や四角が、すべて異なる形状であるという公理に基づいたリアリティは、思っているほど、もう公理ではないからである。 作中の言葉を借りるなら、「なにごとにも適した時と場所と方法があるはずであり、どこでも通用するものなどは結局中途半端な紛い物であるにすぎない」ということ。 今作はQRコードを読み取るカメラの気持ちが少し分かるような、美しく謎めいた話だった。 大変面白かったが、分かったかと聞かれれば、僕は半分も分からなかった。 そして、それでいいのだと思う。
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著者の円城塔氏がどう言うか知らないが、「ソフトウェア工学」のカテゴリにしてしまった。いやこれ是非ソフトウェア工学の研究者に読んで欲しいな。自分の経験してきたことと色々重なってすごく面白い。 確かに筋は難解です。一回読んだだけでは繋がりがちゃんと追えたとは思っていない。でも所々の...
著者の円城塔氏がどう言うか知らないが、「ソフトウェア工学」のカテゴリにしてしまった。いやこれ是非ソフトウェア工学の研究者に読んで欲しいな。自分の経験してきたことと色々重なってすごく面白い。 確かに筋は難解です。一回読んだだけでは繋がりがちゃんと追えたとは思っていない。でも所々のキーワードがいちいちソフト屋の心に引っかかってくる。網(しかも銀糸だ)、織物、無活用ラテン語…
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今回は珍しく(いろんなところで取り上げられていたので)ある程度作品の事前情報が与えられた上で読んだ。にも関わらず、事前情報をはるかに上回る情報量と、広がるイメージの美しさに酩酊させられた。蝶を追いかけ、一緒に迷宮を彷徨い歩く感じ。読み進むにつれて話の断片が浮遊する断片と繋がる感覚が心地良い。それが正しいのかはさておき。 「道化師の蝶」で友幸友幸を追いかけるエージェントの“わたし”が作者の投影だと考えると、円城氏が発表している様々な作品は、実は誰かが何処かに残したものの翻訳なのかも知れない。…なんて妄想をしてみたりした。
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白くて仄かに発光する世界。視点がするする変わって「あれ?」って迷子になりかけたり、「あ、この言い回しさっき…」と結び目を見つけた気になったり。柔らかい迷宮でさ迷う快感みたいな、そんな話。(表題作)
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